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第一部
精霊王
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今私の目の前にはとても大きな樹があります。
そう、聖樹です。
ウサギさんに案内を頼みここまでたどり着くことができました。
まあ、今私の周りにはたくさんの動物たちがいますが。歩いているうちにいろいろな動物たちと遭遇、そしてお話をして仲良くなってみんなついてきてしまいました。
しかし、それはあまり気にすることではありませんね。ええ、何も問題はありません。
聖樹まで到達することができたのでいいのです。
聖樹というだけあって、とても神々しい雰囲気を感じます。というか薄っすら輝いているような。
聖樹の囲むように泉が湧き出ていて、さらにその周りを芝が囲んでいます。
見ているだけでとても穏やかな気分になるそうです。
理想のスローライフが送れそうな場所ですね。とても気に入りました。
「さて、聖樹に到着したはいいのですが、まず何からすればいいのかしら」
「こんなところでカフェ……いい……とてもいいですね。ザ・異世界って感じがします!」
普段やる気のなさそうなミシェルでさえも少し興奮しているみたいです。
その気持ちわかりますよ。異世界というのは分かりませんが。おそらく転生前の世界であった言葉でしょう。
それよりも精霊さんはいないのかしら。一目見てみたいのですが。
周囲を見回していると、聖樹の前に何やら風が集まっています。
『主、来るぞ』
え? 何がですか? もしかして精霊さんですか?
風が止んで現れたのはこの世のものとは思えない美しい女性でした。
金色に輝く艶やかな髪。儚げな顔立ち。纏う雰囲気はまるで神のようで……。
『人間が、このようなところで何をしている』
見た目に反してなかなか可愛らしいお声ですね。少女のような。
「初めまして。私はユミエラと申します。簡潔に申しますとここに住みたいと思っております」
『ここに住む? 異なことを。そのような世迷言を私が許すとでも?』
「それで居を構えたらですね、まずはこの森の中を散策したいを思っておりますの。それが済んだら次はカフェを開く準備をしてですね。こんなにきれいな場所でお紅茶を楽しむなんて、最高だと思うのです。それでそれで――」
『……おい……話を……』
「できれば人との関りは最小限にしたいと思っていましてですね。ここなら冒険者がたまに訪れるか否か、程度で済むと思いまして、煩わしい人付き合いがないなんて素晴らしいと思いませんか? あとはですね――」
『……あの……あたしの話は聞いているの……』
「この地でなら新鮮な果物なんかもあると思いまして。それでお菓子を作ったら絶対美味しいと思うんです。それに他にはないものもこの子たちに教えていただきましたし、これからお菓子を作るのがとても楽しみで――」
『…………ぐすっ…………』
「まだまだありまして――」
「お嬢様。一度落ちついてください。精霊さんが泣いておられますよ」
『……泣いてなんか……ないもん……』
「あら? 私ったらつい。申し訳ございません。そういえばまだ精霊さんのお名前を聞いていませんでしたね。まずはお互いのことを知ることから始めましょう」
何も知らない人のことを信用なんてできないですもの。
まずは私から自分のことを精霊さんにお話ししました。余計はことは省いてお話ししたので結構短くまとめることができたと思います。
『ふんっ。あんたがお嬢様だかなんだか知らないけれど、私の方が偉いんだからねっ!』
「そうなのですか? 確かに精霊さんと人間を比べたら……いや、比べること自体おこがましいのでは……?」
『え……あの……そんなにまじめに受け止めなくても……』
「いえ、これはとても大事な事だと思います。そうよね、ミシェル?」
「いえ、お二人でかみ合っていないので、まずはそこを合わせることから始めるべきかと。精霊様。お名前をうかがっても?」
『し、仕方ないわね。そんなに知りたいのなら教えてあげるわ! 私は精霊王ティターナ。すべての精霊たちを束ねその上に君臨するもの! つまりこの森の主よ!』
なんと最初にエンカウントしたのはこの森で一番偉い方でした。
そう、聖樹です。
ウサギさんに案内を頼みここまでたどり着くことができました。
まあ、今私の周りにはたくさんの動物たちがいますが。歩いているうちにいろいろな動物たちと遭遇、そしてお話をして仲良くなってみんなついてきてしまいました。
しかし、それはあまり気にすることではありませんね。ええ、何も問題はありません。
聖樹まで到達することができたのでいいのです。
聖樹というだけあって、とても神々しい雰囲気を感じます。というか薄っすら輝いているような。
聖樹の囲むように泉が湧き出ていて、さらにその周りを芝が囲んでいます。
見ているだけでとても穏やかな気分になるそうです。
理想のスローライフが送れそうな場所ですね。とても気に入りました。
「さて、聖樹に到着したはいいのですが、まず何からすればいいのかしら」
「こんなところでカフェ……いい……とてもいいですね。ザ・異世界って感じがします!」
普段やる気のなさそうなミシェルでさえも少し興奮しているみたいです。
その気持ちわかりますよ。異世界というのは分かりませんが。おそらく転生前の世界であった言葉でしょう。
それよりも精霊さんはいないのかしら。一目見てみたいのですが。
周囲を見回していると、聖樹の前に何やら風が集まっています。
『主、来るぞ』
え? 何がですか? もしかして精霊さんですか?
風が止んで現れたのはこの世のものとは思えない美しい女性でした。
金色に輝く艶やかな髪。儚げな顔立ち。纏う雰囲気はまるで神のようで……。
『人間が、このようなところで何をしている』
見た目に反してなかなか可愛らしいお声ですね。少女のような。
「初めまして。私はユミエラと申します。簡潔に申しますとここに住みたいと思っております」
『ここに住む? 異なことを。そのような世迷言を私が許すとでも?』
「それで居を構えたらですね、まずはこの森の中を散策したいを思っておりますの。それが済んだら次はカフェを開く準備をしてですね。こんなにきれいな場所でお紅茶を楽しむなんて、最高だと思うのです。それでそれで――」
『……おい……話を……』
「できれば人との関りは最小限にしたいと思っていましてですね。ここなら冒険者がたまに訪れるか否か、程度で済むと思いまして、煩わしい人付き合いがないなんて素晴らしいと思いませんか? あとはですね――」
『……あの……あたしの話は聞いているの……』
「この地でなら新鮮な果物なんかもあると思いまして。それでお菓子を作ったら絶対美味しいと思うんです。それに他にはないものもこの子たちに教えていただきましたし、これからお菓子を作るのがとても楽しみで――」
『…………ぐすっ…………』
「まだまだありまして――」
「お嬢様。一度落ちついてください。精霊さんが泣いておられますよ」
『……泣いてなんか……ないもん……』
「あら? 私ったらつい。申し訳ございません。そういえばまだ精霊さんのお名前を聞いていませんでしたね。まずはお互いのことを知ることから始めましょう」
何も知らない人のことを信用なんてできないですもの。
まずは私から自分のことを精霊さんにお話ししました。余計はことは省いてお話ししたので結構短くまとめることができたと思います。
『ふんっ。あんたがお嬢様だかなんだか知らないけれど、私の方が偉いんだからねっ!』
「そうなのですか? 確かに精霊さんと人間を比べたら……いや、比べること自体おこがましいのでは……?」
『え……あの……そんなにまじめに受け止めなくても……』
「いえ、これはとても大事な事だと思います。そうよね、ミシェル?」
「いえ、お二人でかみ合っていないので、まずはそこを合わせることから始めるべきかと。精霊様。お名前をうかがっても?」
『し、仕方ないわね。そんなに知りたいのなら教えてあげるわ! 私は精霊王ティターナ。すべての精霊たちを束ねその上に君臨するもの! つまりこの森の主よ!』
なんと最初にエンカウントしたのはこの森で一番偉い方でした。
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