少年と山の中の古城

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ショウは深呼吸をした。

アキラも緊張していた。

｢…僕ね｣

ショウはそれだけ呟いてしばらく黙ってしまった。

唇が震えていた。

｢吸血鬼なんだ｣

｢…っ｣

アキラは思わずショウの顔を見た。

ショウは震えていた。

山の中で一人、暮らしている謎の肌が白い少年。

彼は、人間じゃないみたいだと思っていたが、その通りであった。

｢…怖い？僕のこと｣

｢…｣

ショウは泣きながら、また笑いながら言った。

アキラは咄嗟に言葉が出ず、固まってしまった。

｢…だよね｣

ショウは黙っているアキラを見て明らかに悲しそうに呟いた。

｢当然だよ。だって、人間を襲うんだもの。でもね…｣

｢…｣

｢君とお話しするの、楽しかったんだ｣

アキラは黙ってショウを見つめていた。

｢ずっと、ずっーと、僕は1人なんだ。人間と、流れる時間が違う｣

ショウは告白に耐えられないというように胸をぎゅっと抑えて悶えた。

まだ、伝えなければならないことは山ほどある。

アキラはなんと声をかければいいのか分からなかった。

自分が抱えている苦しみよりも、明らかに大きなものであると感じた。

襲われるかもしれない恐怖もあったが、それ以上にショウの気持ちに寄り添えるほどの経験が足りなかった。

｢…ごめん｣

ショウはまたアキラの服の裾を掴んだ。

呼吸がどんどん荒くなってくる。

｢大丈夫だよ｣

アキラはようやく言葉を発した。

ショウの頭を抱き、そっと撫でた。

ショウの涙は止まらなくなり、アキラの肩を濡らした。

アキラは、ショウが落ち着くまで、無言で頭や背中をさすった。

｢ありがとう｣

しばらくして少しだけ落ち着いたショウは、また話を始めた。

｢このお城について、話すね｣

｢…うん｣

2人はようやく目を合わせた。

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100年前にこのお城で起こった事件、それこそがショウを最も苦しめる出来事だった＿＿＿＿