少年と山の中の古城

あおくらげ

文字の大きさ
上 下
10 / 17

- 10 -

しおりを挟む
アキラは静かに城を出て、街までの道を下ることにした。

ショウの事を考えていた。

彼もまた、なにか闇を抱えているのだろうか。

ショウについて知れば知る度、疑問が浮かんでくる。

急に謎の発作を起こし、逃げていった。

あれはいったいなんだったのか。

彼は何に苦しんでいるのだろうか。

山の中のお城。

異様に白い肌。

貴族のような服装。

応接間の謎の古い家族写真。

「人と関わったことがない」という発言。

街に行こうとして起こった発作。

解きたい謎がたくさんあるが、どこまで訊いて良いのか分からない。

それでも、アキラは「自分は1人ではない」という安心感を覚えていた。

しばらく歩いて、街へ着く。

そのままアキラは古本屋へ立ち寄った。

海外作家のコーナーへ行き、アガサ・クリスティの本を手に取った。

ショウにオススメしようとしたものだ。

19世紀前半の作家の作品は多くあったが、20世紀の作家の作品は、盗んできたであろう本以外に無さそうであった。

まるで19世紀で時が止まっているかのようだった。

アガサ・クリスティは20世紀の作家だ。

おそらくショウは読んだことがないだろう。

きっと気に入ってくれるはずだ。

そして今度はマンガコーナーへ立ち寄る。

ショウはマンガを知っているだろうか?

喜んでいるショウの顔を思い浮かべながら、読みやすいマンガを何冊か手に取った。

会計は2000円を超え、田舎の高校生には少々重い出費にはなったが、アキラは満足していた。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

「うぅっ…うっっっ…」

ショウは自室のベッドに倒れ込んで、耳を抑えて悶えていた。

欲望が、もしくは本能が、理性を押さえつけて暴れている。

そして昔の記憶を無理やり掘り起こす。

「やめて…」

支配された理性が必死に戦う。

「おいしい…」

「えへへ…」

「なんで?」

「僕は…」

「お父さん…」

「嫌だ…」

意味深な言葉が聞こえてくる。

いや、

そのままショウは気絶した。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

モルモットの生活

麒麟
BL
ある施設でモルモットとして飼われている僕。 日々あらゆる実験が行われている僕の生活の話です。 痛い実験から気持ち良くなる実験、いろんな実験をしています。

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

ヤクザに囚われて

BL
友達の借金のカタに売られてなんやかんやされちゃうお話です

寮生活のイジメ【社会人版】

ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説 【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】 全四話 毎週日曜日の正午に一話ずつ公開

真・身体検査

RIKUTO
BL
とある男子高校生の身体検査。 特別に選出されたS君は保健室でどんな検査を受けるのだろうか?

屈した少年は仲間の隣で絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

ガテンの処理事情

BL
高校中退で鳶の道に進まざるを得なかった近藤翔は先輩に揉まれながらものしあがり部下を5人抱える親方になった。 ある日までは部下からも信頼される家族から頼られる男だと信じていた。

処理中です...