少年と山の中の古城

あおくらげ

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ショウはアキラの腕を取り、立ち上がらせた。

「…歩けそう?」

「…うん」

アキラの負担にならないよう、ゆっくりと2人は部屋を出た。

アキラが寝ていた小部屋から出た先には、床が大理石で出来た大広間があった。

天井は高く、大きならせん階段があり、まさに想像する通りのお城であった。

ショウの足音は、このらせん階段を降りる足音だったのだろう。

「…気になる?ここ」

ショウは大広間を見渡すアキラを見て笑った。

「ここ広いから、案内するのも時間かかっちゃうな。もし良かったら、元気になったらまたおいでよ」

「うん」

とりあえず今日は家に帰るのが優先。

ショウはそのままアキラの身体を支えながら、ドアを開けた。

そのドアは外に繋がっており、ムワッとした空気が流れ込んできた。

「やっぱり夏は夜でも暑いね」

ショウはまた笑った。

アキラはショウを黙って見ていた。

外は膝丈くらいの草が生えていて、少し歩きづらかった。

空には星が輝いていたが、空の色は少しずつ明るくなってきていた。

後ろを振り返ると、お城の外観が見えた。

おとぎ話にでてくるような石造りの洋館、という感じだ。

まさに貴族が住んでいそうだ。

しばらく年数が経っているのか、ツタが伸びていた。

こんなところに、ショウは1人で住んでいるのか。一体何故なのか。

城を後にして、街の方へ向かった。

まともな道がなく、普段ショウがどうやって行き来しているのかアキラには疑問であった。

しばらく歩いて、ようやく夕方に見たような歩きやすい道に出た。

ここからはそのまま道を戻れば、街に帰れる。

「街が見えてきたね、もうすぐだ」

さらにしばらく歩いて、「立ち入り禁止」と書いてあるフェンスのあたりにたどり着いた。

「もう、帰れるよ、ありがとう」

アキラはお礼を言った。

やっぱり、悪い人じゃなかった。

「…良かった」

ショウは目を細めて笑った。

「よかったら、また会いたいな」




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