少年と山の中の古城

あおくらげ

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少年は、とても美しい顔立ちをしていた。

肌は白く、体型も細め。

身長と年齢はアキラと同じくらいに見えた。

髪も目も黒かったが、肌の白さだけは日本人だと信じられなかった。

自分の痣だらけの腕は、日焼けもして茶色く汚い。

また、服は貴族が着るようなフォーマルなものだった。

自分が着ているのはいじめっ子たちの足跡がついた薄汚れたTシャツだ。

どうしてこんな僕を、彼は介抱してくれたのだろうか。

「僕はショウ」

少年は自分の名前を口にした。

ショウ…たしかに、美少年にピッタリの名前だ。

「よろしく…ね、僕は、アキラ」

「よろしくね」

アキラも自己紹介をした。ショウはにっこりと笑った。

「…ここに、住んでるの?」

アキラは恐る恐る訊く。

「住んでる、といえば住んでるのかな。空き家になってたから勝手に住まわせてもらってる」

「…そうなんだ」

アキラの周りで、ショウのように日本人離れした見た目の人は見たことがないし、自分以外に一人暮らししている人など聞いた事はない。

そういえば、ここは、なんのお城なんだろう。どこにあるお城なんだろう。

もしかして、遠いところに運ばれてきてしまったのだろうか。

そんなことを思っていると、

「君はさ」

ショウが口を開く。

「どうして山に来たの?」

山?

ここは、山の中なのか。

痛む頭で倒れる前の状況を思い出す。

学校が終わって…

そうだ…アイツらに…

「…連れてこられたんだ」

アキラは泣き出しそうになりながら言った。

「どうして?こんな所、何も無いよ」

ショウはアキラの感情になど気づかず疑問に思うまま訊いた。

いじめられている、なんて告白するのも辛かった。

「…」

しばらく沈黙が続いた。

「…ごめんなさい。なんとなく、察したよ」

アキラは俯いたままだった。

気まずい雰囲気が流れる。

「…身体は、大丈夫?」

アキラは黙ったままこくりと頷いた。

「そろそろ、夜が明けるから、街の方まで送ってくよ」




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