少年と山の中の古城

あおくらげ

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「…おばあちゃん、行ってきます」

アキラは祖母の写真に挨拶をして家を出た。

祖母が亡くなって約半年が経った。
今は広いこの一軒家で一人暮らしをしている。

アキラは生まれてからしばらく、両親からの虐待を受けていた。
それを見かねた祖母が、アキラを引き取った。

祖母は母方の方であるが、母親との親子関係はあまり良くないようだった。

と言うよりも、アキラの母親が、一方的に祖母、すなわち自身の母親を嫌っていたという方が正しいかもしれない。

実際、祖母の葬儀に母親は来ていなかった。

祖母が亡くなるまで、アキラはこの田舎の街で祖母と仲良く2人暮らしをしていたのだった。


通学路を歩きながら、昨日できた腕の痣を見つめる。

これはいじめっ子たちに殴られたり蹴られたりした跡だ。

祖母と離れたくなくて、家から歩ける高校を選んだが、高校選びは失敗したと思う。

周りの高校が少なく、偏差値が高くないため、ヤンキーも多く集まる学校であった。

また、教師も地元の大学を出た人ばかりで、まともな人がほとんどいなかった。
華奢で物静かなアキラは、いじめの対象になりやすかったのだ。

それでも、毎朝見送ってくれる祖母のために頑張って通学していた。祖母にはいじめられている事なんて言えなかったので、痣は必死に隠していた。

祖母が亡くなってからも、高校卒業だけは頑張ろうと心に決めたのだ。


登校するのはいつもHRギリギリにしている。以前は早く行っていたが、教室という空間に1分でも長く存在することが耐えられなかった。

教室に入ると、いじめっ子Aが「アキラおはよー」と声をかける。いじめっ子B、Cも「はよー」と続く。

こいつらは、周りに人がいる時はまるで友達かのように振る舞う。

「…おはよ」

アキラは一生懸命笑顔を作りながら答え、席に就いた。

少ししてチャイムが鳴り、先生が教室に入ってきた。





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