菊の花は闇夜に狂い咲く

柚麟

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やっぱり優秀

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柃菊は鈴紫に持ってきた紙の中から一枚の紙を受け取ると、咲羚の名と症状、更に咲羚が今日食べた物を書き込んだ。

書き終わり辺りを見回すと、鈴紫はいなかった。部屋の外に出ていったのだろう。本当に優秀な侍女だと思う。

「咲羚様昼餉はまだ食べていらっしゃいませんよね?」

咲羚に1番必要なのは細い手足を見れば火を見るよりも明らかだ。
そう、咲羚に必要なのは栄養だ。
「あぁ、まだだな」
「では、私と一緒に食べましょう」
「は?」

咲羚は驚き固まった。こんな病人の前では礼儀なんて毛ほどの価値もない。遠慮はしない。食生活から改めてやる。
「うむ、やはり面白い。よかろう」
「この宮には何か食べ物はありますか?体に良い大蒜ニンニクや生姜があるといいのですが」
「鈴紫なら知っていると思うが。既に確認しに行ったようだ。待てば帰ってくるだろう」

さっきの会話で察したのか?何度も言うけど優秀だ。いや優秀すぎる程だ。
「戻ってきたようだ。気配がする」

さすがただの人より五感が強い龍族。後力も強い。
コンコン
ドアを叩く音がする。
「鈴紫です」
「入れ」

鈴紫は咲羚の前に跪いた。
「どうだった?」
「あったのは干し肉と少量の野菜だけです。明日にでも買い出しを頼まなければいけません」
「調味料、例えば塩や砂糖はありました?あと米も」
「はい、全てございました。ですが米はそんなに多くはないです」
「良かった」

簡単な料理なら作れそうだ。
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