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高校生連続バラバラ殺人事件
18話
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その頃の千里はと言うと、伊織の通学路である道にある一つの電柱の陰に隠れていた。如一からそろそろ帰るという旨の連絡を受け、事前に打合せしていたポイントだ。と、いうのも、もし自分が伊織を殺すと仮定すると、自分なら人通りが少なく、目撃者が少ないである道。それから、殺したあと、逃げやすいポイントを狙うだろう、という如一からの鶴の一声で、それを伊織のことをよく知ってる楔から聞いた通学路を照らし合わせた所、ここが一番妥当だろう、ということで亜留斗とともに、先回りをして伊織たちの下校を待ち伏せしていたのだ。楔の力を早速借りるハメになってしまったのもあるが、正直まさかこんなストーカーまがいなこと(楔がしていることと似たこと)を自分がする事になるなんて思っても居なかったため、抵抗があるかないかと聞かれれば、あるのだが、こんなことを言っていたらこの先救える命も救えなくなるだろうと思い、潔く諦めることにしたのだ。
そして、千里は今日伊織に警察をしていることを、それもこの県のトップに立っていることを話すのだ。母親が千歳で、2年前にはもう交通事故で亡くなっていたこと、それで高校生になった自分が母親の意思を継いだこと。二年前には母親である千歳が亡くなっていたからとはいえ、千歳が亡くなったのは千里が小三の時、即ち、五年前だ。だから二年前の事件の対応はあってはならない事だ。いや、一年前だろうが、二か月前だろうが、二日前だろうが、その対応はあってはならないことだ。二年前の事件はきちんと謝罪をしなくてはいけない。
今更だって殴られるかもしれない。
今更だって許してくれないかもしれない。
縁を切られるかもしれない。
そんな不安が過ぎるが、いつかは避けては通れない道で、いつかは伝えようと思っていたことだ。それに、もう自分が何をしているかは、隠していたくなかった。確かに、先のことを思うと胸が苦しいし、この後のことを考えると、緊張なんてもんじゃなく、若干手が震えていた。千里は隣に立っている亜留斗にふと声をかける。
「にしても……。緊張してきたわ……。いろんな意味も込めて。うわ、俺今大丈夫?俺今生きてる?死んでない?」
「……安心してくれたまえ、お前はいつも通りだ」
「え、なんかそれはそれですげぇ馬鹿にされてる気分」
そんな風に話をしていると、やや後方から如一と、零、それから翔也の声が聞こえる。
『翔也君!』『……君さぁそこ、どいてくれない?騎士様気取りかい?……とにかく、俺は君には用はない。用があるのは君の後ろの橘伊織だ。君は邪魔なんだよ』『お前がこの連続殺人事件の犯人か……』
それを聞くなり千里と亜留斗は静かに頷き合う。千里が動き出したとほぼ同時に零は地をけった。それとほぼ同時だった。
「そこまでだ!ゼロ」
「如一様っ……?!」
「はぁ……?!」
如一の声が飛んできたのは。伊織は何が起こっているのか、まったくわかっていない、とでも言いたげに困惑していた。
それもそうだろう。
まさか自分が狙われているなんて微塵にも思っていないのだから。亜留斗はいつの間にか伊織の後ろに回っていたのか、伊織の腕をひいてその場から離れさせる。そこにも困惑の色を見せる。何が起こっているのか伊織には理解が追い付いていなかった。
そんな伊織の目に映ったのは駆けつけた如一がそのまま零を拘束するところのみ。
「おいっ千里!」
「わかってるっちゅーの!」
「え……」
―――そして、警察の格好をした千里の姿だった。伊織は信じられなくて後ずさりをした。それを千里は尻目に見やると、悲しそうに顔を顰め、見ていられなくなったのか、伊織からふいっと、目を逸らし、押さえつけられていた零の手首に手錠をかけた。
「藤塚零、4時50分銃刀法違反及び殺人の容疑で逮捕する」
そう静かに告げた後に千里は静かに伊織のことを見上げる。伊織は千里と目が合うと、じりっと一歩後ろに下がった。こうなるとはわかってはいたがやはり少し心に傷ができる。如一は慌てたかのように伊織に声をかける。
「待て待て、ちょっとでいいから千里の話を聞いてやってよ。頼むから、さ」
「は……?」
如一の言葉と、亜留斗に腕をがっしりとつかまれているのもあり、身動きが取れなくなった。伊織は諦めておとなしく千里の言葉を聞くことを決めると、千里は申し訳なさそうに無理に笑みをはっ付けながら、「今まで黙っててごめんな」と謝罪を入れた後に小さく咳払いをしてから軽く背筋を伸ばしてから伊織の見たことがないような顔をしながら改めて自己紹介をし始める。今までのヘラヘラとした薄気味悪い笑みを引っ込め、伊織の知らない顔で、でもどこか大嫌いなあの人を思い出させる顔つきで庵のことをじっと見つめた。
「改めて、自己紹介をさせていただきます。今年からこの県の警視総監に配属しました、地雷千里です。紹介が遅れてすまなかった」
「……何?千里、馬鹿なの?僕が警察嫌いなの知ってるよね。わざわざ嫌われに来たの?」
「いずれ、ちゃんと話そうって思ったから。この事件が始まったときから嫌われたらそこまでだなって。それから……」
千里は伊織の瞳が厳しいものだ、という事はわかっていた。それでも目をそらすことなくまっすぐと伊織のことを見つめる。嫌われたらそこまでだ、といった後に続けて口を開く。
「……それから、二年前の事件!私の部下が申し訳なかった!」
そのあとに続いた言葉は、全身全霊の謝罪だった。千里はここが公衆の場で人前だという事も忘れて頭をすごい勢いで下げた。その行動に少なくとも伊織は目を見開く。
「もし、伊織から詩織さんの話を聞いてなかったら、……また過ちを犯すところだった……。本当に申し訳ないです」
「はぁ?! ……馬っ鹿じゃねぇの!?……僕がそんなので嫌うわけないでしょ。馬鹿なんじゃない?助けてくれてありがとう……」
千里はその言葉を聞いて一度顔を上げた後瞳を少しうるませてから、再び「すいませんでした!」そう言いながら頭を下げる。
そして、千里は今日伊織に警察をしていることを、それもこの県のトップに立っていることを話すのだ。母親が千歳で、2年前にはもう交通事故で亡くなっていたこと、それで高校生になった自分が母親の意思を継いだこと。二年前には母親である千歳が亡くなっていたからとはいえ、千歳が亡くなったのは千里が小三の時、即ち、五年前だ。だから二年前の事件の対応はあってはならない事だ。いや、一年前だろうが、二か月前だろうが、二日前だろうが、その対応はあってはならないことだ。二年前の事件はきちんと謝罪をしなくてはいけない。
今更だって殴られるかもしれない。
今更だって許してくれないかもしれない。
縁を切られるかもしれない。
そんな不安が過ぎるが、いつかは避けては通れない道で、いつかは伝えようと思っていたことだ。それに、もう自分が何をしているかは、隠していたくなかった。確かに、先のことを思うと胸が苦しいし、この後のことを考えると、緊張なんてもんじゃなく、若干手が震えていた。千里は隣に立っている亜留斗にふと声をかける。
「にしても……。緊張してきたわ……。いろんな意味も込めて。うわ、俺今大丈夫?俺今生きてる?死んでない?」
「……安心してくれたまえ、お前はいつも通りだ」
「え、なんかそれはそれですげぇ馬鹿にされてる気分」
そんな風に話をしていると、やや後方から如一と、零、それから翔也の声が聞こえる。
『翔也君!』『……君さぁそこ、どいてくれない?騎士様気取りかい?……とにかく、俺は君には用はない。用があるのは君の後ろの橘伊織だ。君は邪魔なんだよ』『お前がこの連続殺人事件の犯人か……』
それを聞くなり千里と亜留斗は静かに頷き合う。千里が動き出したとほぼ同時に零は地をけった。それとほぼ同時だった。
「そこまでだ!ゼロ」
「如一様っ……?!」
「はぁ……?!」
如一の声が飛んできたのは。伊織は何が起こっているのか、まったくわかっていない、とでも言いたげに困惑していた。
それもそうだろう。
まさか自分が狙われているなんて微塵にも思っていないのだから。亜留斗はいつの間にか伊織の後ろに回っていたのか、伊織の腕をひいてその場から離れさせる。そこにも困惑の色を見せる。何が起こっているのか伊織には理解が追い付いていなかった。
そんな伊織の目に映ったのは駆けつけた如一がそのまま零を拘束するところのみ。
「おいっ千里!」
「わかってるっちゅーの!」
「え……」
―――そして、警察の格好をした千里の姿だった。伊織は信じられなくて後ずさりをした。それを千里は尻目に見やると、悲しそうに顔を顰め、見ていられなくなったのか、伊織からふいっと、目を逸らし、押さえつけられていた零の手首に手錠をかけた。
「藤塚零、4時50分銃刀法違反及び殺人の容疑で逮捕する」
そう静かに告げた後に千里は静かに伊織のことを見上げる。伊織は千里と目が合うと、じりっと一歩後ろに下がった。こうなるとはわかってはいたがやはり少し心に傷ができる。如一は慌てたかのように伊織に声をかける。
「待て待て、ちょっとでいいから千里の話を聞いてやってよ。頼むから、さ」
「は……?」
如一の言葉と、亜留斗に腕をがっしりとつかまれているのもあり、身動きが取れなくなった。伊織は諦めておとなしく千里の言葉を聞くことを決めると、千里は申し訳なさそうに無理に笑みをはっ付けながら、「今まで黙っててごめんな」と謝罪を入れた後に小さく咳払いをしてから軽く背筋を伸ばしてから伊織の見たことがないような顔をしながら改めて自己紹介をし始める。今までのヘラヘラとした薄気味悪い笑みを引っ込め、伊織の知らない顔で、でもどこか大嫌いなあの人を思い出させる顔つきで庵のことをじっと見つめた。
「改めて、自己紹介をさせていただきます。今年からこの県の警視総監に配属しました、地雷千里です。紹介が遅れてすまなかった」
「……何?千里、馬鹿なの?僕が警察嫌いなの知ってるよね。わざわざ嫌われに来たの?」
「いずれ、ちゃんと話そうって思ったから。この事件が始まったときから嫌われたらそこまでだなって。それから……」
千里は伊織の瞳が厳しいものだ、という事はわかっていた。それでも目をそらすことなくまっすぐと伊織のことを見つめる。嫌われたらそこまでだ、といった後に続けて口を開く。
「……それから、二年前の事件!私の部下が申し訳なかった!」
そのあとに続いた言葉は、全身全霊の謝罪だった。千里はここが公衆の場で人前だという事も忘れて頭をすごい勢いで下げた。その行動に少なくとも伊織は目を見開く。
「もし、伊織から詩織さんの話を聞いてなかったら、……また過ちを犯すところだった……。本当に申し訳ないです」
「はぁ?! ……馬っ鹿じゃねぇの!?……僕がそんなので嫌うわけないでしょ。馬鹿なんじゃない?助けてくれてありがとう……」
千里はその言葉を聞いて一度顔を上げた後瞳を少しうるませてから、再び「すいませんでした!」そう言いながら頭を下げる。
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