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平和な日常
8話
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伊織のクラブ見学の翌日。いつも通り学園に向かうと校門がいつもよりも騒がしかった。千里は不思議に思いながらいつも通り教室に向かい教室の自分の席に座り、窓の外を眺める。暫くすると、HRが始まる鐘がなり、それと同時に担任の遊原が教壇に上がり、出席の確認を取る。後に黒板に体育祭実行委員、と書くと一度こちらに振り返ってから口を開いた。
「……ということで今日は間もなく近づいている合同体育祭について話し合いたいのだが……、まずは実行委員を決めたいと思う。誰かやりたい人はいるか?」
当然だれも手を上げるようなもの好きはいない。少し困った顔をしながら、遊原は声をかけ続ける。そんな様子を見ていた千里はため息を一つついてから、ゆるりと手を上げるのだった。
「俺、やりますよ。誰もやらないみたいなんで……。用事が入らない限りはこれますし」
遊原はその言葉に安堵したような顔をしてから「じゃあ悪いけど頼んだよ、地雷」といわれ千里は適当に返事をすると、男子がもう一人必要らしく、めんどくせぇな、なんて思いながら窓の外をぼんやりと眺める。暫くすると遠くで、遊原の「じゃぁ、佐々木ー任せたぞ-」と言う声と共に拍手が上がる。
「えっと地雷さん、よろしくね?」
佐々木、と呼ばれていた男は千里の前まで来ると、頭を下げた。
「……律儀だな、お前。
……で?他に用は?」
「えっ……ないけど……」
「あっそ」
千里は声をかけられると、窓の外に向けていた冷めた視線をそのまま上野に向けた。律儀だな、と言いながらじっと見つめる。しかし、その後に続く言葉を待ってみたが、その後に何も言葉がこない。いつまでも目を合わせていたく無かった千里はきっとにらみつけながら用があるのかと尋ねると、上野は少し肩をびくりと震わせながら、無いと答える。
千里がそれを聞くと目を逸らしながら口を開く。怯えさせてしまった、と思う反面これでこいつはあまり話し掛けてこなくなるだろう、と思うと心が軽くなる。ふと、隣のクラスにいる、伊織や楔、それから幼馴染みのことが気になった。
「あいつら、どーしてんだろーな……」
なんて呟きながら空を見上げた。
ふと教室の様子に、係り決めの最中だった。黒板に目を向けようとするとそれよりも先に遊原と目が合う。遊原は目が合うなり黒板を軽く叩きながら千里に声をかける。
「地雷―、お前だけだぞ、まだ希望かきに来てねぇの」
「あー……。遊原、何が残ってる?できれば得点か救護やりてぇんだけど」
「……救護が残ってる。じゃあ、地雷は救護やるんだな、分かった」
千里が黒板を見ること無く遊原に質問を投げかけると、こめかみをぴくりと動かしつつも黒板で確認をしたあと、千里に向き直り、返事の有無を聞くことなく、分かった、と言いながら黒板に千里の名前を書き込む。千里はそれを気にとめることなく再び窓の外に目線を戻す。隣のクラスは誰が実行委員やるのだろう、とそんなことを頭の片隅で考えながら。
その頃、伊織たちのクラスでは――――。
「はいはぁい、伊織ちゃんと僕が実行委員やりまぁす」
「そうか、じゃあ縁と橘、任せたぞー」
「ガンバローね、楔」
元から二人でやるつもりだったのか、片桐から実行委員の話が出ると間髪入れずに伊織と楔が手を上げる。片桐は予定よりも実行委員決めが早く終わり、快く思っていたが、それに反して思っていない者も確かにいたのだった。それは蒼だ。できれば係りくらいは一緒になれないかな、と言う淡い期待を持ちながら、その期待は儚くも散ってしまった。
事前から二人でやろう、と打ち合わせをしていたのだろう。二人は係も一緒のようで先ほどと同じように楔が伊織の分も一緒に救護に立候補をしていた。そのことに蒼は若干いらいらしながら得点に手を上げる。伊織ちゃんと一緒がいいのに、そう思いながらも口にできないもどかしさや、楔に対する苛つきが募るだけだった。そんな時だった。ふと目が合った楔に勝ち誇ったような、人を見下したかのような顔をした楔と目が合う。ほんの一瞬のことだったので見間違いなのではないかと疑いたくなるぐらいには、信じられなかった。思わず小さく「……はぁ?」と言う言葉が漏れるくらいには。
「じゃあ、この後会議あるからな、皆さぼらずに行けよ。特ににお前だ太田!」
片桐は名指しで蒼の名を呼ぶと当の本人は面白そうにしながら「やだなぁ、流石にサボらないですよー」と言いながら教室を出ていく片桐の背中に声を投げかけた。片桐が席を外すと同時、みんなそれぞれ自由に動き始める。伊織のほうを見るとすでに楔と話し込んでいて、楽しそうにしていた。それにも少し腹立たしく感じるのだったが、そこで諦めるような男ではない。蒼はそこに邪魔をするかのように話しかけに向かう。
「いーおりちゃんっ。何の話してるの?僕もまーぜて」
「あ、蒼。んっとね、救護他に誰いるかなーっていうのと、お仕事がんばろーねって話―」
「へぇ、千里ちゃんあたりは実行委員と救護やってそうだよね。僕のところ、ほかに誰がいるかな」
「あ、蒼もそう思うー?僕ら気が合うねーやった」
蒼がいつも通り人のよさそうな笑顔で話しかけると伊織はにへらと笑いながら蒼のことを向かい入れると蒼も自然な流れで
話に混ざる。
次の時間。
「あ、縁と伊織じゃん。んだよおまらも実行委員なのか?奇遇だなぁ」
伊織たちが集合場所と指定されていた場所に向かうとすでに千里はそこにいてプリントを手にして目を通していた。千里は伊織たちに気が付くと顔を上げながらへらりと軽く口元を緩ませる。声をかけると伊織と楔も千里の近くに駆け寄る。席はどうやら自由らしく各々が好きなところに座っていた。千里は二人に多めにとっておいたプリントを手渡しながら、口を開く。
「なぁなぁ、伊織は係何にした?」
「うんとねー、楔と一緒にしたんだけど、救護だよ。千里は?」
伊織派とありの席にスあるなり、係は何にしたのかと聞かれ、伊織は素直に救護だと答えた後に千里に聞き返すと千里は一度目を丸くした後に小さく吹き出して「俺も救護だよ」と答える。伊織は蒼ちゃんすげぇ、流石だ。そう思いながらも自分もすごいな、と思っていた。二人の予想は当たっていたのだから。
「あー……そういや、縁。お前って体育祭の種目何かでんの?」
「え?僕……?うーん今のところ悩んでるけどぉ……、多分借り物競争に出る予定だよぉ。そういう千里ちゃんは?」
「えっ……?おれぇ?うーん、俺も多分借り物に出ると思うけど……。他にやるとしたら部活対抗リレーくらいだと思うよ。部活対抗リレーは実際問題出るのはもう決まってるよ」
「そしたら僕たちライバルだねぇ、千里ちゃん足早いからなぁ、負けちゃうかも」
千里が伊織と話している割に楔と話していないことに気が付いた千里は、普通になるように心がけながらも楔に問いを投げると案外普通に応答があったことに驚きつつも楔からの問いに対する答えも返すと、負けちゃうかも、なんていう言葉を聞いた。たしかに伊織の言う通りそこまで悪いやつなわけでもなさそうなのだが、やはりどこか怪しいと思ってしまうのは高校に入ってから始めた副業という名の本職のせいだろう。しかし、勘違いだ、と言うことにしてその考えを振り切る。千里のこの時の違和感を蔑ろにしてしまった事に後に後悔することになるのだが、それはまだまだ先のお話。ともかくその考えを振り切ると口を開いた。
「うん、勝っちゃおうかな」
「んもお、千里ちゃんの意地悪」
そう言いながら楔は頬を膨らませる。こいつあざといな、とか思いながら千里は「だって勝負事では手ぇ抜きたくねぇし」と答えると楔も少し不服そうにしながらも納得したようだった。案外あっさりと手を引いたことにも驚きつつも視線を黒板に戻すといつの間にか担当の飛山健介と遊原それから、数学の教師永藏矢惠が立っていた。飛山は何故か笑みを浮かべていたし遊原は笑顔が引きつっていて、震えているし、矢惠に関してはにやにやと笑っていた。
「そこの三人とも。お話は終わりましたか?」
「あーうん。終わりました。いつでもどうぞ」
飛山と目が合うと諭すようにそう言われた千里はいつでもどうぞ、というとにっこりと笑いながら飛山は説明を始める。悪いことをしたなぁなんて思いながらメモをしながら話を聞き続けるのだった
「……ということで今日は間もなく近づいている合同体育祭について話し合いたいのだが……、まずは実行委員を決めたいと思う。誰かやりたい人はいるか?」
当然だれも手を上げるようなもの好きはいない。少し困った顔をしながら、遊原は声をかけ続ける。そんな様子を見ていた千里はため息を一つついてから、ゆるりと手を上げるのだった。
「俺、やりますよ。誰もやらないみたいなんで……。用事が入らない限りはこれますし」
遊原はその言葉に安堵したような顔をしてから「じゃあ悪いけど頼んだよ、地雷」といわれ千里は適当に返事をすると、男子がもう一人必要らしく、めんどくせぇな、なんて思いながら窓の外をぼんやりと眺める。暫くすると遠くで、遊原の「じゃぁ、佐々木ー任せたぞ-」と言う声と共に拍手が上がる。
「えっと地雷さん、よろしくね?」
佐々木、と呼ばれていた男は千里の前まで来ると、頭を下げた。
「……律儀だな、お前。
……で?他に用は?」
「えっ……ないけど……」
「あっそ」
千里は声をかけられると、窓の外に向けていた冷めた視線をそのまま上野に向けた。律儀だな、と言いながらじっと見つめる。しかし、その後に続く言葉を待ってみたが、その後に何も言葉がこない。いつまでも目を合わせていたく無かった千里はきっとにらみつけながら用があるのかと尋ねると、上野は少し肩をびくりと震わせながら、無いと答える。
千里がそれを聞くと目を逸らしながら口を開く。怯えさせてしまった、と思う反面これでこいつはあまり話し掛けてこなくなるだろう、と思うと心が軽くなる。ふと、隣のクラスにいる、伊織や楔、それから幼馴染みのことが気になった。
「あいつら、どーしてんだろーな……」
なんて呟きながら空を見上げた。
ふと教室の様子に、係り決めの最中だった。黒板に目を向けようとするとそれよりも先に遊原と目が合う。遊原は目が合うなり黒板を軽く叩きながら千里に声をかける。
「地雷―、お前だけだぞ、まだ希望かきに来てねぇの」
「あー……。遊原、何が残ってる?できれば得点か救護やりてぇんだけど」
「……救護が残ってる。じゃあ、地雷は救護やるんだな、分かった」
千里が黒板を見ること無く遊原に質問を投げかけると、こめかみをぴくりと動かしつつも黒板で確認をしたあと、千里に向き直り、返事の有無を聞くことなく、分かった、と言いながら黒板に千里の名前を書き込む。千里はそれを気にとめることなく再び窓の外に目線を戻す。隣のクラスは誰が実行委員やるのだろう、とそんなことを頭の片隅で考えながら。
その頃、伊織たちのクラスでは――――。
「はいはぁい、伊織ちゃんと僕が実行委員やりまぁす」
「そうか、じゃあ縁と橘、任せたぞー」
「ガンバローね、楔」
元から二人でやるつもりだったのか、片桐から実行委員の話が出ると間髪入れずに伊織と楔が手を上げる。片桐は予定よりも実行委員決めが早く終わり、快く思っていたが、それに反して思っていない者も確かにいたのだった。それは蒼だ。できれば係りくらいは一緒になれないかな、と言う淡い期待を持ちながら、その期待は儚くも散ってしまった。
事前から二人でやろう、と打ち合わせをしていたのだろう。二人は係も一緒のようで先ほどと同じように楔が伊織の分も一緒に救護に立候補をしていた。そのことに蒼は若干いらいらしながら得点に手を上げる。伊織ちゃんと一緒がいいのに、そう思いながらも口にできないもどかしさや、楔に対する苛つきが募るだけだった。そんな時だった。ふと目が合った楔に勝ち誇ったような、人を見下したかのような顔をした楔と目が合う。ほんの一瞬のことだったので見間違いなのではないかと疑いたくなるぐらいには、信じられなかった。思わず小さく「……はぁ?」と言う言葉が漏れるくらいには。
「じゃあ、この後会議あるからな、皆さぼらずに行けよ。特ににお前だ太田!」
片桐は名指しで蒼の名を呼ぶと当の本人は面白そうにしながら「やだなぁ、流石にサボらないですよー」と言いながら教室を出ていく片桐の背中に声を投げかけた。片桐が席を外すと同時、みんなそれぞれ自由に動き始める。伊織のほうを見るとすでに楔と話し込んでいて、楽しそうにしていた。それにも少し腹立たしく感じるのだったが、そこで諦めるような男ではない。蒼はそこに邪魔をするかのように話しかけに向かう。
「いーおりちゃんっ。何の話してるの?僕もまーぜて」
「あ、蒼。んっとね、救護他に誰いるかなーっていうのと、お仕事がんばろーねって話―」
「へぇ、千里ちゃんあたりは実行委員と救護やってそうだよね。僕のところ、ほかに誰がいるかな」
「あ、蒼もそう思うー?僕ら気が合うねーやった」
蒼がいつも通り人のよさそうな笑顔で話しかけると伊織はにへらと笑いながら蒼のことを向かい入れると蒼も自然な流れで
話に混ざる。
次の時間。
「あ、縁と伊織じゃん。んだよおまらも実行委員なのか?奇遇だなぁ」
伊織たちが集合場所と指定されていた場所に向かうとすでに千里はそこにいてプリントを手にして目を通していた。千里は伊織たちに気が付くと顔を上げながらへらりと軽く口元を緩ませる。声をかけると伊織と楔も千里の近くに駆け寄る。席はどうやら自由らしく各々が好きなところに座っていた。千里は二人に多めにとっておいたプリントを手渡しながら、口を開く。
「なぁなぁ、伊織は係何にした?」
「うんとねー、楔と一緒にしたんだけど、救護だよ。千里は?」
伊織派とありの席にスあるなり、係は何にしたのかと聞かれ、伊織は素直に救護だと答えた後に千里に聞き返すと千里は一度目を丸くした後に小さく吹き出して「俺も救護だよ」と答える。伊織は蒼ちゃんすげぇ、流石だ。そう思いながらも自分もすごいな、と思っていた。二人の予想は当たっていたのだから。
「あー……そういや、縁。お前って体育祭の種目何かでんの?」
「え?僕……?うーん今のところ悩んでるけどぉ……、多分借り物競争に出る予定だよぉ。そういう千里ちゃんは?」
「えっ……?おれぇ?うーん、俺も多分借り物に出ると思うけど……。他にやるとしたら部活対抗リレーくらいだと思うよ。部活対抗リレーは実際問題出るのはもう決まってるよ」
「そしたら僕たちライバルだねぇ、千里ちゃん足早いからなぁ、負けちゃうかも」
千里が伊織と話している割に楔と話していないことに気が付いた千里は、普通になるように心がけながらも楔に問いを投げると案外普通に応答があったことに驚きつつも楔からの問いに対する答えも返すと、負けちゃうかも、なんていう言葉を聞いた。たしかに伊織の言う通りそこまで悪いやつなわけでもなさそうなのだが、やはりどこか怪しいと思ってしまうのは高校に入ってから始めた副業という名の本職のせいだろう。しかし、勘違いだ、と言うことにしてその考えを振り切る。千里のこの時の違和感を蔑ろにしてしまった事に後に後悔することになるのだが、それはまだまだ先のお話。ともかくその考えを振り切ると口を開いた。
「うん、勝っちゃおうかな」
「んもお、千里ちゃんの意地悪」
そう言いながら楔は頬を膨らませる。こいつあざといな、とか思いながら千里は「だって勝負事では手ぇ抜きたくねぇし」と答えると楔も少し不服そうにしながらも納得したようだった。案外あっさりと手を引いたことにも驚きつつも視線を黒板に戻すといつの間にか担当の飛山健介と遊原それから、数学の教師永藏矢惠が立っていた。飛山は何故か笑みを浮かべていたし遊原は笑顔が引きつっていて、震えているし、矢惠に関してはにやにやと笑っていた。
「そこの三人とも。お話は終わりましたか?」
「あーうん。終わりました。いつでもどうぞ」
飛山と目が合うと諭すようにそう言われた千里はいつでもどうぞ、というとにっこりと笑いながら飛山は説明を始める。悪いことをしたなぁなんて思いながらメモをしながら話を聞き続けるのだった
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