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平和な日常
2話
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千里たちが校舎に入るとさらにあたりは賑やかになる。囁きながら周りはあることないこと囁きあう。『やっぱり地雷さんは太田君なのかなぁ……』『なぁんかさ、美男美女って感じでお似合いだよなぁ……』『つか太田や吉良津羨ましくね?あいつの周りモテるやつばかりじゃん。地雷さんもそうだけど、舶来さんや橘さんだってあの二人と一緒にいるだろ?たしかに羨ましいよな』『ていうか、地雷ってさぁ、調子乗ってるよねぇ、ちょっと男にもてて、蒼君と幼馴染で、縁くんや翔太くんと仲がいいからって。仏頂面がイケメン独占するなっての』『分かるわー、ぜってぇあいつビッチだろ』『てか殆どの男子みんなあいつかわいーとか言うけど、どこが?ただの無愛想な奴じゃん』『あれじゃない?ほら、男の前だけいい顔するやつ』『うわー、無いわー』 そんな囁き声がきこえるが、千里は昔から日常的に軽い嫌がらせや、あることないこと女子の間では噂をされていた。だから千里はこのような話には慣れたし正直な話、本音を言ってしまったらこんなくだらないことしてる暇あるなら、勉強するとか、もっと時間を有意義に使えよと思っていたりする。
思っているだけで言わないのには一応それらしい理由があり、実は中学のころに一度だけ「くだらない、もっと時間を有意義に使え」と本音を口にしたら逆切れされ髪を切られる、という実被害にあったのでそれ以来は言わないようにはしているが、やはりなぜこんなつまらないことをしているのだろうと思う。千里はその時に切られた周りより少し短い髪をクルクルと回しながらあの時のことを思い出していた
────そう言えば、アイツと話すようになったのってこの事件がきっかけだったような気がするな、なんて思いながらもっと深くあの頃を思い出そうと思って考え込む。今思えばあの頃は今よりもあいつのことを信じていなくていつも何かしら反抗していて、今よりも仲が良くなかった。いや正直にいえばこの髪を切られるという事件がなければ今も俺はあいつのことを信用はしなかっただろうな、と思う。周りのひそひそ話に耳を傾けると未だに愚痴が出てくるようで思わず色々な意味でため息がこぼれた。そんな時だった。
隣からただならぬ殺気を感じそちらを見るとあからさまに不機嫌そうな顔をした蒼が歩いていた。それを見た千里は苦笑をしながら「まぁまぁ、落ち着けって」と宥めながら歩く。
千里が無愛想なのは信用の置いてないものの前では誰でもなので、そんなのではないのだが、女子の目からはそうは見えてないらしい。千里は内心、めんどくさい、しょうもない、そう思いながら歩き続ける。そんな時だった。
「ちーさーとっ!」
「うわっ!!……危ないよ、秋良……。まったく秋良みたいに身長でかい人に飛びつかれたら俺倒れちゃう。今は蒼が、助けてくれたから転ばなかったけど。蒼、ありがとね」
「ごめんなさーい……」
「秋良ちゃん、気をつけてよ?」
「うん、気をつけんね」
何度目かのため息の後に後ろから名前を呼びながらいきなり思い切り飛びつかれ、千里はくんっと前のめりになるが、倒れるすんでんのところで隣に立っていた蒼が千里のことを助けた。千里は蒼にありがとね、と言いながら、後ろから飛びついた女子生徒────、先輩である舶来 秋良の名を呼んだ。
翔太が恋慕の念を抱いている相手でもある。蒼は気をつけてね、と少しだけ肩をすくめながら軽く窘めた。そんなことも気が付かないで少し恥ずかしそうにしながら、気をつける、と言いながら頬を赤く染めたまま緩ませた。その後何かに気がついた様に蒼と翔太、千里に挨拶を交わす。
秋良は千里のことを慕っている一つ上の先輩で、正直に言うと相当天然な性格をしていた。それでも千里たちが所属する部活ではそれなりに強い。それから、秋良もそれなりにもてていた。特別美人なわけでもかわいいわけでもなかったが素朴なかわいさ、とかいうやつで普通くらいには好意を寄せられていた。
性格は明るくいつもニコニコと笑顔を絶やさず、男女ともにそれなりに人望もあった。千里も最初は警戒こそしていたが、今では彼女の良さに気がつき、信頼していた。千里が信頼できたのも最初の方であまりぐいぐいこられなかったからだろう。思いやりの心も持っていて、若干男の子っぽいところを除けば女子のあこがれと言っても過言ではない。
「あ、オハヨ、蒼くん、翔太くん」
「おう、おはよ。秋良」
「おっ、おはよう!秋良っ!」
「おはようございます、先輩。ほんと先輩って千里のこと好きですよね」
「うん!好きだよ!むしろリスペクトしてる!千里は剣道強いからね!今年もまた全国制覇&優勝準優勝準々優勝ぐらいまで桜才学園独占目指せるなぁ。だって今年の1年生、蒼くんに、翔太くんに、千里でしょ!こんなかで誰が優勝するかなぁ、強者揃いだから今からでも楽しみなんだよね!」
「んー、長期戦に持ってこられるとやっぱり蒼じゃね?何気に蒼、強いし。俺でも長期戦に持ち込まれるとちょっときついですし。……というか秋良?俺まだ入部届けだしてないよ」
「あ、それわかるっ。蒼君強いよね!今年は本当みんな結構強い子ばかりだからな、楽しみ!え……。何やってんの?早く出して?入部届け」
「きゃー、怖い先輩に入部強制されるー」
蒼が挨拶を返した後に部活の話、剣道を話題に出すと、秋良の顔は一気に華やいだ。秋良は珍しく興奮気味に春の大会の話をした。それも目を輝かせながら。
それもそのはずだ。今年はそれなりに強いものが入部をしてきている。実際問題、蒼も翔太もかなり強い。千里はどうやらかなり有能視されているらしく、すごい期待を込めた瞳で見つめられる。誰が優勝したかという問いには千里は少し悩んだ後に幼馴染の名前を出す。しかしそのあとに千里は突き落とす。しかしケラケラと笑いながら、冗談を交わし合う。そもそも千里たちの通う学校は有名な進学校なのとともに、武道に関しては得にずば抜けて、強豪校なのだ。
というのも、学校自体が勉強も運動もできる文武両道に、というのが姉妹校である桜庭学園と桜才学園のカリキュラムであり、特に武道に関しては特に力を入れてる。
なので剣道、柔道を行う道場はとても大きい。 その中でも特に一番大きいのは────。
「あ、伊織!なんだよ、薙刀部、休憩中か?」
噂をすればなんとやらなのか、学園でも一番道場が大きい薙刀部に所属する橘 伊織という少女が疲れた顔をしながらこれまた疲れた足取りで部室棟のほうから姿を現した。もともと薙刀は武器が大きいので道場が大きい、というのもあるのだが、それ以上にかなり実績も上げている。薙刀は珍しい武道ということで入る人は多いが、練習量がほかの部活と比べると、ずば抜けて多いのと技や基本が難しかったりする。練習に耐えられなくなった生徒の多くが、あまり厳しくないと言われている柔道に入る。
その点剣道は有名な分入ってくる者も多くいるが、桜才学園は先ほども述べたように強豪校だ。その為、剣道部の練習量も半端じゃない。剣道部も同様の理由で多くの生徒が入部してきては練習量に耐えられずやめて行ったり、女子の入部者も何人かいたが、防具の重さや、練習量に耐えられずやめていく人が後を絶たなかった。
あとは、今年と去年で入った男の子で仲良くなりたい、という浅ましい考えの女子も多くいたがその人たちも、後にやめていってしまった。
なので、今のところ女子部員は秋良と千里の二人だけだろう。やめていくその背中を既に千里自身も何人か見送っている。
ともかく桜才学園の中でも一位二位を争うほどに実績を持っている薙刀部に所属している伊織は千里に話しかけられると、少し苛立った口調で千里のに返事をする。心なしか態度もいつもよりも冷たい。
「……まぁ」
「疲れてんなぁ、また馬鹿如一のせいか?」
「わかってるなら聞かないでくださいよ……。千里のほうであの人なんとかならないですか?」
「アイツ、物覚え悪すぎだよなぁー、あとその件についてだけど、悪いけど、俺じゃ無理」
千里はケラケラと笑いながら、目を細めて笑った。 冬木 如一────。この場にこそいないが、千里にとって大切な友人のひとりで、助けてもらったことが何度もある人だ。因みに髪を切られた事件を助けてくれたのも如一なので、千里は頭が上がらなかったりする。それに千里、蒼の一つ上の先輩でもある。そんな彼女はとても強かった。
しかしこの目の前にいる、橘 伊織という千里の同期である女に呆気なく負けた。余りにもの屈辱で今は薙刀部にて日々、練習に取り組んでいる。……試合を申し込んでは負けているのだが。伊織とはそんな縁で再び仲良くなったのだ。
「そろそろ、終わるんで、戻ります。……みなさんは教室に行きますか?」
「そっか。んー、戻ることにしよっかな。今度薙刀部見せてもらうわー」
「そうしてください。……別に来てもいいですけど……、剣道部はどうするんですか?」
「あー?そうだなぁ、休憩中とか部活が休みの日にでも見に来ることにするよ」
「そうですか……。じゃあ、待ってますね」
千里は軽く手を振ってから、千里は教室へと入っていく。蒼はその背中を追いかけながら、ニコニコとしながら嬉しそうにしながら口を開く。
「千里ちゃん高校入ってからだいぶ変わったよね。笑う数も増えたし、お友達が沢山増えたようで僕は嬉しいよ」
「ほんと蒼お父さんみたい……。発言の一つ一つがまるで心配症で過保護な結構年いったオヤジだよ……」
「えぇ……、酷くない……?」
思っているだけで言わないのには一応それらしい理由があり、実は中学のころに一度だけ「くだらない、もっと時間を有意義に使え」と本音を口にしたら逆切れされ髪を切られる、という実被害にあったのでそれ以来は言わないようにはしているが、やはりなぜこんなつまらないことをしているのだろうと思う。千里はその時に切られた周りより少し短い髪をクルクルと回しながらあの時のことを思い出していた
────そう言えば、アイツと話すようになったのってこの事件がきっかけだったような気がするな、なんて思いながらもっと深くあの頃を思い出そうと思って考え込む。今思えばあの頃は今よりもあいつのことを信じていなくていつも何かしら反抗していて、今よりも仲が良くなかった。いや正直にいえばこの髪を切られるという事件がなければ今も俺はあいつのことを信用はしなかっただろうな、と思う。周りのひそひそ話に耳を傾けると未だに愚痴が出てくるようで思わず色々な意味でため息がこぼれた。そんな時だった。
隣からただならぬ殺気を感じそちらを見るとあからさまに不機嫌そうな顔をした蒼が歩いていた。それを見た千里は苦笑をしながら「まぁまぁ、落ち着けって」と宥めながら歩く。
千里が無愛想なのは信用の置いてないものの前では誰でもなので、そんなのではないのだが、女子の目からはそうは見えてないらしい。千里は内心、めんどくさい、しょうもない、そう思いながら歩き続ける。そんな時だった。
「ちーさーとっ!」
「うわっ!!……危ないよ、秋良……。まったく秋良みたいに身長でかい人に飛びつかれたら俺倒れちゃう。今は蒼が、助けてくれたから転ばなかったけど。蒼、ありがとね」
「ごめんなさーい……」
「秋良ちゃん、気をつけてよ?」
「うん、気をつけんね」
何度目かのため息の後に後ろから名前を呼びながらいきなり思い切り飛びつかれ、千里はくんっと前のめりになるが、倒れるすんでんのところで隣に立っていた蒼が千里のことを助けた。千里は蒼にありがとね、と言いながら、後ろから飛びついた女子生徒────、先輩である舶来 秋良の名を呼んだ。
翔太が恋慕の念を抱いている相手でもある。蒼は気をつけてね、と少しだけ肩をすくめながら軽く窘めた。そんなことも気が付かないで少し恥ずかしそうにしながら、気をつける、と言いながら頬を赤く染めたまま緩ませた。その後何かに気がついた様に蒼と翔太、千里に挨拶を交わす。
秋良は千里のことを慕っている一つ上の先輩で、正直に言うと相当天然な性格をしていた。それでも千里たちが所属する部活ではそれなりに強い。それから、秋良もそれなりにもてていた。特別美人なわけでもかわいいわけでもなかったが素朴なかわいさ、とかいうやつで普通くらいには好意を寄せられていた。
性格は明るくいつもニコニコと笑顔を絶やさず、男女ともにそれなりに人望もあった。千里も最初は警戒こそしていたが、今では彼女の良さに気がつき、信頼していた。千里が信頼できたのも最初の方であまりぐいぐいこられなかったからだろう。思いやりの心も持っていて、若干男の子っぽいところを除けば女子のあこがれと言っても過言ではない。
「あ、オハヨ、蒼くん、翔太くん」
「おう、おはよ。秋良」
「おっ、おはよう!秋良っ!」
「おはようございます、先輩。ほんと先輩って千里のこと好きですよね」
「うん!好きだよ!むしろリスペクトしてる!千里は剣道強いからね!今年もまた全国制覇&優勝準優勝準々優勝ぐらいまで桜才学園独占目指せるなぁ。だって今年の1年生、蒼くんに、翔太くんに、千里でしょ!こんなかで誰が優勝するかなぁ、強者揃いだから今からでも楽しみなんだよね!」
「んー、長期戦に持ってこられるとやっぱり蒼じゃね?何気に蒼、強いし。俺でも長期戦に持ち込まれるとちょっときついですし。……というか秋良?俺まだ入部届けだしてないよ」
「あ、それわかるっ。蒼君強いよね!今年は本当みんな結構強い子ばかりだからな、楽しみ!え……。何やってんの?早く出して?入部届け」
「きゃー、怖い先輩に入部強制されるー」
蒼が挨拶を返した後に部活の話、剣道を話題に出すと、秋良の顔は一気に華やいだ。秋良は珍しく興奮気味に春の大会の話をした。それも目を輝かせながら。
それもそのはずだ。今年はそれなりに強いものが入部をしてきている。実際問題、蒼も翔太もかなり強い。千里はどうやらかなり有能視されているらしく、すごい期待を込めた瞳で見つめられる。誰が優勝したかという問いには千里は少し悩んだ後に幼馴染の名前を出す。しかしそのあとに千里は突き落とす。しかしケラケラと笑いながら、冗談を交わし合う。そもそも千里たちの通う学校は有名な進学校なのとともに、武道に関しては得にずば抜けて、強豪校なのだ。
というのも、学校自体が勉強も運動もできる文武両道に、というのが姉妹校である桜庭学園と桜才学園のカリキュラムであり、特に武道に関しては特に力を入れてる。
なので剣道、柔道を行う道場はとても大きい。 その中でも特に一番大きいのは────。
「あ、伊織!なんだよ、薙刀部、休憩中か?」
噂をすればなんとやらなのか、学園でも一番道場が大きい薙刀部に所属する橘 伊織という少女が疲れた顔をしながらこれまた疲れた足取りで部室棟のほうから姿を現した。もともと薙刀は武器が大きいので道場が大きい、というのもあるのだが、それ以上にかなり実績も上げている。薙刀は珍しい武道ということで入る人は多いが、練習量がほかの部活と比べると、ずば抜けて多いのと技や基本が難しかったりする。練習に耐えられなくなった生徒の多くが、あまり厳しくないと言われている柔道に入る。
その点剣道は有名な分入ってくる者も多くいるが、桜才学園は先ほども述べたように強豪校だ。その為、剣道部の練習量も半端じゃない。剣道部も同様の理由で多くの生徒が入部してきては練習量に耐えられずやめて行ったり、女子の入部者も何人かいたが、防具の重さや、練習量に耐えられずやめていく人が後を絶たなかった。
あとは、今年と去年で入った男の子で仲良くなりたい、という浅ましい考えの女子も多くいたがその人たちも、後にやめていってしまった。
なので、今のところ女子部員は秋良と千里の二人だけだろう。やめていくその背中を既に千里自身も何人か見送っている。
ともかく桜才学園の中でも一位二位を争うほどに実績を持っている薙刀部に所属している伊織は千里に話しかけられると、少し苛立った口調で千里のに返事をする。心なしか態度もいつもよりも冷たい。
「……まぁ」
「疲れてんなぁ、また馬鹿如一のせいか?」
「わかってるなら聞かないでくださいよ……。千里のほうであの人なんとかならないですか?」
「アイツ、物覚え悪すぎだよなぁー、あとその件についてだけど、悪いけど、俺じゃ無理」
千里はケラケラと笑いながら、目を細めて笑った。 冬木 如一────。この場にこそいないが、千里にとって大切な友人のひとりで、助けてもらったことが何度もある人だ。因みに髪を切られた事件を助けてくれたのも如一なので、千里は頭が上がらなかったりする。それに千里、蒼の一つ上の先輩でもある。そんな彼女はとても強かった。
しかしこの目の前にいる、橘 伊織という千里の同期である女に呆気なく負けた。余りにもの屈辱で今は薙刀部にて日々、練習に取り組んでいる。……試合を申し込んでは負けているのだが。伊織とはそんな縁で再び仲良くなったのだ。
「そろそろ、終わるんで、戻ります。……みなさんは教室に行きますか?」
「そっか。んー、戻ることにしよっかな。今度薙刀部見せてもらうわー」
「そうしてください。……別に来てもいいですけど……、剣道部はどうするんですか?」
「あー?そうだなぁ、休憩中とか部活が休みの日にでも見に来ることにするよ」
「そうですか……。じゃあ、待ってますね」
千里は軽く手を振ってから、千里は教室へと入っていく。蒼はその背中を追いかけながら、ニコニコとしながら嬉しそうにしながら口を開く。
「千里ちゃん高校入ってからだいぶ変わったよね。笑う数も増えたし、お友達が沢山増えたようで僕は嬉しいよ」
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