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トレント×魔王様
11.過保護な補佐
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「ワイアット?ちょっと、どうかした?…俺何かした?ええっと、…俺の顔に何かついてる?」
きょときょとと目を瞬かせて自分の身体を見下ろすも、特にいつもと変わりない。
トレントの卵を孕んだ腹は元の薄くてスッキリとしたいつもの腹に戻っているし、淫紋もいつも通りの薄いピンク色をしている。手足は手入れをせずとも毛一本も無いつるんとした肌をしているので、毛深くて嫌がられる事もない。怪我をしているわけでもないし、顔をぺたぺた触ってみても何かがついているわけではない。
何なんだろう?と首を傾げてみせれば、それまでワナワナと震えていたワイアットが、ガクンと両膝を床につけた。
「あっ、ちょっと!スーツ濡れる!」
プライベートとはいえここは室内プールだ。当然フィリベルトとアルがプールで遊んだので、プールサイドのタイルは散った水で濡れている。
ワイアットのスーツはオーダーメイドだと聞いていたので、きっと高いはず。プールの水で濡れてもいいものなのかと慌てて指摘すれば、フィリベルトの声よりも大きな声が返ってきた。
「どこのどいつですか!フィリ様の乳首をそんな風にしたやつは!?トレントですか!それともそこのアルですか!?」
「…………は?」
突然名指しされたアルは、ピッ!?と驚きの声を上げてボンッと全身の毛を膨らませた後、頭を左右にぶんぶんと振った。頭が取れそうな程の高速具合にフィリベルトはちょっと心配になった。
ワイアットの魔力波を受けてビビったアルを、フィリベルトはサッと腕に抱いて背を撫でた。
「そんなに怖がらせるなよ、お前の魔力にビビってんじゃん。おー、怖かったな、よしよし」
「きゅうう~~……」
「なるほど、そこのアルミラージが原因ではない、と。では今日のお相手であるトレントですね」
スッと音も無く立ったワイアットは、オールバックにした髪を撫でつけて凄んだ。が、両膝が濡れているので凄み半減だ。
凄んだワイアットの両目はフィリベルトの乳首に向けられていた。両目ともガン開きだ。
回復力の高い魔王の身体を以てしても、長時間嬲られた乳首の回復には少々時間が掛かっていて、未だにフィリベルトの乳首はぷっくりと腫れて真っ赤になっている。
揉みしだかれてふっくらとした雄っぱいに、まるでサクランボが乗っているみたいにピンと勃ったままだ。
普段のフィリベルトの乳首を知っているワイアットの脳内で、フィリベルトが乳首を虐められて嫌がっている映像が流れ始める。フィリベルトが魔王になって凡そ100年、その間見守ってきた大事な主の乳首が真っ赤に腫れていたのだから、ワイアットが酷い想像をしてしまうのも仕方ない。
「いいですか、魔王である貴方様の回復力は悪魔族である私でも目を瞠る程のもの。その貴方の乳首がここまで腫れて美味しそうなほど真っ赤になるなど…っ、どんな恥辱をうけたのかと…ッ!」
「この乳首は、俺が好きでやったプレイなんだからいーの!」
「貴方の乳首がここまで腫れるのはスライムとのモンスタークリエイトの時くらいですね。スライムの特性上、乳腺を刺激して母乳を出すプレイがあるのも知っていたので、貴方の胸が膨らんだのも理解できます。ですが、トレントには乳首を改良する特性など無かった筈…。それなのに、こんなに、真っ赤に膨らんで……、お労しい…っ、…普段の二倍もあるじゃないですか!」
「別にいいだろ!自分の乳首で好き勝手にプレイしたって!俺みたいに乳首が責められるのが好きなタイプがいるように、トレントにだって乳首責めるのが好きなタイプがいたって可笑しくない!ほっとけばそのうち回復するんだし!それに恥辱って…、俺は好きで乳首責めを受け入れたんだよ!」
ワイアットの勝手な言い分にカチンときたフィリベルトはプールの水をバシャバシャとワイアットに向かって飛ばした。嫌なプレイだったら自分で止めるだけの力は持っている。好きでやったプレイに文句言われてムッとしたのだ。好きなものは堂々と好きと公言していたい。
「俺の好きなもの、否定しないでよ…」
頬を膨らませてムッとした表情でワイアットを見上げれば、水をかけられて落ち着いたのか、ワイアットがゆっくりとその場にしゃがみこんだ。
「フィリ様…、そこで上目遣いは反則でしょう」
ぼそぼそと何かを言ったワイアットの言葉は聞こえなかったけれど、ワイアットの顔から凄みが消えていたので、頭は冷えてくれたらしい。プールの水をかけたのはやり過ぎだったかなと後悔していたのだが、ほっとした。
「ワイアットも好きなもの否定されたら嫌な気持ちになるでしょ」
「はい、そうですね。フィリ様に言われて気付きました」
「へへ…」
ニコっと笑ったワイアットに釣られてへへ、と笑えば、ワイアットにちょいちょいと手招きされた。
「なに?」
浮き輪に乗ったまま水を掻いて近寄れば、浮き輪の下に両手をガッと差し込まれてひっくり返された。
当然上に乗っていたフィリベルトは浮き輪からプールに落っこちる羽目になった。
ちなみにフィリベルトの膝に乗っていたアルは、不穏な気配を感じて早々にプールに飛び込んで避難していた。
「ぶはぁっ!!ちょっと、ワイアット!!やっぱ水かけたこと怒ってんじゃん!」
「はははっ」
「もう!……ごめんね」
「いいですよ、これでお相子です」
水飛沫を上げて落下したプールの底に両足をつけて濡れた黒髪を掻き上げていれば、ワイアットが濡れたスーツを脱いでいた。
スーツとシャツを脱いだワイアットの裸体はフィリベルトの身体よりも筋肉質で無駄な脂肪が無い。着痩せが凄いとフィリベルトはいつも思う。
「フィリ様にびしょ濡れにされたので、丁度いいのでこのまま少し泳ぎます。付き合ってくれますよね?」
「もちろん!何して遊ぶ?バレー?浮き輪?おにごっこ?」
「プールの端から端まで競争しましょう」
「いいよ!」
ボクサータイプの黒い下着一枚になったワイアットが魔術で下着に防水加工を施す。直接プールの水と接触しないようにとの心掛けだ。
ふわりと宙に浮いたワイアットが、ゆっくりとプールの中へと足先から優雅に入水してフィリベルトの隣に立った。
「では、勝った方のお願いを一つ聞くのはどうですか?」
「いいけど…、水泳の競争、いつも俺の方が勝ってるけど、いいの?」
「ええ、大丈夫です」
競争とならばとフィリベルトは自分の長い髪を手首につけていた髪ゴムで一つに纏めはじめた。長い髪との付き合いは長く扱いは心得ているが、流石に泳ぎの勝負では長い髪は邪魔になってしまう。口に髪ゴムを咥えたまま、髪を手櫛で纏めながら、フィリベルトは賭けの内容は何にするか問いかけた。
ワイアットは少し逡巡した後、ニッコリ笑ってフィリベルトの胸元を指さして言った。
「私が勝ったら、プールから上がった後、私の手で貴方のその腫れた乳首のお手入れをさせてください。……じっくりと、ね」
このあとプールの端から端まで競争してボロ負けしたフィリベルトは、いつもの競争はワイアットに手加減されていたのだと気付いてプリプリ怒り、そのまま勝負は水掛け合戦にまで飛躍することになるのだった。
きょときょとと目を瞬かせて自分の身体を見下ろすも、特にいつもと変わりない。
トレントの卵を孕んだ腹は元の薄くてスッキリとしたいつもの腹に戻っているし、淫紋もいつも通りの薄いピンク色をしている。手足は手入れをせずとも毛一本も無いつるんとした肌をしているので、毛深くて嫌がられる事もない。怪我をしているわけでもないし、顔をぺたぺた触ってみても何かがついているわけではない。
何なんだろう?と首を傾げてみせれば、それまでワナワナと震えていたワイアットが、ガクンと両膝を床につけた。
「あっ、ちょっと!スーツ濡れる!」
プライベートとはいえここは室内プールだ。当然フィリベルトとアルがプールで遊んだので、プールサイドのタイルは散った水で濡れている。
ワイアットのスーツはオーダーメイドだと聞いていたので、きっと高いはず。プールの水で濡れてもいいものなのかと慌てて指摘すれば、フィリベルトの声よりも大きな声が返ってきた。
「どこのどいつですか!フィリ様の乳首をそんな風にしたやつは!?トレントですか!それともそこのアルですか!?」
「…………は?」
突然名指しされたアルは、ピッ!?と驚きの声を上げてボンッと全身の毛を膨らませた後、頭を左右にぶんぶんと振った。頭が取れそうな程の高速具合にフィリベルトはちょっと心配になった。
ワイアットの魔力波を受けてビビったアルを、フィリベルトはサッと腕に抱いて背を撫でた。
「そんなに怖がらせるなよ、お前の魔力にビビってんじゃん。おー、怖かったな、よしよし」
「きゅうう~~……」
「なるほど、そこのアルミラージが原因ではない、と。では今日のお相手であるトレントですね」
スッと音も無く立ったワイアットは、オールバックにした髪を撫でつけて凄んだ。が、両膝が濡れているので凄み半減だ。
凄んだワイアットの両目はフィリベルトの乳首に向けられていた。両目ともガン開きだ。
回復力の高い魔王の身体を以てしても、長時間嬲られた乳首の回復には少々時間が掛かっていて、未だにフィリベルトの乳首はぷっくりと腫れて真っ赤になっている。
揉みしだかれてふっくらとした雄っぱいに、まるでサクランボが乗っているみたいにピンと勃ったままだ。
普段のフィリベルトの乳首を知っているワイアットの脳内で、フィリベルトが乳首を虐められて嫌がっている映像が流れ始める。フィリベルトが魔王になって凡そ100年、その間見守ってきた大事な主の乳首が真っ赤に腫れていたのだから、ワイアットが酷い想像をしてしまうのも仕方ない。
「いいですか、魔王である貴方様の回復力は悪魔族である私でも目を瞠る程のもの。その貴方の乳首がここまで腫れて美味しそうなほど真っ赤になるなど…っ、どんな恥辱をうけたのかと…ッ!」
「この乳首は、俺が好きでやったプレイなんだからいーの!」
「貴方の乳首がここまで腫れるのはスライムとのモンスタークリエイトの時くらいですね。スライムの特性上、乳腺を刺激して母乳を出すプレイがあるのも知っていたので、貴方の胸が膨らんだのも理解できます。ですが、トレントには乳首を改良する特性など無かった筈…。それなのに、こんなに、真っ赤に膨らんで……、お労しい…っ、…普段の二倍もあるじゃないですか!」
「別にいいだろ!自分の乳首で好き勝手にプレイしたって!俺みたいに乳首が責められるのが好きなタイプがいるように、トレントにだって乳首責めるのが好きなタイプがいたって可笑しくない!ほっとけばそのうち回復するんだし!それに恥辱って…、俺は好きで乳首責めを受け入れたんだよ!」
ワイアットの勝手な言い分にカチンときたフィリベルトはプールの水をバシャバシャとワイアットに向かって飛ばした。嫌なプレイだったら自分で止めるだけの力は持っている。好きでやったプレイに文句言われてムッとしたのだ。好きなものは堂々と好きと公言していたい。
「俺の好きなもの、否定しないでよ…」
頬を膨らませてムッとした表情でワイアットを見上げれば、水をかけられて落ち着いたのか、ワイアットがゆっくりとその場にしゃがみこんだ。
「フィリ様…、そこで上目遣いは反則でしょう」
ぼそぼそと何かを言ったワイアットの言葉は聞こえなかったけれど、ワイアットの顔から凄みが消えていたので、頭は冷えてくれたらしい。プールの水をかけたのはやり過ぎだったかなと後悔していたのだが、ほっとした。
「ワイアットも好きなもの否定されたら嫌な気持ちになるでしょ」
「はい、そうですね。フィリ様に言われて気付きました」
「へへ…」
ニコっと笑ったワイアットに釣られてへへ、と笑えば、ワイアットにちょいちょいと手招きされた。
「なに?」
浮き輪に乗ったまま水を掻いて近寄れば、浮き輪の下に両手をガッと差し込まれてひっくり返された。
当然上に乗っていたフィリベルトは浮き輪からプールに落っこちる羽目になった。
ちなみにフィリベルトの膝に乗っていたアルは、不穏な気配を感じて早々にプールに飛び込んで避難していた。
「ぶはぁっ!!ちょっと、ワイアット!!やっぱ水かけたこと怒ってんじゃん!」
「はははっ」
「もう!……ごめんね」
「いいですよ、これでお相子です」
水飛沫を上げて落下したプールの底に両足をつけて濡れた黒髪を掻き上げていれば、ワイアットが濡れたスーツを脱いでいた。
スーツとシャツを脱いだワイアットの裸体はフィリベルトの身体よりも筋肉質で無駄な脂肪が無い。着痩せが凄いとフィリベルトはいつも思う。
「フィリ様にびしょ濡れにされたので、丁度いいのでこのまま少し泳ぎます。付き合ってくれますよね?」
「もちろん!何して遊ぶ?バレー?浮き輪?おにごっこ?」
「プールの端から端まで競争しましょう」
「いいよ!」
ボクサータイプの黒い下着一枚になったワイアットが魔術で下着に防水加工を施す。直接プールの水と接触しないようにとの心掛けだ。
ふわりと宙に浮いたワイアットが、ゆっくりとプールの中へと足先から優雅に入水してフィリベルトの隣に立った。
「では、勝った方のお願いを一つ聞くのはどうですか?」
「いいけど…、水泳の競争、いつも俺の方が勝ってるけど、いいの?」
「ええ、大丈夫です」
競争とならばとフィリベルトは自分の長い髪を手首につけていた髪ゴムで一つに纏めはじめた。長い髪との付き合いは長く扱いは心得ているが、流石に泳ぎの勝負では長い髪は邪魔になってしまう。口に髪ゴムを咥えたまま、髪を手櫛で纏めながら、フィリベルトは賭けの内容は何にするか問いかけた。
ワイアットは少し逡巡した後、ニッコリ笑ってフィリベルトの胸元を指さして言った。
「私が勝ったら、プールから上がった後、私の手で貴方のその腫れた乳首のお手入れをさせてください。……じっくりと、ね」
このあとプールの端から端まで競争してボロ負けしたフィリベルトは、いつもの競争はワイアットに手加減されていたのだと気付いてプリプリ怒り、そのまま勝負は水掛け合戦にまで飛躍することになるのだった。
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