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オーク×魔王様
4.ピチピチの25歳
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「ええっと、この辺の筈なんだけど…」
背中から生えた一対の黒い翼で空を飛びながら、フィリベルトは目的地であるオークの集落へと向かう。
魔王城からは山を三つほど越えなければならなかった為、魔王城の傍にある転移門から、オークの集落の一番近くにある遺跡の転移門まで移動してきた。
近くといっても遺跡からオークの集落までは数キロあるのだが、転移門を使わなければ魔王城からだと移動に1日かかってしまう。
魔界の土地は広大な為、転移門は魔物達にとっての大事な移動手段となっている。
「見えた!あそこだな」
手にした地図と50年前の記憶を元に飛んでいれば、地図に描かれていた大きな巨木が見えてきた。
近付けば、巨木を中心とした村が見える。丸太を繋ぎ合わせた柵が外敵からの侵入を防ぐように村を囲っている。
魔物の中には動物型の者がいるが、それとは別に魔界にも人間の国と変わらずに動物が生息している。森に囲まれた村なので、作物を荒らされないようにするためのものだろう。魔界の森には猪や鹿が多く生息している。
家は石造りのものばかりで一軒一軒が大きい。オークは巨体な者が多いので、安定性を重視して家は石造りにしている。
空からパッと見ただけだが、50年前よりも家の数が増えていて、賑わいに満ちている気がする。
村の入口に降り立てば、大きな門からオークが現れた。
足は太く歩みを進めるごとに足音が聞こえてきそうなほど逞しい。オークの特徴である緑色の肌をしていて、背が高くて厚みのある身体は大きく、全身が発達した筋肉に覆われている。けれど今はその逞しい身体も身に着けているプレートアーマーで覆われていて見えない。
形のいい耳と鼻、瞳は鋭く、輪郭はシュッとしている。オークの中でも美形だと言われている容姿に当てはまる。
強い魔力を持っているのだろう、歴戦の戦士と言っていいほどの見た目をしている。とても25歳とは思えない。
「こんにちは。君が今回の俺の相手かな?」
目の前にやってきたオークににこやかに笑って見せれば、彼は胸に手を当て片膝をついて頭を垂れた。
これがオークの目上の者に対する挨拶だと、前回のオークとのモンスタークリエイトで知っていた。
「はい、魔王様。今回の嘆願書はオーク一同からですが、村の中で一番力の強い私が相手をさせて頂くことになりました」
「そうか、25歳と聞いていたけれど、成長が早いんだね。魔力も強そうだし、身体もオークの中でも大きい方なんじゃないかな?」
「ええ。オークの中で一番魔力の強い俺が相手をした方が、より強い子ができるだろうと皆に選ばれました」
ふうぅむ、なるほど。フィリベルトは目の前で片膝をついたオークの若者を前に、顎に片手をついた。
若くて初々しい若者かと思えば、なんともまあ真面目で頼りがいのあるオークだ。魔力も豊富で、それでいて使命を全うしようという心意気も好印象。
会う前は自分がリードしなければと思っていたフィリベルトだったが、これなら自分の方がリードされる立場になるのでは、と当初とは違った期待にソワソワしてしまう。
目の前で膝をついているオークの若者とフィルベルトの目線は丁度同じ高さ。それだけこのオークの若者の背は大きい。身体つきもフィリベルトと比べると3倍くらいある。
普段大きな体格の者とモンスタークリエイトする事も多く慣れたものだが、毎回必ずドキドキしてしまう。
大切なお仕事なのだが、気持ちいい事が好きなフィリベルトとしては、どんな風に抱かれてしまうのか、いつも落ち着かない気持ちになる。
(はぁ…♡ これは俺、押しつぶされながら種付けされるのかな…♡ あの腕、あの脚、あの胸筋…、プレート越しでも分かるくらい、凄くぶっとい♡ 俺の腕の何倍あるんだろう…。チンチンも絶対大きんだろうな…♡)
フィリベルトがこの後の子作りの事を考えて下っ腹を疼かせていれば、膝をついていたオークが立ち上がってから、何やら気まずそうな表情を浮かべた。それはマイナスの表情では無く、どちらかといえばむず痒そうな感じの表情だ。下がった眉に、節くれだった人差し指でポリポリと頬を掻く様は、頼りなささえ垣間見える。
歴戦の猛者のような風貌だったのが、一転して年相応な表情に見える。まるで25歳の若者をそのまま表しているような。
先ほどとの雰囲気の違いに、フィリベルトはぱちくりと目を瞬かせた。
「どうかしたか?」
首をこてりと傾げて問いかける。柔らかな声音で問うたのは、オークの若者の雰囲気に釣られたからだろう。
少しの間視線を彷徨わせて逡巡した年若いオークは、意を決したように口を開いた。
「実は、今回魔王様の相手を務めるのですが、何分私は、その…、お恥ずかしながら経験が殆どありません。魔力は多いので精力は旺盛で勿論自慰も行いますし、性知識がないわけではなく…。…ただ経験となると、成人を迎えた歳にオークの姐さんに手解きを受けて筆下をさせてもらったくらいです。そんな私が、魔王様を満足させられるかどうか…! ですが、精一杯務めさせていただきます!」
ぐっと拳を握って叫ぶように言ったオークは、自分の未熟な部分を曝け出したかのような羞恥を顔に浮かべている。この後行う行為に対するやる気が目に見える。期待と不安と好奇心と、それから隠しきれていない興奮が表情から読み取れた。
「未熟ながらに頑張ってやったるぞ!」という心意気に溢れた意思をぶつけられたフィリベルトは衝撃が走った。
なんて初々しい若者なんだ…!ピチピチじゃないか…!と。
あんなに歴戦の猛者という雰囲気を濛々とさせていたのに、蓋を開けてみればフィリベルトとの行為を前にドキドキしている経験の少ない若者ときた。
真面目な雰囲気のあるオークなので、もしかしたら恋愛もほぼ経験していないのではないか。全身を覆うプレートアーマーを見れば、このオークが傭兵団に努めている兵士だと分かる。色恋には疎いのかもしれない。
フィリベルトはオークの手を取った。大きくてゴツゴツしていて、厚くて硬い掌には肉刺が出来た痕がいくつもあり、それだけでこのオークが自分を磨く努力をどれだけしてきたのかよく分かる。
両手でぎゅっと手を握った後、フィリベルトは距離を詰めた。
「大丈夫。ぜぇーんぶ俺に任せてくれたら大丈夫だから」
オークの思わぬギャップにきゅんと胸をときめかせたフィリベルトは無意識に舌で唇を舐めた。
目の前のオークが、唇から覗く舌をガン見して、ごくりと喉を嚥下させた。
「俺を君の家に連れて行ってくれる?」
朝食の席でワイアットに「純情を弄ばないように」と刺された筈の釘は、今この瞬間ポロリと抜け落ちた。
背中から生えた一対の黒い翼で空を飛びながら、フィリベルトは目的地であるオークの集落へと向かう。
魔王城からは山を三つほど越えなければならなかった為、魔王城の傍にある転移門から、オークの集落の一番近くにある遺跡の転移門まで移動してきた。
近くといっても遺跡からオークの集落までは数キロあるのだが、転移門を使わなければ魔王城からだと移動に1日かかってしまう。
魔界の土地は広大な為、転移門は魔物達にとっての大事な移動手段となっている。
「見えた!あそこだな」
手にした地図と50年前の記憶を元に飛んでいれば、地図に描かれていた大きな巨木が見えてきた。
近付けば、巨木を中心とした村が見える。丸太を繋ぎ合わせた柵が外敵からの侵入を防ぐように村を囲っている。
魔物の中には動物型の者がいるが、それとは別に魔界にも人間の国と変わらずに動物が生息している。森に囲まれた村なので、作物を荒らされないようにするためのものだろう。魔界の森には猪や鹿が多く生息している。
家は石造りのものばかりで一軒一軒が大きい。オークは巨体な者が多いので、安定性を重視して家は石造りにしている。
空からパッと見ただけだが、50年前よりも家の数が増えていて、賑わいに満ちている気がする。
村の入口に降り立てば、大きな門からオークが現れた。
足は太く歩みを進めるごとに足音が聞こえてきそうなほど逞しい。オークの特徴である緑色の肌をしていて、背が高くて厚みのある身体は大きく、全身が発達した筋肉に覆われている。けれど今はその逞しい身体も身に着けているプレートアーマーで覆われていて見えない。
形のいい耳と鼻、瞳は鋭く、輪郭はシュッとしている。オークの中でも美形だと言われている容姿に当てはまる。
強い魔力を持っているのだろう、歴戦の戦士と言っていいほどの見た目をしている。とても25歳とは思えない。
「こんにちは。君が今回の俺の相手かな?」
目の前にやってきたオークににこやかに笑って見せれば、彼は胸に手を当て片膝をついて頭を垂れた。
これがオークの目上の者に対する挨拶だと、前回のオークとのモンスタークリエイトで知っていた。
「はい、魔王様。今回の嘆願書はオーク一同からですが、村の中で一番力の強い私が相手をさせて頂くことになりました」
「そうか、25歳と聞いていたけれど、成長が早いんだね。魔力も強そうだし、身体もオークの中でも大きい方なんじゃないかな?」
「ええ。オークの中で一番魔力の強い俺が相手をした方が、より強い子ができるだろうと皆に選ばれました」
ふうぅむ、なるほど。フィリベルトは目の前で片膝をついたオークの若者を前に、顎に片手をついた。
若くて初々しい若者かと思えば、なんともまあ真面目で頼りがいのあるオークだ。魔力も豊富で、それでいて使命を全うしようという心意気も好印象。
会う前は自分がリードしなければと思っていたフィリベルトだったが、これなら自分の方がリードされる立場になるのでは、と当初とは違った期待にソワソワしてしまう。
目の前で膝をついているオークの若者とフィルベルトの目線は丁度同じ高さ。それだけこのオークの若者の背は大きい。身体つきもフィリベルトと比べると3倍くらいある。
普段大きな体格の者とモンスタークリエイトする事も多く慣れたものだが、毎回必ずドキドキしてしまう。
大切なお仕事なのだが、気持ちいい事が好きなフィリベルトとしては、どんな風に抱かれてしまうのか、いつも落ち着かない気持ちになる。
(はぁ…♡ これは俺、押しつぶされながら種付けされるのかな…♡ あの腕、あの脚、あの胸筋…、プレート越しでも分かるくらい、凄くぶっとい♡ 俺の腕の何倍あるんだろう…。チンチンも絶対大きんだろうな…♡)
フィリベルトがこの後の子作りの事を考えて下っ腹を疼かせていれば、膝をついていたオークが立ち上がってから、何やら気まずそうな表情を浮かべた。それはマイナスの表情では無く、どちらかといえばむず痒そうな感じの表情だ。下がった眉に、節くれだった人差し指でポリポリと頬を掻く様は、頼りなささえ垣間見える。
歴戦の猛者のような風貌だったのが、一転して年相応な表情に見える。まるで25歳の若者をそのまま表しているような。
先ほどとの雰囲気の違いに、フィリベルトはぱちくりと目を瞬かせた。
「どうかしたか?」
首をこてりと傾げて問いかける。柔らかな声音で問うたのは、オークの若者の雰囲気に釣られたからだろう。
少しの間視線を彷徨わせて逡巡した年若いオークは、意を決したように口を開いた。
「実は、今回魔王様の相手を務めるのですが、何分私は、その…、お恥ずかしながら経験が殆どありません。魔力は多いので精力は旺盛で勿論自慰も行いますし、性知識がないわけではなく…。…ただ経験となると、成人を迎えた歳にオークの姐さんに手解きを受けて筆下をさせてもらったくらいです。そんな私が、魔王様を満足させられるかどうか…! ですが、精一杯務めさせていただきます!」
ぐっと拳を握って叫ぶように言ったオークは、自分の未熟な部分を曝け出したかのような羞恥を顔に浮かべている。この後行う行為に対するやる気が目に見える。期待と不安と好奇心と、それから隠しきれていない興奮が表情から読み取れた。
「未熟ながらに頑張ってやったるぞ!」という心意気に溢れた意思をぶつけられたフィリベルトは衝撃が走った。
なんて初々しい若者なんだ…!ピチピチじゃないか…!と。
あんなに歴戦の猛者という雰囲気を濛々とさせていたのに、蓋を開けてみればフィリベルトとの行為を前にドキドキしている経験の少ない若者ときた。
真面目な雰囲気のあるオークなので、もしかしたら恋愛もほぼ経験していないのではないか。全身を覆うプレートアーマーを見れば、このオークが傭兵団に努めている兵士だと分かる。色恋には疎いのかもしれない。
フィリベルトはオークの手を取った。大きくてゴツゴツしていて、厚くて硬い掌には肉刺が出来た痕がいくつもあり、それだけでこのオークが自分を磨く努力をどれだけしてきたのかよく分かる。
両手でぎゅっと手を握った後、フィリベルトは距離を詰めた。
「大丈夫。ぜぇーんぶ俺に任せてくれたら大丈夫だから」
オークの思わぬギャップにきゅんと胸をときめかせたフィリベルトは無意識に舌で唇を舐めた。
目の前のオークが、唇から覗く舌をガン見して、ごくりと喉を嚥下させた。
「俺を君の家に連れて行ってくれる?」
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