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26.自己防衛
しおりを挟む傲慢でプライドが高くΩを見下し洋に執着していた元番が少年院から出てきた時を昊は考える。
反省せずにプライドを傷つけられたと逆恨みをする可能性はある。
確か····少年院には知り合いの兄弟が居たはずだ。
「出てくる前に潰しておかないとな····」
ボソリと聞こえるか聞こえないかの声に洋は聞き返せば
「何でもねぇ」
と、笑顔を向けられた。
------
洋の学校生活は特に洋自身が虐められたとかはない。
ただ、友達は少ないのは本当だ。
「なぁ、アイツがお前に暴行して退学になったってマジ?」
元番の取り巻き達が洋に話しかけてくる。もう噂がそんなに広まっているのだろうか。
顔面にガーゼ貼り付けている洋が学校を登校してきたと同時に退学処分にされたのなら気付くのも仕方ない。
「何があったの?」
気になる生徒も多いに決まっているだろう。
それに彼に恋していた女生徒も少なからずいた。
ただ、自分が元番の事を言っても彼奴を慕っていた彼女達は信じてくれない。
αとΩ。この性の所為できっとある事ないこと話が飛び込むだろう。
だからあえて元番とは関係なく階段から落ちたと誤魔化した。
「はぁ?そんな嘘「俺らが関わってるの見た事ある?」···ないけど····」
「全くの無関係だ」と、洋は女生徒達にはっきりと答える。
本人が頑なにそう言っているのだ。
不服そうな顔をしているが、生徒達はこれ以上何も言えなかった。
----------
LIN○を交換した洋母からの情報で昊が今月いっぱいで夜を上がる事を知ったスタッフが愚痴を零してきたらしい。
『同業者だから割り切ってるとか言ってたわよ』
それでも落ち込んでいるように見えたと送られてきた。
色恋をした代償というものかもしれない。そのうち誰かに恨みを買われても仕方ない。
たまにニュースでも取り上げられるようにホストが客に刺されたなどの話を聞く事だってある。
その中の一人にならない様に自分も防犯グッズを買うべきかもしれないと昊は思った。
昊の客は特に水よりも風の職業の人の方が想いが強い人が多い。
自己肯定感が低く愛情を求めている子が多いからだろうか、悩みを聞いて共感してくれる昊に心を開いてくれてそこから太客に育てたりしていた。
だから本気になった客もいた。
営業の仕方を変えてから色恋枕をしていた地雷癖のある客の責める言葉にのらりくらりと交わしていたが「そのうち刺されるかもしれないな」と、暫く警戒と自己防衛は怠らない様に努めることにした。
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