【R18】嫌われていると思ったら歪すぎる愛情だった【完結】

68.受side

　奴隷から嫁にランクアップした庵です。

　何コレ？旦那様とでもよべば良いのか？


　抱き締められたまま眠っている怜央の頭の中は相変わらずわけがわからない。

　初めは嫌われているから嫌がらせの延長であんな事しているんだと思っていたのに実際はそうじゃなくて


　歪みすぎた愛情だったのだろうと何となく鈍い自分でも気付けた。

　リンチの時も兄とのいざこざの時も強姦の時も寝たきり状態の時も今回の学校の事もまっさきに助けてくれたのは怜央だった。

「···················」


　ボコボコにされてレイプされて写真撮られて脅されて奴隷にされてむちゃくちゃな要求させられて自分の痴態散々見られたけどそれが愛情の裏返しだなんて普通誰も思わないわ。

　それに何より男同士だし。

　なんだかんだ此奴女子から人気あるんだよな。
　元カノが前いたって言ってたから完全そっちってわけじゃないみたいだ。

眠る怜央の髪の毛をかきあげて顔を見る。

整った顔してる。

ドSだけど。

「··········何？」


あ、起きた。

「····別に」

髪の毛が顔にかかって邪魔そうだったから避けたと言えば「ふぅん」と、言いながら抱き締める力が強くなった。

慣れてしまった怜央の匂いが落ち着く。





－－－－－－－－




次の日、学校に来て早々担任に呼び出された。

客室に呼ばれればそこには父親と祖父母が並んで座っていた。

学校での手続きをしに来たらしい。

父親は終始無言で祖父母が担任と教頭と話を進めていた。
住民票の変更や監督役が両親ではなく祖父母に変更した事等、学費はこれまで通り両親が払う事などの説明をしている。

それの確認と学校で起きた事件についての苦情もしっかりと入れていた。


学校で起きた事件だし、ここの生徒ではない他校の生徒の侵入を許した事。
それについては教頭と担任も平謝りで何度も頭を下げていた。

学校側に請求する損害賠償については後日弁護士を連れてくる等の話を他人事の様に見ていた。
両親がしなかった事を祖父母がしてくれている。
学校···特に担任には色々良くしてくれてもらっている。出来るだけ穏便にして欲しいと祖父母に言えば「大丈夫。わかっている」と、言ってくれた。

「・・・本来ならお前がする事なのに」



と、祖父母の怒りに満ちた声に父親は顔を逸らしたままだった。






「お友達と一緒に住みたいと聞いたよ」

祖父は出来れば自分達の元で暮らして欲しいと言ってくれるが自分は怜央と一緒に住みたいと答えた。

祖父母がそんな事を言う自分の気持ちの事をどう思っているかは分からないが「分かった」と、了承してくれた。

「大学に行きたいならおじいちゃんが出してやるから」

今まで孫にしてやれなかった分をこれからしていくと祖父が言う。

「···ぅん」


その祖父母の気持ちに素直に甘える事にした。