【R18】嫌われていると思ったら歪すぎる愛情だった【完結】

32.攻side

　遅くまでやっている行きつけの病院に庵を連れて行って主治医に見せた。

「痛かったでしょう。所々打撲が出来て左膝が腫れてるね」

　レントゲンの結果は骨折はなかったが足と腕が腫れて、
右こめかみが切れて出血している。

「本当に自分で落ちたのか？」

「····だから、そう言ってる」

　ぶっきらぼうな返事をする庵に何があったのかと尋ねた。

「···········」

　ここでは話しにくい内容だと言う。
　
　治療を終えて待合室に行き、診察代をはらえば「自分で払う」と、言ってきた。

「俺が勝手に連れて来たんだから俺が払った」

　そう言うと借りは作りたくないのだろう。財布を出してきて「いくら？」と、聞いてくる。

「さぁね」


　いつから財布を買って居ないのか、随分と使い古した黒の中折財布。


「今日は家に泊まれ」と強制的に家に連れて帰った。





－－－－－－－－





　家に連れて帰った後に庵から強引に話を聞いた。


「·····は？」

　もう家に帰らせられねぇじゃねぇか。




　人のモンに何しようとしてんだ？




「ぶっちゃけ帰りたくない」

　あぁ、帰るなここにいろ。

「·············」

「ここにも居たくねぇってか？」

「お前、見境なく盛って来るじゃねぇか」


　何当たり前の事を言っているんだ？


　庵の奴、溜息をつきやがった。


「その辺で野宿してみろ。補導されて家に帰されるかその辺のオッサンにホテル連れていかれるぞ」

「前者は分かるが後者はねぇだろ。何いってんの？」

　本当に此奴は自覚がない。

　それ以前に家に帰す気はないが。

「ここに居ろ」

「···········」

　分かりやすい程、嫌そうな顔をしている。

「ただでさえ成績落ちたのにお前と四六時中一緒にいたら学年最下位になりそう」

　セックスのし過ぎで勉強不足になったのに俺と一緒に住んだらヤリまくってそんな時間も無くなるだろうな。

「ヤリながら勉強すりゃいいじゃねぇか」

「頭にはいるわけねぇだろ」

「ははっ。お前ヤッてる時、IQ下がってるもんなぁ」

　イキまくって呂律も回ってなくて潮吹きどころかたまに漏らしてる時もある。


　その事に本人は気付いていない。


「まぁ、あの兄貴がいれば家には帰る事出来ねぇよな」
　
「············」

　帰れば性処理をさせられる。両親に訴えたところで庵の事を空気としか思っていない親は兄よりも庵を責めるだろう。

「勉強を頑張っている兄の言う事を聞け」
　と、言われるのもおかしくない。

「とりあえず今日は泊まっていけ。命令」

　そう言って無理矢理庵を泊めさせた。