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初恋

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 初恋が離婚して帰ってきた。
 三年子なしで旦那が新しい嫁を迎えるから出ていけと言われたらしい。

 相手にはすでに新しい命が宿っていてどうする事も出来なかったとのこと。

 肩身の狭い生活を強いられ最後は捨てられ戻ってきた幼なじみ。

 そんな事になるなら初めから自分の元にいてくれれば彼女は傷つかなくて済んだのに。


 彼女は勤勉で穏やかな性格の令嬢だった。
 姉贔屓の両親と意地の悪い姉と共にいても彼女はすれなかった。

 優しくて自分の前ではよく笑い自分の両親共仲が良くて将来自分は彼女は自分の元へ嫁ぐ婚約者になるだろうと話は進んでいた。

 なのにだ。


「あの子は○○家に嫁がせることになりまして」
「あの子ではなく姉がこちらの家に相応しいと思います」


 彼女の両親が勝手に婚約者を交換するなんて前代未聞な事をするとは思わなかった。

 姉の嫁ぎ先が厳格な家柄で婚約者である姉が「嫁ぎたくない」と、喚いた為、身代わりとして妹である彼女を嫁がせる事にしたらしい。

 確かにまだ自分達は婚約と言う関係ではなかった。
 けれど自分達は絆は深めていた。

 それが、姉の我儘の所為で妹を身代わりにして

 代わりに姉と婚約しろ?


 巫山戯るのにも大概にしろ。


 家の利益になるなら姉妹が交換しても問題ないだろうって?

 違うだろ?

 あまりにもこちらの家に対してバカにしているとこれには両親も激怒したが、あちらは何故こちらが怒っているのか理解出来ていないようだ。

 理解が出来ないなら話す意味もない。

 婚約は勿論今後の交流も控えさせてもらうと父は彼女両親に強く言い放った。


 互いに商売関係で知り合い取り引きをする仲だったが、あちらは彼女が嫁ぐ家の利益がこちらよりも大きい為

「別に問題ない」

 と、鼻で笑っていた。




 彼女は嫁ぎ、そして自分は誰とも婚約をせずに三年の月日が流れた時



 彼女は帰ってきた。



 あちらの生活は悲惨なもので女中の様な扱いを受け、過酷な労働に無理やりな営みを強いられた生活だったとの事。

 3年目にして子が出来なかったから更に彼女に対する当たりが強く、最終的に夫は外で女を作り子を宿したとの事だった。

 それが原因で身一つで離婚して追い出された。

 家に帰れば両親から罵詈雑言の嵐で勘当されて追い出され、フラフラの状態で自分の屋敷の近くにいたのをうちの従者が発見して連れて来た。



 3年前と比べて彼女はすっかりやせ細っていた。



 彼女がこんな状態になる事が分かっていたらどんな方法を使ってでも結婚を阻止していただろう。
 自分の傍に居てくれればこんな事にはならなかった。

 悔やんでも悔やみきれない。


「すまない。すまなかった·····」

家柄だとかに縛られ一番護りたかった者を護れずに彼女にひたすら謝った。


「どうして貴方が謝るの?」


変な人っと·····彼女は空虚な瞳で泣きながら俺に笑っていた。


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