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六
九
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抱き上げられてムギを置いて屋敷を出て、鳳来に
「どこに行こっか?」
と、言われて慌てる結は「困ります!」と、叫んだ。
「良いじゃねぇか。減るもんじゃあるまいし」
減って困るのは体重以外のものだ。
「じゃあ、甘味処でも行くかな?」
結の制止も聞かずに鳳来はそのまま繋と良く行く甘味処へと立ち寄った。
「団子五つ」
「はいよ」
気のよさそうな亭主に団子を注文する。
「俺、甘いの嫌いだから結ちゃん全部食べて」
この人、何で五つも注文したんだ?
「なんかすげぇ食ってそうだなって思ったから?」
「そんな食べきれないです!」
確かに甘いのは好きだがせいぜい団子でも二つ程度だ。
胃もたれしそう。
「繋は毎回十個完食してっけどなァ」
「·············」
流石に食べ過ぎだろう。
「この世界の奴らって甘党って限度分かってねぇ奴らが多いのよ」
特に繋は両親が他界してから甘味なんて食べられる環境にいなかった。
戦争孤児にして町を建て直す義務があった為、それに尽力を尽くす生活を強いられていた。
幼少期に食べられなかったものを大人になって食べられるようになったから爆発的に甘党になったのではと、鳳来が話してくれた。
「·····そ、ぅなんですね」
もし、そうなら悲しい事だ。
結は繋の身体に影響が出ない程度、自分が出来る範囲で繋を支えたいと思った。
「結ちゃんって繋の事好きだろ」
「·····え?」
唐突に聞かれた質問に結から素っ頓狂な声が出た。
「繋の話題になると桃色オーラ全開に出てるぞ。後、繋を見てる表情もメスの顔してるし」
「あの、鳳来様····」
メスの顔はないだろう。
せめて乙女の顔と言って欲しい。
「乙女もメスだろ?」
「そうですけどぉ!」
言い方に悪意がありすぎる。
頬を膨らまし怒る結に鳳来はケラケラ一通り笑った後
「けど、元の世界に帰る事を望んでんだよな?」
人と妖では寿命も違う。
何より結は人間界に帰ることを望んでいる。
だから、どんなに繋の事を想っていてもこの想いは繋には伝えられない。
そんな会話をしている事を繋が聞いていただなんてその時、結はしるはずもなかった。
「どこに行こっか?」
と、言われて慌てる結は「困ります!」と、叫んだ。
「良いじゃねぇか。減るもんじゃあるまいし」
減って困るのは体重以外のものだ。
「じゃあ、甘味処でも行くかな?」
結の制止も聞かずに鳳来はそのまま繋と良く行く甘味処へと立ち寄った。
「団子五つ」
「はいよ」
気のよさそうな亭主に団子を注文する。
「俺、甘いの嫌いだから結ちゃん全部食べて」
この人、何で五つも注文したんだ?
「なんかすげぇ食ってそうだなって思ったから?」
「そんな食べきれないです!」
確かに甘いのは好きだがせいぜい団子でも二つ程度だ。
胃もたれしそう。
「繋は毎回十個完食してっけどなァ」
「·············」
流石に食べ過ぎだろう。
「この世界の奴らって甘党って限度分かってねぇ奴らが多いのよ」
特に繋は両親が他界してから甘味なんて食べられる環境にいなかった。
戦争孤児にして町を建て直す義務があった為、それに尽力を尽くす生活を強いられていた。
幼少期に食べられなかったものを大人になって食べられるようになったから爆発的に甘党になったのではと、鳳来が話してくれた。
「·····そ、ぅなんですね」
もし、そうなら悲しい事だ。
結は繋の身体に影響が出ない程度、自分が出来る範囲で繋を支えたいと思った。
「結ちゃんって繋の事好きだろ」
「·····え?」
唐突に聞かれた質問に結から素っ頓狂な声が出た。
「繋の話題になると桃色オーラ全開に出てるぞ。後、繋を見てる表情もメスの顔してるし」
「あの、鳳来様····」
メスの顔はないだろう。
せめて乙女の顔と言って欲しい。
「乙女もメスだろ?」
「そうですけどぉ!」
言い方に悪意がありすぎる。
頬を膨らまし怒る結に鳳来はケラケラ一通り笑った後
「けど、元の世界に帰る事を望んでんだよな?」
人と妖では寿命も違う。
何より結は人間界に帰ることを望んでいる。
だから、どんなに繋の事を想っていてもこの想いは繋には伝えられない。
そんな会話をしている事を繋が聞いていただなんてその時、結はしるはずもなかった。
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