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三
十
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繋いだ手が熱い。
賑やかな町並みなのに下駄の音だけが結の耳に響いている
「結」
「はい!え?何??」
咄嗟に名前を呼ばれて反射的に返事を返した。
それを見てくくくっと、笑われた。
「行きたがってた店に着いたぞ」
「え?あ、うん。早く中に入ろっ!」
自分の感情を誤魔化す様に結は中に入ろうと扉を開けようと取っ手を掴もうとした時
---ガラリとその前に誰かが扉を開いた。
「あだっ!」
「おう、すまねぇ」
扉を開けたのは顔がない妖怪。
おかしいなぁ·····
屋敷の妖怪と顔を合わせて慣れたと思ったのに
目の前ののっぺらぼうを見て言葉が失った。
「ん?どうした??」
「あれ?この子ってもしかして」
のっぺらぼうの後ろにいた口が大きく毛深い男が硬直している結をじろじろ見る。
「俺のツレだ」
「あ···あぁ、旦那の連れかい。そいつは失礼した」
繋がいた事に気づいた二匹の妖怪は「すまねぇな」と、言いながらそそくさとその場から立ち去る。
立ち去る際に結の方をチラリとみて「人間がなんでいるんだ」と、ポツリと呟いた声が聞こえた。
「人間界からの迷子です」だ、なんてノリよく言えたらどんなに良いだろうか。
「そうなんだぁ~。それは大変だ~」だ、なんてノリよく言ってくれるノリのいい妖怪がいてくれたらどんなに気が楽だろう。
「そうかい。嬢ちゃんも大変だなぁ~」
まさに、ここの店の亭主がそんなノリのいい妖怪だった。
「にしても人間にもこんなべっぴんさんがいるんだな。旦那ァ、気をつけねぇとだぞ」
「分かってるよ」
べっぴんだなんて聞きなれない言葉を言われて貰ったお茶を吹き出しそうになった。
結を他所に繋は何処吹く風。
さも当たり前かのような返事を返しながら昼間だと言うのに提供された濁酒を飲んでいた。
「飲むか?」
「未成年者の飲酒は禁止されてますぅ!」
「人間界って厳しいんだな」
神々が酒好きな世界だからか幼少期以外の者の飲酒については禁止されていないらしい。
「信じらんない·····」
「さすがに飲酒の強要とかは取り締まってるがな」
笑う繋が「大人の階段登ると思って飲んでみるか?」と、言われたが·····
「飲まないもん」と、突っぱねた。
そして、何の鳥の肉なのか分からないけれど、出てきた串焼きは柔らかくてジューシーで塩コショウがしっかり効いてて美味しかったです。と、結は作文の様な感想を述べた。
腹が満たされ店を出て、どこに行くんだろうかと思えば繋が「ちょっと付き合え」と、言い出し再び結の手を引き、ある店の中へと連れていった。
賑やかな町並みなのに下駄の音だけが結の耳に響いている
「結」
「はい!え?何??」
咄嗟に名前を呼ばれて反射的に返事を返した。
それを見てくくくっと、笑われた。
「行きたがってた店に着いたぞ」
「え?あ、うん。早く中に入ろっ!」
自分の感情を誤魔化す様に結は中に入ろうと扉を開けようと取っ手を掴もうとした時
---ガラリとその前に誰かが扉を開いた。
「あだっ!」
「おう、すまねぇ」
扉を開けたのは顔がない妖怪。
おかしいなぁ·····
屋敷の妖怪と顔を合わせて慣れたと思ったのに
目の前ののっぺらぼうを見て言葉が失った。
「ん?どうした??」
「あれ?この子ってもしかして」
のっぺらぼうの後ろにいた口が大きく毛深い男が硬直している結をじろじろ見る。
「俺のツレだ」
「あ···あぁ、旦那の連れかい。そいつは失礼した」
繋がいた事に気づいた二匹の妖怪は「すまねぇな」と、言いながらそそくさとその場から立ち去る。
立ち去る際に結の方をチラリとみて「人間がなんでいるんだ」と、ポツリと呟いた声が聞こえた。
「人間界からの迷子です」だ、なんてノリよく言えたらどんなに良いだろうか。
「そうなんだぁ~。それは大変だ~」だ、なんてノリよく言ってくれるノリのいい妖怪がいてくれたらどんなに気が楽だろう。
「そうかい。嬢ちゃんも大変だなぁ~」
まさに、ここの店の亭主がそんなノリのいい妖怪だった。
「にしても人間にもこんなべっぴんさんがいるんだな。旦那ァ、気をつけねぇとだぞ」
「分かってるよ」
べっぴんだなんて聞きなれない言葉を言われて貰ったお茶を吹き出しそうになった。
結を他所に繋は何処吹く風。
さも当たり前かのような返事を返しながら昼間だと言うのに提供された濁酒を飲んでいた。
「飲むか?」
「未成年者の飲酒は禁止されてますぅ!」
「人間界って厳しいんだな」
神々が酒好きな世界だからか幼少期以外の者の飲酒については禁止されていないらしい。
「信じらんない·····」
「さすがに飲酒の強要とかは取り締まってるがな」
笑う繋が「大人の階段登ると思って飲んでみるか?」と、言われたが·····
「飲まないもん」と、突っぱねた。
そして、何の鳥の肉なのか分からないけれど、出てきた串焼きは柔らかくてジューシーで塩コショウがしっかり効いてて美味しかったです。と、結は作文の様な感想を述べた。
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