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耳元でうるさいアラームが鳴っている。アラームを止め、もう一度布団に入り、目を瞑る。
今日は松原先生の授業がない。正直全然行きたくない。…でも、卒業がかかっている授業あるしなー。行くかー。
のそのそと起き上がり、髪をとかし、お化粧して、着替えて…身支度を完了させた。冷蔵庫を開けるとゼリーが1つ残っていたのでそれを食べる。
どうせ2講終わったらすぐにお昼ご飯だしこれで足りるよな…?てか、松原先生と偶然会う可能性もあるから、適当すぎる格好も出来ないのか。今日の恰好…まぁいいか。
ゼリーを食べながらスマホをチェックすると、知らない人からメッセージが届いていた。
『立川緋色さんですか』
メッセージ相手は知らない人だった。プロフィール画像はぬいぐるみだし、心当たりはまったくない。
誰だよ、怖ー。名前バレしてるってことは誰かが教えた?こういうのは無視だ、無視。
私はメッセージを削除し、学校へ向かった。
電車に揺られながら潤香たちにメッセージを送ってきた人物の名前を聞いてみるが、知らないと返ってきた。同級生ではないってことかな。
駅から出て学校へ向かう。
「立川緋色さんですか」
学校へ行く道の途中で、壁に寄りかかりながらこちらを見ている女子に声をかけられた。
「…いや、違います」
同年代の女子とは言え、知らない人に『はい、そうです』と身分を明かす勇気はなかった。
女子は慌ててスマホを確認している。そのうちに私は早歩きでその場を離れ…たかったのだが、彼女は走って私の前に立ちふさがり、スマホの画面を見せてきた。
「これ、あなたですよね」
そこに映っていたのはボトルを用意しながら笑っている私だった。
黒歴史…そうか、フットサルサークルのSNSのどれかに残っていたのか。…消してから辞めるべきだった。
「…似てるけど違いますよ」
「緋色ちゃんせんぱーい!………っとあれ、結奈…ちゃん…だっけ?」
大声で私の名前を呼びながら走ってくる史郎。駅から学校に向けて少し歩いてしまったため、自転車勢の史郎と鉢合わせてしまった…。
「知り合い?」
「サークルに新しく入った1年すよ。…確か、春先輩たちが勧誘してました」
「白戸結奈です」
ぺこりと頭を下げてくる。背の小さい、可愛い系の女の子だな。
「あ!メッセージの…人?」
「そうです!どうして何も返してくれなかったんですか?」
「知らない人と話しちゃダメって言われてるから。てかなんで私の連絡先知ってんの」
私この後授業あるんだよなー。時間的にはまだ余裕あるけど…。
「田村先輩が教えてくれました!」
「哲人かー…」
私の同期のプレイヤーであり、口が軽い男だ。個人情報の扱いも軽かったかぁ。
「で、何の用なの?」
「春先輩のこと、どう思ってるんですか?」
「どう…とは?」
人間、男、同期…以外に春に何か思うようなところがあっただろうか。
「好きとか、嫌いとか…」
「別に嫌いではないけど」
「好きなんですか?」
結奈が私に近づき見つめてくる。史郎の方を見るが呆れ顔で首を振っているため助けてはくれないようだ。
「普通…っていうか、どうとも思ってないとも言えるって言うか…」
「恋愛的な、好きとかはないんですか?」
恋愛?春と私が付き合うとか結婚とかってこと…?
「ない。同期のプレイヤーをマネージャーがそういう目で見たら終わりだと思うし」
「でも緋色さんもうマネージャーやめてるじゃないですか」
「いや、そういう目で一度見たらもう無理じゃない?恋愛対象外として一度判断してるし、あと、正直好みじゃないし。あっちも別に私の事好きじゃないと思うし」
結奈は凄い笑顔になり、史郎はどこか複雑な表情をしていた。
ごめんよ、史郎。先輩の恋バナ聞くのつらいよね。
「私、春先輩が好きなんです。狙ってもいいってことですよね」
「…勝手にしてください。関係ないんで」
私は結奈を置いてそのまま学校へ向かいたかったのだが、ついてきた。学校へ向かってるから当たり前なのかもしれないけど。
「あの、春先輩の好きなものとか、何か特別な情報とかありませんか?」
早歩きしていた私は立ち止まり、後ろにいる結奈の方を向く。
「知るか!良い?私と春はただの同期。同期とはいえ部活の連絡事項くらいしか喋らないの。今年ゼミが一緒になってちょっと喋るかなくらい。何にも知らない」
「安心しました。ライバルと思っていた先輩がそんな感じで」
「ライバル?なんで?」
「だって、春先輩…」
「あー!もうそろそろ時間ですよ、遅刻しますよ!」
史郎がいきなり声をあげた。時間を見ると確かに少し早歩きしないと遅刻しそうな時間だ。
「とにかく、私は春とあなたがくっついても何も思わないから」
私は面倒くさい結奈から離れたくて走った。結奈は満足したのかついてこなかった。
「緋色ちゃん先輩、なんか後輩がすみません」
むしろ史郎をよくわからないことに巻き込んでしまった罪悪感がある。
「史郎のせいじゃないし。私はそれより、あのデリカシーない春が本当にモテるんだってことに驚いてる」
「顔は…悪くないんじゃないですか?」
「先輩は確かに春がいいって言ってたかも」
「今は…その先輩方から結構春先輩嫌われ…というか…ちょっと炎上してますね」
この前の春の謎自慢を思い出した。
「あーなんか先輩に春が余計なこと言ったんでしょ。本人から聞いた」
「春先輩に悪気はないんですけどね…」
「そこが一番の問題だよね」
結奈がデリカシーのないこと言われないと良いけど。
「ですね、俺駐輪場にこれ置いてくるんで!」
「うん、お疲れー」
私は史郎に手を振り、教室に急いだ。
今日は松原先生の授業がない。正直全然行きたくない。…でも、卒業がかかっている授業あるしなー。行くかー。
のそのそと起き上がり、髪をとかし、お化粧して、着替えて…身支度を完了させた。冷蔵庫を開けるとゼリーが1つ残っていたのでそれを食べる。
どうせ2講終わったらすぐにお昼ご飯だしこれで足りるよな…?てか、松原先生と偶然会う可能性もあるから、適当すぎる格好も出来ないのか。今日の恰好…まぁいいか。
ゼリーを食べながらスマホをチェックすると、知らない人からメッセージが届いていた。
『立川緋色さんですか』
メッセージ相手は知らない人だった。プロフィール画像はぬいぐるみだし、心当たりはまったくない。
誰だよ、怖ー。名前バレしてるってことは誰かが教えた?こういうのは無視だ、無視。
私はメッセージを削除し、学校へ向かった。
電車に揺られながら潤香たちにメッセージを送ってきた人物の名前を聞いてみるが、知らないと返ってきた。同級生ではないってことかな。
駅から出て学校へ向かう。
「立川緋色さんですか」
学校へ行く道の途中で、壁に寄りかかりながらこちらを見ている女子に声をかけられた。
「…いや、違います」
同年代の女子とは言え、知らない人に『はい、そうです』と身分を明かす勇気はなかった。
女子は慌ててスマホを確認している。そのうちに私は早歩きでその場を離れ…たかったのだが、彼女は走って私の前に立ちふさがり、スマホの画面を見せてきた。
「これ、あなたですよね」
そこに映っていたのはボトルを用意しながら笑っている私だった。
黒歴史…そうか、フットサルサークルのSNSのどれかに残っていたのか。…消してから辞めるべきだった。
「…似てるけど違いますよ」
「緋色ちゃんせんぱーい!………っとあれ、結奈…ちゃん…だっけ?」
大声で私の名前を呼びながら走ってくる史郎。駅から学校に向けて少し歩いてしまったため、自転車勢の史郎と鉢合わせてしまった…。
「知り合い?」
「サークルに新しく入った1年すよ。…確か、春先輩たちが勧誘してました」
「白戸結奈です」
ぺこりと頭を下げてくる。背の小さい、可愛い系の女の子だな。
「あ!メッセージの…人?」
「そうです!どうして何も返してくれなかったんですか?」
「知らない人と話しちゃダメって言われてるから。てかなんで私の連絡先知ってんの」
私この後授業あるんだよなー。時間的にはまだ余裕あるけど…。
「田村先輩が教えてくれました!」
「哲人かー…」
私の同期のプレイヤーであり、口が軽い男だ。個人情報の扱いも軽かったかぁ。
「で、何の用なの?」
「春先輩のこと、どう思ってるんですか?」
「どう…とは?」
人間、男、同期…以外に春に何か思うようなところがあっただろうか。
「好きとか、嫌いとか…」
「別に嫌いではないけど」
「好きなんですか?」
結奈が私に近づき見つめてくる。史郎の方を見るが呆れ顔で首を振っているため助けてはくれないようだ。
「普通…っていうか、どうとも思ってないとも言えるって言うか…」
「恋愛的な、好きとかはないんですか?」
恋愛?春と私が付き合うとか結婚とかってこと…?
「ない。同期のプレイヤーをマネージャーがそういう目で見たら終わりだと思うし」
「でも緋色さんもうマネージャーやめてるじゃないですか」
「いや、そういう目で一度見たらもう無理じゃない?恋愛対象外として一度判断してるし、あと、正直好みじゃないし。あっちも別に私の事好きじゃないと思うし」
結奈は凄い笑顔になり、史郎はどこか複雑な表情をしていた。
ごめんよ、史郎。先輩の恋バナ聞くのつらいよね。
「私、春先輩が好きなんです。狙ってもいいってことですよね」
「…勝手にしてください。関係ないんで」
私は結奈を置いてそのまま学校へ向かいたかったのだが、ついてきた。学校へ向かってるから当たり前なのかもしれないけど。
「あの、春先輩の好きなものとか、何か特別な情報とかありませんか?」
早歩きしていた私は立ち止まり、後ろにいる結奈の方を向く。
「知るか!良い?私と春はただの同期。同期とはいえ部活の連絡事項くらいしか喋らないの。今年ゼミが一緒になってちょっと喋るかなくらい。何にも知らない」
「安心しました。ライバルと思っていた先輩がそんな感じで」
「ライバル?なんで?」
「だって、春先輩…」
「あー!もうそろそろ時間ですよ、遅刻しますよ!」
史郎がいきなり声をあげた。時間を見ると確かに少し早歩きしないと遅刻しそうな時間だ。
「とにかく、私は春とあなたがくっついても何も思わないから」
私は面倒くさい結奈から離れたくて走った。結奈は満足したのかついてこなかった。
「緋色ちゃん先輩、なんか後輩がすみません」
むしろ史郎をよくわからないことに巻き込んでしまった罪悪感がある。
「史郎のせいじゃないし。私はそれより、あのデリカシーない春が本当にモテるんだってことに驚いてる」
「顔は…悪くないんじゃないですか?」
「先輩は確かに春がいいって言ってたかも」
「今は…その先輩方から結構春先輩嫌われ…というか…ちょっと炎上してますね」
この前の春の謎自慢を思い出した。
「あーなんか先輩に春が余計なこと言ったんでしょ。本人から聞いた」
「春先輩に悪気はないんですけどね…」
「そこが一番の問題だよね」
結奈がデリカシーのないこと言われないと良いけど。
「ですね、俺駐輪場にこれ置いてくるんで!」
「うん、お疲れー」
私は史郎に手を振り、教室に急いだ。
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