おじ専女子の望まぬモテ期

蛭魔だるま

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「おはよー緋色」
「おはよ、席ありがと」

 真琴が隣の席に置いていた荷物をよける。私たちの前には潤香と沙代里が座っている。たぶん来た順番だろう。

「鳴海君と一緒に来たの?」
「駅で偶然会ってね。色々やばかった…。昼話すね」
「何それ、楽しみー」

 真琴が食べているお菓子をくれた。

「俺にもちょーだい」

 私たちが後ろを振り向くと天使君がちょうど来たところだった。私の後ろの女性が親衛隊なのだろう。天使君はその人の隣、真琴の後ろに座った。
 私はとっさに真琴の方を見ると、真琴も私を見ており頷いていた。

「…天使君、あのーこちら、この前言ってたファンの…子」
「戸塚真琴です!よろしく」
「真琴…まこまこね、うん、よろしくー。お菓子ありがとー」
「良かったらこれ、どうぞ!」

 真琴は残っていたお菓子を全部差し出した。

「えーいいの?まこまこ優しいー。あ、俺の事天使君って呼んでいいよー」
「うん!」

 先生が教室に入ってきた。

「それでは授業始めます。前にプリント置いたので取って行ってね」

 私が取りに行こうと立ち上がろうとすると、沙代里に止められた。代わりに行ってくれるようだ。
 ちょっとここにいるのも気まずいんだけどなぁ。

「まこまこ、連絡先交換しよ」
「いいの?」

 といいつつもうスマホを用意している真琴はさすがだ。
 私はちらりと天使君の隣に座る女性を見た。天使君たちを見てニコニコしている。怒ってるとか不機嫌かなと思ってたから意外だった。なんだか息子を見るお母さんみたい。綺麗な人だな。

「じゃあ私はあなたと交換しようかな」

 え?私だろうか。お姉さんの視線は思いっきり私に向いているのだけど。

「駄目?」
「駄目…じゃないですけど、逆に良いんですか?この方のファンじゃないですよ」
「だからこそ」

 だからこそ?よくわからないが連絡先ならいいかと交換した。

「よろしくね」
「よろしくお願いします」

 ペコリと頭を下げた。あちらも下げる。天使君の小さく笑っている声が聞こえる。

「よーし、そろそろ始めますよー」

 みんなプリントを取ったようだ。前を向くとプリントが置いてあった。

「ありがと」

 小声で沙代里に言うと、背中越しに手を小さく振ってくれた。かっこいいな。
 授業が始まったので、筆入れにスマホを隠しながら弄る。メッセージは真琴と百合華さんから来ている。
 百合華?後ろのお姉さんかな。メッセージを開いた。

『百合華でーす!よろしく』
『緋色です。よろしくお願いします』
『光君のゼミの子でしょ?唯一の面白女子って聞いてるよー』
『…面白…ですか?笑』
『うん!あとねー私たち同い年だからタメ口でいいよー』

 私は驚いて咄嗟に振り向いた。百合華さん…百合華は、笑顔でピースしていた。

『めっちゃ綺麗な先輩だと思ってた。たぶん横に天使君がいるから余計お姉さん感増してるわ』

 タメってわかった瞬間めっちゃ喋る奴って思われたかな。後ろから小さく笑い声が聞こえてきたので大丈夫そうだ。

『ありがと笑 天使君にチビって伝えとくわ』
『お願い笑』

 顔綺麗で性格もいいってただただ最高だよなぁ。

『緋色ーありがとー!』

 真琴から来ているメッセ―ジにはグッドスタンプを返した。
 …よし、寝よう。

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