おじ専女子の望まぬモテ期

蛭魔だるま

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 2講からのスタートとはいえ凄い眠い。昨日はあの後録画していたドラマを一気見したため少し寝不足だ。
 駅から学校まで5分、この5分が眠いし長いんだよなぁ。

「緋色、はよ」
「おはよ」

 振り返ると歩きながら自転車を押している春が後ろにいた。

「授業何?」
「発達心理学」
「俺も」
「そう…一緒だね」

 沈黙。春と二人きりは気まずい。私が勝手に部活辞めたのが悪いのだが、罪悪感というか、どうも責められている気分になってしまう。不真面目な動機で辞めた私と、真面目な同期の春が一番の原因…だよなぁ。

「そういえば部活でさぁ」

 部活の話かぁ聞きたくないなー。いや私が悪いけどさぁ。

「うん」
「なんか2マネと4マネがすげぇ喧嘩してんだよね」

 だろうなぁ。そこは去年から仲悪かったし。その間に挟まれてる私たち3年がそれぞれの愚痴を聞かされてたもんなぁ。

「大変だね」
「4マネが2マネのこと使えないって言ってさ。2マネはあんなに仕事頑張ってるのに」

 私たちからするとどっちもどっちだったけどなぁ。4マネは仕事押し付けてサボり、2マネはバイトだからって片付けをせず帰る人が多かった。そのしわ寄せは全て私たちに来ていた。

「うん」
「で、この前2マネから、4マネが仕事サボってるって相談されてさ。だから俺言ってやったんだよ。使えないのはどっちですかって」

 はいはい、プレイヤーに多い、真面目に働いてるマネージャーを見ず、プレイヤーに寄ってくるマネージャーで判断するやつね。本当にサボってるかわかんないし、寄って行く奴らの方が大体働いてないんだか…ら?

「…え、言った?言っちゃったの?」
「うん、4マネに言ってやったよ」

 ………怖ー!春さんマジヤバじゃん。激ヤバですわ、それは。ぞわってした、ぞわって。

「4マネはなんて?」
「プレイヤーには関係ないって言うから。こっちも困ってるし、2マネは辞められたら困る大切な存在だって言ったよ」

 デリカシーないとかの次元じゃない、サイコパスじゃん。怖いよもう。片方の意見で全部決めつけて、女の世界を土足で踏み荒らしてる。そして4マネは今年やめるからとナチュラルに切り捨てるとこ!絶対プレイヤーが来ちゃいけない領域超えてるから。

「そう…」

 今1番部活辞めて良かったって心の底から思ったわ。巻き込まれなくて本当に良かった。これ絶対後で3マネは、4マネからの怒りと2マネからの自慢を聞き宥めなきゃいけなくなるでしょ。あんたが1番大切にすべきは仕事の出来る同期だから!

「緋色が居た頃は良かったなあ」

 あれ、これ遠回しにお前がやめたせいって言われてる…?中間管理職如きが何辞めてんだって話?

「…そうかな?」
「戻ってこねぇの?部活楽しいし、1年も可愛いし…何か嫌なことあれば俺が言ってやるからさ」

 えぇ?戻りたい要素何1つ見つかりませんけど?プレイヤーはそりゃ楽しいだろうよ。男子と楽しく練習するだけだから!
 真面目なマネージャーは、バイト優先の人から仕事を押し付けられ、手柄はプレイヤー狙いの人に持っていかれるんだよ!私は先輩がいたから続いたけど、仲良い人いないマネージャーの世界なんて最悪だから。しかも今絶望的が前につくほどの最悪の世界でしょ。絶対戻らない、失うものの方が多いわ!

「…いや、戻らない」
「そっかぁ」

 部活を辞めたからこそ、春のやばさに気づけた気がする。結局プレイヤーとマネージャーは分かり合えない。辞めたからこそ、改めて身に沁みた。
 ありがとう春、おかげで辞めた罪悪感は結構無くなったよ。

「じゃあ、友達いるから」

 春とは教室で別れた。
    
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