おじ専女子の望まぬモテ期

蛭魔だるま

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 授業は他の症例について話し合ったり、どのようにカウンセリングしていくかを教えてもらったりして終わった。

「お疲れ様。時間だね、今日は終わります。それとこれ」

 先生は私たちの前に個包装のクッキーを置いて行った。

「ありがとー先生ー!」
「ごめんね、僕はちょっと用事があるので、先に失礼します。机、もとに戻すのお願いね。じゃあ、また来週」

 先生は手を振って教室を去った。

「緋色、クッキーいる?その…先生からのだし」
「え、いいよ!大丈夫、そこまで節操無い女じゃないから」

 海里からのありがたい提案は気持ちだけ頂いておいた。

「かいりん、いらないなら俺にちょーだい」
「うん、いいよ」

 海里は優しい男だ。
 海里と天使君を眺めていた私の前が急に暗くなった。

「立川さん、僕はあなたを認めないし、負けません」

 私が顔をそちらに向ける頃には笹森君がもう背を向けて歩き出していた。

「…え?」
「シャーロックちゃーん、公式ライバル認定されてんじゃーん」
「緋色お前…何したの?」

 クッキーを食べながら笑っている天使君と引いてる春、海里は横でニコニコしている。

「心当たりないけどなぁ」
「シャーロックちゃん、クッキー食べないなら貰ってあげるよ」
「絶対嫌だ。あと、シャーロックは長いし恥ずかしいからひーたんでいいよ、天使君」
「…じゃ、ひーたんにしよー。天使君は俺気に入ったからそのままでいいよー」

 このクッキーはあげないけど、今度何かお菓子でも買ってあげよう。

「あ、ねーねー、緋色とサウスプ、連絡先交換しよ」

 海里がスマホを出しながら提案してきた。

「連絡先はいいけど、サウスプを許可した覚えはねぇ」
「ハルハル心せまーい」
「ハルハル…もあれだけど、まあどちらかと言えばハルハルがいいな」
「そっか…よろしくなハルハル」

 私と連絡先を交換した後、春と交換している海里のテンションは下がっていた。結構サウスプを気に入っていたようだ。

「後でゼミのグループ作っとくわー!尊っちは今度誘お」
「うん、ありがとー。じゃあ、お疲れー」

 私は教室を後にした。
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