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「おはよー!」
元気に登校してきた天使君、宇藤光は私たちを見て驚いた顔をしていた。
「おはよ」
「はよーっす」
「…え?…あー、俺来る前にかいりん起きてんのなんて初じゃね?違う人かと思って焦ったー」
天使君は私の前の席に座った。
「光君こそ早いね」
海里は天使君のことを呼び捨てにしないんだ。
「お菓子貰えるって聞いたからね」
「そんなに好きなの?」
「ひーたん聞いてー、俺金持ってないのー。食料とか恵んでくれるならお菓子でもオッケー」
「なんでお金…ひーたんて誰?」
スルーしかけたが、ひーたんはない。まさか私のあだ名なんてことは…。
「ひーたん…嫌?」
私の思いもむなしく、天使君は私を指さした。
「ピータン見たいで嫌だ」
「ひいろん、ひーちゃん、ひー…ひー…緋色ってあだ名むずいね」
「ひー…姫とか?」
「ゼミ内で姫って呼ばせんのやばい奴だよ、眠り姫」
私が海里の肩に手を置きながら言った。天使君はワンテンポ遅れて意味に気付き、笑っている。
「眠り姫?…俺?」
「眠り姫と、天使君」
人を指さすのは悪いことだけど、さっきやられたのでやり返した。
「天使…?俺が?あはっやばー。確かに俺は見た目天使級に可愛いけどさー」
「光君が天使…合わなっ」
「おい」
天使君は低い声も出るようだ。海里は目をそらしている。
「友達が、天使君は可愛いって言ってたよ」
「えー見る目あるー。今度紹介して、菓子折り持ってこさせて」
「天使君を本当に紹介していいか見極めてからにするね」
「厳しー。てかーせっかく同じゼミなのにひーたんは俺にメロメロにならなくていいの?」
天使君は上目遣いで私を見た。真琴ならイチコロなんだろうな。
「私全然天使君のことタイプじゃないから、大丈夫です」
「えー俺を選ばずしてこのゼミで誰と結ばれるって言うのさ!かいりん?確かに俺の次に顔はいいよ?でもでも、絶対デートの移動中寝るよ!?」
「…強く否定出来ないの悔しいっすね」
「ゼミでなら絶対松原先生がいい。一番かっこいい」
言った後に少し後悔した。彼らは仲良くなった気はするけど、ほぼ初対面みたいなもので、そして女友達とは違うのだ。馬鹿にされるかも。
「あー…そっち?年上好みねー。俺の見た目じゃ不利ってことねー」
「松原先生…確かに俺も女なら惚れるわ」
あれ?意外と。
「年上タイプかー…俺も年上女性のヒモになったことあるからわかるけど、甘えれるっていいよね」
「俺も昔、中学の担任の先生好きだったな」
意外とかっていうより、むしろ潤香たちより理解あるのでは。いい人たちかも。
「うん、だから、取らないでね。今のところ、天使君ライバルだから」
「俺!?そっちの趣味ないけど。あ、お菓子?お菓子か、渡さないからな!」
お菓子ではないけど、海里もいるし喫煙のことは黙っておこう。
「あ、緋色の研究、シャーロックホームズは?」
海里はひらめいたって顔で私の方を見てくる。天使君は笑っている。
なんだそれは、私のあだ名か?
「…ずっと考えてたの?」
「うん」
凄い良い笑顔だ。嫌だと言いにくいほど、いい笑顔だ。
「じゃあ天使君って呼んでいいから、その代わりホームズ先生って呼ぶわ」
「いや、シャーロックの方がまだ…ギリハーフ説いけそうだから…」
「よろしくな、シャーロック」
真剣な顔で海里がそう呼んでくる。
「よろしくね、眠り姫」
そっちがその気ならこっちだって眠り姫でいってやろう。
「…やっぱり恥ずかしいから俺は緋色でもいい?」
秒で恥ずかしがるな。名付け親のあんたは責任を持て。
天使君は耐えきれず笑い出した。
元気に登校してきた天使君、宇藤光は私たちを見て驚いた顔をしていた。
「おはよ」
「はよーっす」
「…え?…あー、俺来る前にかいりん起きてんのなんて初じゃね?違う人かと思って焦ったー」
天使君は私の前の席に座った。
「光君こそ早いね」
海里は天使君のことを呼び捨てにしないんだ。
「お菓子貰えるって聞いたからね」
「そんなに好きなの?」
「ひーたん聞いてー、俺金持ってないのー。食料とか恵んでくれるならお菓子でもオッケー」
「なんでお金…ひーたんて誰?」
スルーしかけたが、ひーたんはない。まさか私のあだ名なんてことは…。
「ひーたん…嫌?」
私の思いもむなしく、天使君は私を指さした。
「ピータン見たいで嫌だ」
「ひいろん、ひーちゃん、ひー…ひー…緋色ってあだ名むずいね」
「ひー…姫とか?」
「ゼミ内で姫って呼ばせんのやばい奴だよ、眠り姫」
私が海里の肩に手を置きながら言った。天使君はワンテンポ遅れて意味に気付き、笑っている。
「眠り姫?…俺?」
「眠り姫と、天使君」
人を指さすのは悪いことだけど、さっきやられたのでやり返した。
「天使…?俺が?あはっやばー。確かに俺は見た目天使級に可愛いけどさー」
「光君が天使…合わなっ」
「おい」
天使君は低い声も出るようだ。海里は目をそらしている。
「友達が、天使君は可愛いって言ってたよ」
「えー見る目あるー。今度紹介して、菓子折り持ってこさせて」
「天使君を本当に紹介していいか見極めてからにするね」
「厳しー。てかーせっかく同じゼミなのにひーたんは俺にメロメロにならなくていいの?」
天使君は上目遣いで私を見た。真琴ならイチコロなんだろうな。
「私全然天使君のことタイプじゃないから、大丈夫です」
「えー俺を選ばずしてこのゼミで誰と結ばれるって言うのさ!かいりん?確かに俺の次に顔はいいよ?でもでも、絶対デートの移動中寝るよ!?」
「…強く否定出来ないの悔しいっすね」
「ゼミでなら絶対松原先生がいい。一番かっこいい」
言った後に少し後悔した。彼らは仲良くなった気はするけど、ほぼ初対面みたいなもので、そして女友達とは違うのだ。馬鹿にされるかも。
「あー…そっち?年上好みねー。俺の見た目じゃ不利ってことねー」
「松原先生…確かに俺も女なら惚れるわ」
あれ?意外と。
「年上タイプかー…俺も年上女性のヒモになったことあるからわかるけど、甘えれるっていいよね」
「俺も昔、中学の担任の先生好きだったな」
意外とかっていうより、むしろ潤香たちより理解あるのでは。いい人たちかも。
「うん、だから、取らないでね。今のところ、天使君ライバルだから」
「俺!?そっちの趣味ないけど。あ、お菓子?お菓子か、渡さないからな!」
お菓子ではないけど、海里もいるし喫煙のことは黙っておこう。
「あ、緋色の研究、シャーロックホームズは?」
海里はひらめいたって顔で私の方を見てくる。天使君は笑っている。
なんだそれは、私のあだ名か?
「…ずっと考えてたの?」
「うん」
凄い良い笑顔だ。嫌だと言いにくいほど、いい笑顔だ。
「じゃあ天使君って呼んでいいから、その代わりホームズ先生って呼ぶわ」
「いや、シャーロックの方がまだ…ギリハーフ説いけそうだから…」
「よろしくな、シャーロック」
真剣な顔で海里がそう呼んでくる。
「よろしくね、眠り姫」
そっちがその気ならこっちだって眠り姫でいってやろう。
「…やっぱり恥ずかしいから俺は緋色でもいい?」
秒で恥ずかしがるな。名付け親のあんたは責任を持て。
天使君は耐えきれず笑い出した。
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