おじ専女子の望まぬモテ期

蛭魔だるま

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 私はついでに店員さんにお肉や野菜も追加で注文した。

「はいはいはいはーい!質問、春先輩はどうなんすか?」
「なにが?」
「恋愛対象に入るかどうか」
「入らないよ。同級生だし。せめて1個上とかの方がいいなぁ」

 史郎があまり焼いてくれない野菜を網に乗せていく。

「緋色ちゃん先輩はー、付き合ったことないんすよね?」
「うん、好きな人全員既婚者だったからね」
「俺はもう少し周りに目を向けてもいいなーって思いますよ。実は付き合ってみたら年下もいいなって思うとか。ほら、理想と実際付き合う人は違うって言うでしょ?」
「あー熟女好きの人って実際結婚するときめちゃくちゃ若い人と結婚するよね」
「そうそうそう!」
「まあでも、私は今は松原先生だからなー。とりあえずそっちを頑張るよ」
「すみませーん、ビール追加でー」

 私たちはその後もたわいもない話を続け、終了時間になった。

「よし、じゃあ帰るか。お会計お願いしよ」
「俺が払っておきました!」
「え!?いつの間に?」
「さっきトイレ行った隙に」
「うわー、やられた。いくら?払うから」
「先輩はねー、そういうとこっすよ」
「何が?」
「普通女子って、男に奢られたらすぐかっこいいーありがとーって言うもんですよ」

 史郎は身振り手振りで女の子の真似をする。

「えー、男以前に後輩に奢られるのに悔しさ感じてますけど」
「後輩っていうか、サークルのときも先輩とか同期に奢られるの嫌がってたじゃないですか」
「なんか申し訳なさが勝つもん」
「そこは、ありがとうって言って男を立てて、可愛さをアピールしないと、落ちるもんも落ちませんよ。年上なんて」
「そっか、なるほど」
 
 確かにと納得してしまった。

「ま、このままでも先輩らしくていいとは思いますけどねー」
「どうしろと…」

 私たちはお店を出て駅の方に歩く。

「緋色ちゃん先輩、今日うち来ないんすか?」
「うん、終電逃してないし」

 私とリサ先輩と史郎でご飯を食べていたときは、サークル終わりの遅い時間から飲み始めるためよく終電を逃していた。私とリサ先輩は電車勢なのでよく学校近くの史郎の家に泊めてもらっていた。

「緋色ちゃん先輩、例えば、俺以外の男と2人で飲んでその後家行ったら駄目ですからね」
「じゃあ私の今の選択は女として正解ってこと?」
「うーん…正解…いや、うーん…俺的に…とにかく、そういうときはタクシー拾ってでも絶対帰ること!いいですね?」
「はーい。あ、史郎はちゃんと明日からサークル行きなよ」
「緋色ちゃん先輩が試合見に来てくれるなら続けます」
「会場遠いし朝起きるの面倒くさいから嫌だ。あと他の人いるから気まずい」

 こういうときに嘘をついてはいけない。マネージャー時代の試合の日のつらい朝を思い出した。

「そこは正直なんすね」
「どうせ幽霊部員多いし、私に合わせてノリでやめなくていいよ。本当にやめたいなら止めないけど」
「…まあ、一応続けます」
「うん!じゃあね」
「気を付けてくださいよー」
「はーい。またご飯行こうねー」

 振り向くと史郎はずっと手を振ってくれていた。
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