おじ専女子の望まぬモテ期

蛭魔だるま

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 学校近くの焼肉屋。美味しいお肉を食べ放題ということもあって学生御用達のお店である。

「緋色ちゃん先輩、もっといいお店でも良いんですよ?」
「美味しいお肉食べ放題に勝てる店はないよ」

 去年はサークル終わりにリサ先輩と史郎とよくここにお肉を食べに来ていた。

「んーまあ緋色ちゃん先輩がいいならいんすけどねー」
「史郎と行くと色んなお肉食べれるから私はラッキー」
「あー、それで俺最初呼ばれましたもんね」

 私たちはお店に入った。

「いらっしゃいませー。2名様ですね、こちらへどうぞ」

 席に案内され、私たちは適当にお肉を注文した。

「5時半か、ご飯にはちょっと早かったかな?」
「でもこの時間の方がお店も空いたばかりだし、学校の人たちもまだ来ないんでいいですよ」
「そっか」
「パインサワーとビールおまたせしましたー」

 頼んでいた飲み物が届いた。

「かんぱーい」
「かんぱいーっす」
「ビール飲めるようになったんだ」

 ついこの前、サークルメンバーと誕生日の史郎を祝ったときはビールは苦いと言っていたのに。

「なんかはまりました!緋色ちゃん先輩は相変わらず可愛いの飲んでますね」
「うん、ビールみたいな苦いの慣れるほど飲みたくない」
「お待たせしましたー」

 頼んだ肉が運ばれて来た。史郎がどんどん網に乗せてくれる。

「お肉、お肉」
「今焼けるんで待っててくださいねー」

 私はナムルを食べて待つ。

「そういえば、緋色ちゃん先輩、ゼミどこにしたんすか?来年の参考にするんで」
「んー、松原ゼミにしたよ」
「え、誰?そんな人いました?」
「そうそうそう、聞いて聞いて!今年から来た教授なんだけど、めっちゃかっこいいんだって!」

 史郎が肉から私へと視線を変える。

「え…顔で選んだんすか?」
「いや、強く否定はできないけど、それだけでもないよ」
「どんな人なんすか?てか俺、緋色ちゃん先輩の好みのタイプ知らない!」

 ダメ元でスマホ検索してみると松原先生の写真が出てきた。

「見て見て!この人!めっちゃかっこよくない?マジでタイプ、顔もいいし、声もちょうど低くてー」

 スマホを史郎に差し出した。

「えー…俺の方がかっこよくないっすか?」
「どこが?」
「即答かよ」

 史郎が私にお肉を入れてくれた。

「俺結構お姉さま方から人気だと思いますけどね」
「まあ、史郎は後輩にはいいけど、恋愛対象ではないね」
「1人暮らしなんで家事は一通りできるし、イケメンだし、好きな女の人にはたくさん尽くすしー。こんな好条件他にいます?」

 史郎の決め顔をスルーして私はお肉をとる。

「そうだなー、他の人には好条件かもしれないけど、私はなんでもできる年下と何も出来ない好みの年上なら年上を取る人だからさ」
「ええーダメなおっさんラブですか?」
「好みのおじさんなら別にダメでもダメじゃなくてもいいよ。私は尽くしたいし、甘やかされたい。こうおじさんの包容力と、魅力で」
「俺は生まれた時から負け組ってことっすか?」

 史郎は残ったビールを一気飲みした。

「なんで?史郎ならいいお姉さん選び放題じゃん」
「ぜんっぜん伝わってない…すみませーん、ビール1つー」
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