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 4日後、結果が掲示板に張り出された。
 スマホでも見れたけど、身体測定があり学校にいたので、空き教室に行く前に見に行った。

「どれどれ…?お、私と真琴、南ちゃんとこ受かってる!」
「やったー」
「私も門脇ゼミ受かった」
「私も落ちてない」

 よし、これで卒業まで頑張れそうだ。

「とりあえず写真撮って空き教室行こう」
「うん」

 私達の後から来た女の子がどうやら受からなかったらしく落ち込んでいる。
 私達はその場を後にし、空き教室へと向かった。

「ゼミの人たち見た?」
「あ、まだ見てない」

 松原ゼミが嬉しくて全然見てなかった。

「なんかさぁ、チラッとしか見てないけど、緋色のとこやばそう」
「え!?どういうこと?」
「いや…うーん…」

 私は真琴の肩を掴み揺らす。

「あ、ここ空いてるよ」

 私は急いで椅子に座り、スマホで確認した。

「宇藤光、信濃海里、鳴海春…4人って少なっ」
「うちの学科の人数少ないのもあるけど、たぶん人気ゼミで落ちた人何人か行くんじゃないかな。後日再抽選って書いてたし」
「ならいいかー。ねぇ宇藤と信濃って知ってる?」
「緋色、あんたは同級生に目を向けなさすぎ。信濃海里と鳴海春って結構女子人気高いよ」
「…あの春が?」

 顔はいいのかもしれないけど、サークルでポンコツな部分見すぎて人気あるとは思ったことなかったな。

「宇藤くんも人気だよ。私いいなーって思ってた」
「女じゃないの?」
「違うよ!背が小さくてー、童顔でー、めっちゃ可愛いんだよ。あのーほら、よく学食でうちの学科の女子何人かといる金髪の人」

 理想の高い真琴がはまる男なら、結構顔面偏差値は高いのかもしれない。ただ私の記憶の中にはいなかった。

「えー…わかんない」
「もう天使、癒し、目の保養」
「そんなに好きだったの?知らなかったな」
「不登校だったっぽい。去年私だけ落ちてた1年のときの授業で、2年だよって言ってるの聞いたから」

 不登校の天使か…。でも童顔は好みじゃないなぁ。

「信濃くんもバレー部のイケメンレギュラーって有名だよ」
「どこで有名なの?私聞いたことないんだけど」

 沙代里の言葉とはいえ結構信頼度は低い気がする。

「あんたの友達はね、みんなあんたがおじ専って知ってるの。だから、同級生のイケメンを紹介しても興味はないだろうし、共感してもらえないから喋らないんだよ」

 潤香が真顔でゆっくりと諭すように語りかけてきた。

「あ…納得しました。正論で殴られた感凄いある。気使わせてすみませんした」
「別に私たちも興味ないから話さないけど、サークルとかだとそういう話題延々とされるわ」
「確かにー、私のとこも、あのサークルはイケメンいるのにうちはいないよねーとかいう人いたわ」

 私はサークルで先輩としかつるんでなかったのと、うちの学科のマネージャーがいなかったから回避されたのだろう。

「てかみんなのゼミにイケメンいないの?」

 3人はスマホに目を落とす。

「いない…と思う。あーでも知らない人いるからワンチャン?」
「いや…いなそう」
「私のところはまず女子多いな」
「…あれ?私のゼミ女子1人?…まあ宗一郎狙いのライバルいないのはラッキーか」
「いやいや、問題でしょ。人気男子に囲まれて女子1人って…怖いよね」

 真琴が目をそらす。

「え、いじめ的な?…漫画じゃないし、ないでしょ」
「どうだろ。うちの学科にもやばい女子はいるしね」
「あ!ちょっとうちのゼミ修羅場だ!あの二股野郎とその元カノ、今カノいる」
「やめてよー…」
「うちが一番平和かな」

 沙代里が勝ち誇ったように言ってきた。

「いや、うちも外部からの攻撃の心配はあっても、内部的には平和じゃないかな」
「3年生になってまで問題起こす人なんていないか」

 その後私たちは時間割を組んだ。

「この後みんな何かあるの?」
「「「サークルの勧誘」」」
「あー…退部した奴は大人しく帰りますね」
「駅まで送ってあげようか?」

 真琴がにやにやしながら聞いてくる。

「1人で帰りまーす」

 私は荷物を持ち教室を後にした。
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