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36話
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トイレのあと、僕はベッドに連れ戻された。ヴァルア様は僕を押し倒し、執拗にキスをした。やっと唇を離したかと思えば、バツが悪そうに笑う。
「さっきはすまない。雑に扱ってしまったね」
「かまいません。気にしていませんから」
「今からはちゃんと君を大切にするから、もう一度抱かせてほしい」
「……あなたはもう少し自分本位に振舞ってもいいと思います」
僕のために抱いて、僕のために働いて。たまに本性や本能が表に出るが、普段はそれを僕に隠そうとする。なんだか気味が悪い。それに不公平だ。僕ばかり良い思いをしている気がする。
「あっ……」
ヴァルア様は、先ほどとは別人のように、ゆっくり丁寧にペニスを挿入した。己の快感は後回しに、僕の敏感なところを執拗に刺激する。
両腕を伸ばした僕に、ヴァルア様が顔を寄せる。キスをする彼の首に腕を回し、全身で愛を感じた。
「あ、はっ……ふっ……ん……っ」
「俺ね、君の控えめな嬌声が好きなんだ」
ヴァルア様が耳元で囁いた。
「もちろん激しく乱れているときの君も、そのときの嬌声も好きだよ」
「はぁ……っ、あっ、そこきもちっ……」
「ここ? 知ってるよ。だから擦ってる」
「あっ……、うんっ、そこ……、きもちいい……っ」
「よかった」
はじめて全裸のヴァルア様と抱き合った。汗ばんだ肌は熱く心地よい。密着したままでいると繋がってしまいそうだ。
「……眠ってしまいそうです」
「すまない。退屈だったかな」
「いえ。あんまり心地よくて……」
「……そう。眠っていいよ。君が眠るまで、ずっとこうしているから」
「んっ……。ヴァルア様……、キスを」
「ふふ。やっぱりキスが好きなんじゃないか」
本当に眠ってしまったようだ。目が覚めると、また片肘をついたヴァルア様に見つめられていた。
「おはよう。よく眠れたかな」
「……あれ? さっきまでのは夢だったのでしょうか。この光景、前にも見たような」
ヴァルア様はクスクス笑い、僕の髪を指で梳いた。
「もうすぐ、毎朝この光景の繰り返しになるはずだよ。いや、一日で何度も見るハメになるかもね。今日みたいに」
この七日間で僕が聖職者としての仕事をすることは一度もなかった。したことと言えば、庭を散歩したり、サロンで弦楽器の演奏を聴いたり、私室の窓辺でお菓子を頬張ったりと、自由で平和なことばかりだ。
その隣にはいつもヴァルア様がいて、僕の瞳をゆったりと眺めていた。
「さっきはすまない。雑に扱ってしまったね」
「かまいません。気にしていませんから」
「今からはちゃんと君を大切にするから、もう一度抱かせてほしい」
「……あなたはもう少し自分本位に振舞ってもいいと思います」
僕のために抱いて、僕のために働いて。たまに本性や本能が表に出るが、普段はそれを僕に隠そうとする。なんだか気味が悪い。それに不公平だ。僕ばかり良い思いをしている気がする。
「あっ……」
ヴァルア様は、先ほどとは別人のように、ゆっくり丁寧にペニスを挿入した。己の快感は後回しに、僕の敏感なところを執拗に刺激する。
両腕を伸ばした僕に、ヴァルア様が顔を寄せる。キスをする彼の首に腕を回し、全身で愛を感じた。
「あ、はっ……ふっ……ん……っ」
「俺ね、君の控えめな嬌声が好きなんだ」
ヴァルア様が耳元で囁いた。
「もちろん激しく乱れているときの君も、そのときの嬌声も好きだよ」
「はぁ……っ、あっ、そこきもちっ……」
「ここ? 知ってるよ。だから擦ってる」
「あっ……、うんっ、そこ……、きもちいい……っ」
「よかった」
はじめて全裸のヴァルア様と抱き合った。汗ばんだ肌は熱く心地よい。密着したままでいると繋がってしまいそうだ。
「……眠ってしまいそうです」
「すまない。退屈だったかな」
「いえ。あんまり心地よくて……」
「……そう。眠っていいよ。君が眠るまで、ずっとこうしているから」
「んっ……。ヴァルア様……、キスを」
「ふふ。やっぱりキスが好きなんじゃないか」
本当に眠ってしまったようだ。目が覚めると、また片肘をついたヴァルア様に見つめられていた。
「おはよう。よく眠れたかな」
「……あれ? さっきまでのは夢だったのでしょうか。この光景、前にも見たような」
ヴァルア様はクスクス笑い、僕の髪を指で梳いた。
「もうすぐ、毎朝この光景の繰り返しになるはずだよ。いや、一日で何度も見るハメになるかもね。今日みたいに」
この七日間で僕が聖職者としての仕事をすることは一度もなかった。したことと言えば、庭を散歩したり、サロンで弦楽器の演奏を聴いたり、私室の窓辺でお菓子を頬張ったりと、自由で平和なことばかりだ。
その隣にはいつもヴァルア様がいて、僕の瞳をゆったりと眺めていた。
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