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12話
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◇◇◇
ヴァルア様とあんなことがあったあと、僕は何食わぬ顔を装い礼拝堂に戻った。意外にも、僕が物置に連れ込まれてから一時間も経っていなかった。誰にも気付かれてなさそうでホッとした。
「ナスト様。湯浴みのお時間です」
夕飯を終え自室に戻ると、待っていたアリスが僕の服を脱がせた。いつものように、聖なる儀式の前に体を洗う。
そのときに、体に沁み込まなかった古い精液を掻き出してもらう。
「まあ……。昨晩はとても……深い儀式だったようですね」
床にボタボタと落ちる精液を眺めながら、アリスは言った。僕は声が裏返らないよう気を付けて、「うん」とだけ答えた。
……ヴァルア様の感覚がまだ体に残っている。不愉快なことに、彼のことを思い出しただけでペニスが痛くなった。
湯浴みのあと、アリスは祭服ではなくシルクの下着と寝衣を僕に着せた。
「司祭様からの指示で、今晩は寝衣で来るように、とのことです」
司祭様はときどき、祭服以外のもので夜の儀式に指定することがある。今日のように寝衣のときもあれば、女性が身に着ける服であることもしばしば。
今の僕にとっては、どんな服を着るかなんて、いつも以上にどうでもいいことだった。
司祭様の部屋に行くのが恐ろしいと感じるのなんて、初めてだ。穢れた僕を見て、司祭様は怒るだろうか。呆れるだろうか。どちらにせよ、僕は教会から追い出されるに違いない。
足が震える。ノックをするのが怖い。
立ちすくんでいると、内側からドアが開いた。司祭様が立っている。
「おお。遅いから様子を見に行こうとしていたんだが、もう来ていたのか。入りなさい」
「は、はい……」
司祭様の表情は変わらない。何を考えているのかさっぱり分からないのが余計に怖い。
「では早速儀式を始めようか」
「……」
「ナスト?」
「……は、はい……」
僕は震える体でベッドに上った。四つん這いになると、司祭様が寝衣をめくり上げる。尻を両手で撫で、穴を拡げた。
「……っ」
司祭様の息が尻に当たる。間近で見られているんだ。怒られる。怖い。
「んっ……」
司祭様が、尻を掴んだまま穴に口を付けた。音を立てて吸い付いたり、舌を肛門に差し込んだりしている。僕の穢れた体を、司祭様の聖なる力で清めようとしてくれているのだろうか。
そう考えると目に涙が滲み出た。僕がひどく穢れても、見捨てようとしないんだ。それほどまでに優しいお人なんだ、司祭様は。僕は、捨てられるのではないかと恐れていた自分のことが恥ずかしくなった。
司祭様が僕から顔を離した。そして一言。
「ああ。昨晩たっぷり清めたおかげかな。穢れがすっかりなりを潜めている」
え……?
「聖なる力が満ちておる。これならば、金の輪を外してやってもよいな」
司祭様は僕をうしろから抱きしめ、金の輪に手をかけた。
「……?」
司祭様は先ほどなんとおっしゃった……? 疑問符で頭の中がいっぱいになった。
ヴァルア様とあんなことがあったあと、僕は何食わぬ顔を装い礼拝堂に戻った。意外にも、僕が物置に連れ込まれてから一時間も経っていなかった。誰にも気付かれてなさそうでホッとした。
「ナスト様。湯浴みのお時間です」
夕飯を終え自室に戻ると、待っていたアリスが僕の服を脱がせた。いつものように、聖なる儀式の前に体を洗う。
そのときに、体に沁み込まなかった古い精液を掻き出してもらう。
「まあ……。昨晩はとても……深い儀式だったようですね」
床にボタボタと落ちる精液を眺めながら、アリスは言った。僕は声が裏返らないよう気を付けて、「うん」とだけ答えた。
……ヴァルア様の感覚がまだ体に残っている。不愉快なことに、彼のことを思い出しただけでペニスが痛くなった。
湯浴みのあと、アリスは祭服ではなくシルクの下着と寝衣を僕に着せた。
「司祭様からの指示で、今晩は寝衣で来るように、とのことです」
司祭様はときどき、祭服以外のもので夜の儀式に指定することがある。今日のように寝衣のときもあれば、女性が身に着ける服であることもしばしば。
今の僕にとっては、どんな服を着るかなんて、いつも以上にどうでもいいことだった。
司祭様の部屋に行くのが恐ろしいと感じるのなんて、初めてだ。穢れた僕を見て、司祭様は怒るだろうか。呆れるだろうか。どちらにせよ、僕は教会から追い出されるに違いない。
足が震える。ノックをするのが怖い。
立ちすくんでいると、内側からドアが開いた。司祭様が立っている。
「おお。遅いから様子を見に行こうとしていたんだが、もう来ていたのか。入りなさい」
「は、はい……」
司祭様の表情は変わらない。何を考えているのかさっぱり分からないのが余計に怖い。
「では早速儀式を始めようか」
「……」
「ナスト?」
「……は、はい……」
僕は震える体でベッドに上った。四つん這いになると、司祭様が寝衣をめくり上げる。尻を両手で撫で、穴を拡げた。
「……っ」
司祭様の息が尻に当たる。間近で見られているんだ。怒られる。怖い。
「んっ……」
司祭様が、尻を掴んだまま穴に口を付けた。音を立てて吸い付いたり、舌を肛門に差し込んだりしている。僕の穢れた体を、司祭様の聖なる力で清めようとしてくれているのだろうか。
そう考えると目に涙が滲み出た。僕がひどく穢れても、見捨てようとしないんだ。それほどまでに優しいお人なんだ、司祭様は。僕は、捨てられるのではないかと恐れていた自分のことが恥ずかしくなった。
司祭様が僕から顔を離した。そして一言。
「ああ。昨晩たっぷり清めたおかげかな。穢れがすっかりなりを潜めている」
え……?
「聖なる力が満ちておる。これならば、金の輪を外してやってもよいな」
司祭様は僕をうしろから抱きしめ、金の輪に手をかけた。
「……?」
司祭様は先ほどなんとおっしゃった……? 疑問符で頭の中がいっぱいになった。
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