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夏休み上旬

41話 8月12日:ヨワヨワアルファ

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 怜に覆いかぶさった俺は、ちんこを怜の尻につんと当てた。

「怜、まだやれるか?」
「……早くちょうだいよ」

 照れ隠しにムスッとしている怜が可愛すぎて、俺は脳内で絶叫した。ダメだ。こいつと一緒にいると正気を保てない。俺はいつか人間を捨てた、ちんこが本体のバケモノになってしまうかもしれない。少なくともすでにアルファの尊厳は捨ててしまっている気がする。
 それでもこいつと一緒にいられるのならかまわん。

「あぁっ……」

 さっきまでいじくり回していたせいか、中はいつもより緊張感がなかった。簡単に俺のちんこを根元まで呑み込み、だらだらと涎のように愛液を溢れさせている。

「はは。遊びすぎたな。ケツがゆるい」
「あっ、ごめん……」

 俺の独り言に反応して、怜がキュッと尻を締め付けた。

「締めなくていい。さっきのままで」
「でも……気持ち良くないでしょ」
「気持ちいいに決まってんだろ。だから自然にしてろ」
「……」

 悪いことをしたな、と心の中で舌打ちした。こいつ、ビッチとかケツがゆるいとか、そういうワードに敏感なんだ。
 自然にしていろと言っても、怜は意識的にケツをキツく締めたままだった。

「大丈夫だって、怜」
「あっ!?」

 前立腺を突き上げる。怜の体がのけぞり、ちんこを引きちぎりそうなほど中が閉まった。

「お前を感じさせたら勝手に締まるから」
「あっ! あぁっ、んっ、んんっ、あっ……朱鷺っ……」
「ん?」
「気持ちいい……っ」
「俺も」

 そう言っても、怜は不機嫌そうな顔をした。

「でも……いつもより余裕ある……っ」

 まあ、いつもよりはゆるいからな。(とは言わなかったが)

「僕だけ感じててっ……悔しい……っ、あっ、うぅっ……」
「俺は毎日そう思ってるぜ」
「喘いでる朱鷺が見たいのにぃっ……」
「そんな俺、お前しか見たことないからな」

 そう返すと、怜の表情がふわっと緩んだ。

「そうなの……? えへへ、嬉しい……」
「あ」
「ん……っ。え……」
「出た」

 もはやこいつの絶品ケツ以前の問題だ。いつの間にか、こいつの表情と言葉だけで俺は射精してしまう体になってしまった。

 俺はふぅ、とため息を吐き、天井を仰いだ。

「俺、ツヨツヨアルファ様だったんだけどなー……」

 信じられないかもしれないが、俺のちんこは本来かなり強いんだぞ。こんなつつくだけで射精するようなちんこなんかじゃなかった。オメガを何度もイカせてアヒアヒさせたくらいでやっと出るくらいだったのに。こいつの前ではただの緩んだ蛇口だ。

 感傷に浸っていると、怜に抱き寄せられた。

「よかったね、朱鷺」
「なにがだ……」
「ヨワヨワになるくらい相性ぴったりのオメガを恋人にできて」
「相性が良い……?」

 相性というより、お前のケツマンコが名器だからだろ。

 怜はうーんと考え、「相性ではないか」と言い直した。

「ヨワヨワになるくらい好きな人、かな?」

 怜はそう言って、ニシシと笑った。
 それで完全にラットのスイッチが入った俺は、ガンガンと激しく怜の中を突いた。

「あっ!? あっ、ちょっ、どうしたの朱鷺急に……っ! あぁっ、はっ、あぁっ!」
「お前はどうなんだよ」
「あっ、ぁぁっ、あ、そこっ、そこヤバ……」
「なあ、お前はどうなんだ」

 俺の問いに、怜はすぐには答えなかった。それが激しく乱れていたから答える余裕がなかったからなのか、俺に言えない本音があったからかは分からない。

 間を置いて怜はこう言った。

「……っ、朱鷺とのセックスが、一番好き……っ」
「……はっ。一番気持ちいいとは言ってくれねえんだな」
「ちがっ……」
「いいよ別に」
「あぁぁっ!!」

 奥まで一気に押し込んで、ぬちぬちとさらに奥へ続く壁をこじ開ける。

「やぁっ! 朱鷺っ、そこやだぁぁっ!!」
「なんでだよ。お前ここ好きじゃん」
「おかっ……おかしくなるからっ……ひっ、あぁぁぁっ!!」

 怜が勢いよく射精した。その後もS字結腸を刺激している間、怜は中イキが止まらず、叫び声のような嬌声をあげていた。

「オメガの〝気持ちいい〟なんて、ただの生理現象だ。そうだろ、怜」

 俺の声は、大声を上げている怜には届いていないようだった。

「アルファ性やテクに強く依存しているのが、オメガの快感だよな」
「あああっ、あっ、もっ、無理っ、無理っ、んんん……あぁぁっ!!」
「俺はお前を一番気持ちよくしてやることは、まだできないみたいだが――」

 S字結腸の中に精液を注ぎ込むと、怜が激しい絶頂を迎え、意識を失った。
 涙と涎で濡れた顔に、俺はキスをする。

「それでも俺とのセックスが一番好きだって言ってくれるのは、素直に嬉しい。……半分な」

 残り半分の感情は、義父への嫉妬と劣等感。

「……」

 怜の鞄の中で、スマホがちかちかと光っている。
 今まではそれが母親からの連絡だと思っていたので気にならなかったが、そうじゃないと知ってしまった今、俺は手に取らずにはいられなかった。

 罪悪感がそんな俺を引き留めようとしたが、結局のところ無駄だった。

「……怜、ごめん」

 俺は気絶している怜の指を借り、ロックを解いた。ホーム画面には、同じ人からの着信履歴と新着チャットのお知らせで埋め尽くされている。

「高浜 康人……」

 間違いなく怜の義父だろう。

「キモ……」

 着信履歴を見ると、ほとんど全てが義父だった。
 俺は少しためらったあと、義父との個別チャットも開いた。
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