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夏休み上旬
30話 8月3日:瞳に火花を灯し
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先輩たちに、怜に手コキされてみっともない喘ぎ声を上げるところを見られてしまった。恥ずかしさのあまり、俺は岩影に怜を連れ込み挿入した。
ここで怜をたくさん鳴かせて、アルファとしての自尊心を回復させたい。そんなちっちゃくてつまらねえアルファの感情のまま、今、怜は激しく奥を突かれている。
「んっ……んんっ、もっ、朱鷺っ……はげしっ……!」
「……、っ、~~っ、」
クソッ。意気込んで挿入したはいいものの、相変わらず怜の中が気持ち良すぎて、声を抑えるので必死になる。忘れていたが、普段のセックスでも基本的に俺の方が喘ぎ声がうるさいんだった……。これ、墓穴掘ったか?
それに、怜はいつものように控えめな声しか上げない。
俺はきゅっと閉じている怜の口に指を押し込み、無理矢理口を開かせた。
「あっ!?」
「だからいつも言ってんだろ。我慢すんなって」
「だっ、だってっ、恥ずかしっ……」
ダン、と一気に奥まで押し込むと、怜が言葉の途中で固まった。中でイッている。
「あ……あぁ……あっ……」
俺はまた腰を揺らし、手で怜の乳首とちんこを弄ぶ。
「あっ! やめて朱鷺っ、あっ、もっ、同時に触らないでっ、みっともない声出ちゃうっ、あぁっ、あっ」
「みっともなくねえって。可愛い」
「ふぅぅっ……、はっ、あぁぁっ!」
「っ、……も、限界」
「ふぁっ!!」
怜の両手首を後ろ手に掴み、本能のままに腰を振る。
理性がぶっ飛びかけていた俺と怜は、もはや声を抑えることも忘れて互いを求め合った。
怜の中にたっぷり精液を流し込んでから、俺は怜のズボンを上げた。しばらくイチャイチャとキスをしてから、俺たちはバーベキューのところに戻った。
どうやら肉を焼くのを中断してくれていたみたいで、俺たちの分の食べ物がたっぷり残っていた。
っていうかたぶん、俺たちの声を肴にしてオナニーをしていたようだ。先輩たちの顔がとろんとしているし、地面になにやら液体が落ちていた。
ナナさんは紅潮させた顔で、自分の濡れた指をぺろりと舐める。
「隠れなくたっていいのにぃ」
「「怜/朱鷺のあんな姿、誰にも見せたくないので」」
俺と怜が同時に答えると、ナナさんがふふんと笑う。
「でも、声は聞かせたいんだ?」
その質問に、俺たちはカッと顔を赤くした。
「どっちも独占欲だね。かわいい~」
マサルさんとダイキさんは、「ごちそうさま」とだけ言って、俺たちに紙皿を渡した。
「運動しておなかすいたでしょ。たくさん食べて」
「多めに肉買ってきたんだ。だからたっぷり食べてくれよ」
先輩たちは俺たちの皿にどんどん肉を載せていく。俺たちは皿が溢れないようにバクバク食べた。
「怜、美味いか?」
「うん、美味しい!」
「怜、楽しいか?」
「うん、楽しい」
「よかった」
そんな俺たちを目尻を下げて眺める先輩たちは、まるで弟を見ている時のような、もしくはペットを愛でているような……いや、自分たちでは手の届かない存在を崇めているような……そんな、優しくて切ない目をしていた。
バーベキューを終えたあと、俺たちは手持ち花火をして遊んだ。
そのとき、ナナさんが怜に話しかけた。
「ねえねえ、怜くん。どうやって朱鷺くんを落としたの?」
「え」
怜の隣にいた俺は、もぞもぞと体を揺らした。これは、他人のふりをしていたい話題だ。
「えっと……。よく分からないです」
「えー?」
「気付いたらこうなってました」
「そんなことあるう!?」
「僕も驚いてるんですが……。はい」
ナナさんはちらちらと俺に目をやったあと、また怜に視線を戻す。
「どっちから好きになったの?」
「えーっと、たぶん、同じタイミングくらいじゃないかな……」
ナナさんはニヤァといやらしい笑みを浮かべ、怜に尋ねた。
「朱鷺くん、相当怜くんに惚れこんじゃってるいたいなんだけど、怜くんもそのくらい朱鷺くんのこと好きなの?」
「まあ、はい。たぶんそうなんじゃないかと。もしかしたら僕の方が入れ込んでるかもしれませんね」
サラッとそんなことを言ってのける怜に、俺は勃起したし、ナナさんも「んまあ♡」ととろけそうな声を出した。
「朱鷺くんのどこがそんなにいいの? 顔? アルファ性?」
「その二つはどちらかというと嫌いです。僕以外を誘惑するためにしか存在していないので。むかつく」
ブッとナナさんが噴き出した。
「じゃあ、どこが好きなの?」
「……」
そこで答えられないのかよ! 答えてくれよ、俺も気になる!!
怜はもじ……と体育座りをして、体を丸めた。
「……僕を大切にしてくれるところとか、バカ正直なところとか、あとは、ちょっと頭がおかしいところとか……とにかく、朱鷺の全部が好きです」
キャーッとナナさんが歓声を上げたと同時に、俺は怜を押し倒した。
「と、朱鷺……?」
「お前なあ……よく俺の目の前でそんなことが言えるな!?」
「あ、ごめん……。ああは言ったけど、朱鷺の顔もアルファ性も好きだよ? ヤキモチを妬くことがめんどくさいだけで……」
「そっちじゃねえしその返答も殺傷能力高いんだよバカ!!」
バッキバキになったちんこを怜の太ももに押し付けると、怜が「ひっ……」とか細い声を上げた。
ラットになりかけている俺の肩を、ナナさんがとんとんと叩いた。
「それで、朱鷺くんは怜くんのどこが好きなのぉ?」
俺はナナさんをキッと睨み、叫んだ。
「こういうところです!!」
「うんうん、納得~」
「ちょっと俺怜とセックスしたいんですけどここでしていいですかねえ」
ナナさんは呆れた様子で俺を見た。
「さっきもしてたじゃない。行く前にもしてたし。ちょっとくらい我慢しなさいよ」
「こいつが悪いんですよ。いっつもいっつも俺を煽ることばっか言うんです」
「まあ、そうでしょうけど……。怜くん、花火とセックスどっちがしたい?」
そう聞かれた怜は、即答で「花火」と答えた。
「ほら朱鷺くん。セックスはいつでもできるんだから、今は花火を楽しみなさい? 次いつ怜くんと花火できるか分からないんだよ?」
「……」
俺はしぶしぶ怜から離れ、花火に火を点けた。
ナナさんがいなくなり、怜と二人で花火を眺める静かな時間が訪れた。
俺は瞳に火花を映し、ぼそっと呟く。
「ごめんな」
「え?」
「今日、普通にみんなと遊ぶつもりしかなかったんだけど……。みんなの前で挿れちまったし、さっきだって……」
「ああ、しかたないよ。僕、今日フリスク飲んでないし。むしろさっきよく我慢できたなって感心してたんだ」
怜はケロッとそう応えた。
「……怜、今日、楽しかったか?」
「うん。すごく楽しかったよ」
「あの先輩たちと、仲良くできそうか?」
「うん。みんな良い人たち。好きだよ」
「そっか。良かった」
トン、と肩に怜の頭がもたれかかる。
「朱鷺は、今日楽しかった?」
「おう。楽しかった」
「バーベキュー美味しかった?」
「おう。美味かった」
「また僕とバーベキューしてくれる?」
「……」
不意に涙ぐんでしまい、声が出なかった。
俺は唾を呑み込んで、なんとか答えた。
「またしよう。今年でも、来年でも。お前がしたいときに、いつでも」
「毎年したいな。このメンバーで」
「……うん、しよう」
今日、僕のうちに泊まりに来ない? と怜が小さな声で言った。そして俺の手を握り、指に付けている指輪をなぞった。
ここで怜をたくさん鳴かせて、アルファとしての自尊心を回復させたい。そんなちっちゃくてつまらねえアルファの感情のまま、今、怜は激しく奥を突かれている。
「んっ……んんっ、もっ、朱鷺っ……はげしっ……!」
「……、っ、~~っ、」
クソッ。意気込んで挿入したはいいものの、相変わらず怜の中が気持ち良すぎて、声を抑えるので必死になる。忘れていたが、普段のセックスでも基本的に俺の方が喘ぎ声がうるさいんだった……。これ、墓穴掘ったか?
それに、怜はいつものように控えめな声しか上げない。
俺はきゅっと閉じている怜の口に指を押し込み、無理矢理口を開かせた。
「あっ!?」
「だからいつも言ってんだろ。我慢すんなって」
「だっ、だってっ、恥ずかしっ……」
ダン、と一気に奥まで押し込むと、怜が言葉の途中で固まった。中でイッている。
「あ……あぁ……あっ……」
俺はまた腰を揺らし、手で怜の乳首とちんこを弄ぶ。
「あっ! やめて朱鷺っ、あっ、もっ、同時に触らないでっ、みっともない声出ちゃうっ、あぁっ、あっ」
「みっともなくねえって。可愛い」
「ふぅぅっ……、はっ、あぁぁっ!」
「っ、……も、限界」
「ふぁっ!!」
怜の両手首を後ろ手に掴み、本能のままに腰を振る。
理性がぶっ飛びかけていた俺と怜は、もはや声を抑えることも忘れて互いを求め合った。
怜の中にたっぷり精液を流し込んでから、俺は怜のズボンを上げた。しばらくイチャイチャとキスをしてから、俺たちはバーベキューのところに戻った。
どうやら肉を焼くのを中断してくれていたみたいで、俺たちの分の食べ物がたっぷり残っていた。
っていうかたぶん、俺たちの声を肴にしてオナニーをしていたようだ。先輩たちの顔がとろんとしているし、地面になにやら液体が落ちていた。
ナナさんは紅潮させた顔で、自分の濡れた指をぺろりと舐める。
「隠れなくたっていいのにぃ」
「「怜/朱鷺のあんな姿、誰にも見せたくないので」」
俺と怜が同時に答えると、ナナさんがふふんと笑う。
「でも、声は聞かせたいんだ?」
その質問に、俺たちはカッと顔を赤くした。
「どっちも独占欲だね。かわいい~」
マサルさんとダイキさんは、「ごちそうさま」とだけ言って、俺たちに紙皿を渡した。
「運動しておなかすいたでしょ。たくさん食べて」
「多めに肉買ってきたんだ。だからたっぷり食べてくれよ」
先輩たちは俺たちの皿にどんどん肉を載せていく。俺たちは皿が溢れないようにバクバク食べた。
「怜、美味いか?」
「うん、美味しい!」
「怜、楽しいか?」
「うん、楽しい」
「よかった」
そんな俺たちを目尻を下げて眺める先輩たちは、まるで弟を見ている時のような、もしくはペットを愛でているような……いや、自分たちでは手の届かない存在を崇めているような……そんな、優しくて切ない目をしていた。
バーベキューを終えたあと、俺たちは手持ち花火をして遊んだ。
そのとき、ナナさんが怜に話しかけた。
「ねえねえ、怜くん。どうやって朱鷺くんを落としたの?」
「え」
怜の隣にいた俺は、もぞもぞと体を揺らした。これは、他人のふりをしていたい話題だ。
「えっと……。よく分からないです」
「えー?」
「気付いたらこうなってました」
「そんなことあるう!?」
「僕も驚いてるんですが……。はい」
ナナさんはちらちらと俺に目をやったあと、また怜に視線を戻す。
「どっちから好きになったの?」
「えーっと、たぶん、同じタイミングくらいじゃないかな……」
ナナさんはニヤァといやらしい笑みを浮かべ、怜に尋ねた。
「朱鷺くん、相当怜くんに惚れこんじゃってるいたいなんだけど、怜くんもそのくらい朱鷺くんのこと好きなの?」
「まあ、はい。たぶんそうなんじゃないかと。もしかしたら僕の方が入れ込んでるかもしれませんね」
サラッとそんなことを言ってのける怜に、俺は勃起したし、ナナさんも「んまあ♡」ととろけそうな声を出した。
「朱鷺くんのどこがそんなにいいの? 顔? アルファ性?」
「その二つはどちらかというと嫌いです。僕以外を誘惑するためにしか存在していないので。むかつく」
ブッとナナさんが噴き出した。
「じゃあ、どこが好きなの?」
「……」
そこで答えられないのかよ! 答えてくれよ、俺も気になる!!
怜はもじ……と体育座りをして、体を丸めた。
「……僕を大切にしてくれるところとか、バカ正直なところとか、あとは、ちょっと頭がおかしいところとか……とにかく、朱鷺の全部が好きです」
キャーッとナナさんが歓声を上げたと同時に、俺は怜を押し倒した。
「と、朱鷺……?」
「お前なあ……よく俺の目の前でそんなことが言えるな!?」
「あ、ごめん……。ああは言ったけど、朱鷺の顔もアルファ性も好きだよ? ヤキモチを妬くことがめんどくさいだけで……」
「そっちじゃねえしその返答も殺傷能力高いんだよバカ!!」
バッキバキになったちんこを怜の太ももに押し付けると、怜が「ひっ……」とか細い声を上げた。
ラットになりかけている俺の肩を、ナナさんがとんとんと叩いた。
「それで、朱鷺くんは怜くんのどこが好きなのぉ?」
俺はナナさんをキッと睨み、叫んだ。
「こういうところです!!」
「うんうん、納得~」
「ちょっと俺怜とセックスしたいんですけどここでしていいですかねえ」
ナナさんは呆れた様子で俺を見た。
「さっきもしてたじゃない。行く前にもしてたし。ちょっとくらい我慢しなさいよ」
「こいつが悪いんですよ。いっつもいっつも俺を煽ることばっか言うんです」
「まあ、そうでしょうけど……。怜くん、花火とセックスどっちがしたい?」
そう聞かれた怜は、即答で「花火」と答えた。
「ほら朱鷺くん。セックスはいつでもできるんだから、今は花火を楽しみなさい? 次いつ怜くんと花火できるか分からないんだよ?」
「……」
俺はしぶしぶ怜から離れ、花火に火を点けた。
ナナさんがいなくなり、怜と二人で花火を眺める静かな時間が訪れた。
俺は瞳に火花を映し、ぼそっと呟く。
「ごめんな」
「え?」
「今日、普通にみんなと遊ぶつもりしかなかったんだけど……。みんなの前で挿れちまったし、さっきだって……」
「ああ、しかたないよ。僕、今日フリスク飲んでないし。むしろさっきよく我慢できたなって感心してたんだ」
怜はケロッとそう応えた。
「……怜、今日、楽しかったか?」
「うん。すごく楽しかったよ」
「あの先輩たちと、仲良くできそうか?」
「うん。みんな良い人たち。好きだよ」
「そっか。良かった」
トン、と肩に怜の頭がもたれかかる。
「朱鷺は、今日楽しかった?」
「おう。楽しかった」
「バーベキュー美味しかった?」
「おう。美味かった」
「また僕とバーベキューしてくれる?」
「……」
不意に涙ぐんでしまい、声が出なかった。
俺は唾を呑み込んで、なんとか答えた。
「またしよう。今年でも、来年でも。お前がしたいときに、いつでも」
「毎年したいな。このメンバーで」
「……うん、しよう」
今日、僕のうちに泊まりに来ない? と怜が小さな声で言った。そして俺の手を握り、指に付けている指輪をなぞった。
応援ありがとうございます!
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