上 下
27 / 62
とうとうアレが来た

【25話】発情期

しおりを挟む
二度寝から目覚めると、昼前になっていた。僕はよろよろと起き上がり服を着る。スルトはもう仕事に行ったのか、ピーターはすでに僕の部屋にいた。

「ピーターおはよ~」

「おはようケイゴ」

「スルトになに話したの?」

「うっ…いや、聞かない方が幸せだと思うぞ…」

「ピーター…」

恨めし気にピーターを睨んだあと、僕たちは食事室へ向かった。隣で歩いているピーターがクンクンと鼻を動かしている。

「どうしたの?」

「いや、気のせいか、ケイゴから甘い香りが」

「え?」

おかしい。ピーターはβだ。僕の匂いなんて分かるはずがない。…ちょっと待って。そもそも今日は朝から様子が変だった。体がいつもより敏感だったし、濡れ方が異常だった…。
僕は顔を真っ青にして部屋に引き返した。驚いたピーターは「どうした?」と不思議そうな顔で僕の後ろをついてくる。

「ピーター、まずい。来たかもしれない」

「来た?なにが?」

「発情期が」

前の世界でいた時、僕は幼少時代から抑制剤をかかさず飲んでいた。だから薬を飲んでいない状態での自分の発情期がどんなものかを知らない。その上、僕は性経験をしてしまった。あっちの世界では有名な話だが、一般的に経験をしていない時より、経験をした後の方が発情期の症状が増す。

βであるピーターにまで匂いが伝わるなんてよっぽどのことだ。そんな話聞いたことがない。

「ケイゴ、顔色が…」

「ピーター。発情期については前に話したね?僕はたぶんひどい状態になると思う。ピークになると理性が働かなくなるだろうから先に伝えておくね。エドガーとスルトが仕事から帰って来たら伝えてほしい」

「分かった」

「発情期をおさめるためにはエドガーに中に出してもらわないといけない。スルトは絶対中に出しちゃいけない」

「スルト様じゃなくてエドガー様に?」

「うん。スルトに出されたら妊娠する可能性があるから。前にも言ったけど、発情期のとき僕は妊娠が可能になってしまう。でもαの精子でしか子供はできない。僕の匂いを嗅いだらスルトは理性を失うと思うけど、中には絶対出させないようにして。で、中に出されても妊娠しないβの精子…エドガーに出してもらえたら、妊娠もしないし発情期もおさまるんだ。お願い」

「分かった」

部屋へ戻り、僕は不安で部屋を歩き回る。ピーターは使用人に食事を僕の部屋に持ってくるよう指示した。食事を持ってきたメイドは、おそらくβだったが、頬を赤らめて物欲しそうな目で僕を見ていた。βにまでこの影響か…本当にまずいな。それにしてもピーターは、甘い香りは察知しているけどメイドのように欲情はしていないようだ。

「ほんと、ピーターが護衛でよかったよ…」

「そう言ってもらえると嬉しいな。しかしさっきのメイド、様子がおかしくなかったか?」

「ああ、僕の匂いにあてられたんだろうね。βなのに…」

◇◇◇
発情期が来たのは午後3時ごろだった。ドクンと体中の血液が急速に駆け巡る感覚に陥る。なにもしていないのに勃起し、おしりからは愛液が溢れ出ている。その時お茶を淹れていた僕は床に倒れこんだ。ピーターが急いで駆け寄る。

「ケイゴ!大丈夫か?!」

「つらい…ピーター…つらい…貞操帯…痛い…外して」

荒い息でそう言うと、ピーターが顔を赤らめた。

「とりあえずベッドへ行こう。立てる?」

「むり…立てない…ピーター…」

ピーターは僕を抱え、ベッドへ移動させた。僕が股間を押さえながら必死に貞操帯を外すようお願いすると、しばらくためらっていたピーターが僕のポケットから鍵を取り出し、震える手で開錠した。

「おろして…貞操帯おろして…」

「ケイゴ…それはだめだ…」

「痛いんだ…お願い…」

「…分かった」

ズボンを脱がせ、貞操帯をおろす。ピーターは体液にまみれた僕の下半身を見て「あ…」とか細い声をあげた。

「はあっ…はあっ…ピーター、ここ、触って…つらいんだ…ここ…出したい…」

「ケイゴ、さすがにそれはだめだって…俺なんかがケイゴを触ったらだめだ」

「お願い…つらい…イキたいんだ…」

僕はピーターの手を握り、僕のそれに触れさせた。ピーターは「くそ…っ」と呟いて、それを刺激した。

「あっ!ああああっっきもちいっピーター!はぁっ…!あっ」

あっという間に僕は射精した。しかしおさまらない。もっと、もっと、と体が疼いている。僕はピーターの顔を両手でつかみ、キスをさせた。興奮してしまっているピーターは半ばやけくそで僕と舌を絡め合わせる。

「ピーター…挿れて…」

「ケイゴ、ダメだって。それは絶対だめだ。いくらケイゴが言ってもだめ」

「ピータァ…」

「そんな可愛い顔をしても僕は絶対しない。絶対」

それは僕に言っているんじゃなくて、自分に言い聞かせているようだった。

「だったら…指を入れて…もう、おかしくなりそうなんだ…」

「指だけだぞ…」

ピーターが慣れない手つきでおそるおそる僕の中に指を差し込む。欲しかった快感に僕は声を押さえられなかった。

「あああああっ!んっ…ああっ、ピーター、もっと…こっちも…こっちも触って…キスも…」

「くそっわがままだなぁっ…」

挿れること以外、僕がしてと言ったことをピーターは全てしてくれた。それは夜になっても続いた。抑制剤を飲んでいなければ、発情期は中に射精されるまでおさまらない。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

催眠アプリ(???)

あずき
BL
俺の性癖を詰め込んだバカみたいな小説です() 暖かい目で見てね☆(((殴殴殴

愛され末っ子

西条ネア
BL
本サイトでの感想欄は感想のみでお願いします。全ての感想に返答します。 リクエストはTwitter(@NeaSaijou)にて受付中です。また、小説のストーリーに関するアンケートもTwitterにて行います。 (お知らせは本編で行います。) ******** 上園琉架(うえぞの るか)四男 理斗の双子の弟 虚弱 前髪は後々左に流し始めます。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い赤みたいなのアースアイ 後々髪の毛を肩口くらいまで伸ばしてゆるく結びます。アレルギー多め。その他の設定は各話で出てきます! 上園理斗(うえぞの りと)三男 琉架の双子の兄 琉架が心配 琉架第一&大好き 前髪は後々右に流します。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い緑みたいなアースアイ 髪型はずっと短いままです。 琉架の元気もお母さんのお腹の中で取っちゃった、、、 上園静矢 (うえぞの せいや)長男 普通にサラッとイケメン。なんでもできちゃうマン。でも弟(特に琉架)絡むと残念。弟達溺愛。深い青色の瞳。髪の毛の色はご想像にお任せします。 上園竜葵(うえぞの りゅうき)次男 ツンデレみたいな、考えと行動が一致しないマン。でも弟達大好きで奮闘して玉砕する。弟達傷つけられたら、、、 深い青色の瞳。兄貴(静矢)と一個差 ケンカ強い でも勉強できる。料理は壊滅的 上園理玖斗(うえぞの りくと)父 息子達大好き 藍羅(あいら・妻)も愛してる 家族傷つけるやつ許さんマジ 琉架の身体が弱すぎて心配 深い緑の瞳。普通にイケメン 上園藍羅(うえぞの あいら) 母 子供達、夫大好き 母は強し、の具現化版 美人さん 息子達(特に琉架)傷つけるやつ許さんマジ。 てか普通に上園家の皆さんは顔面偏差値馬鹿高いです。 (特に琉架)の部分は家族の中で順列ができているわけではなく、特に琉架になる場面が多いという意味です。 琉架の従者 遼(はる)琉架の10歳上 理斗の従者 蘭(らん)理斗の10歳上 その他の従者は後々出します。 虚弱体質な末っ子・琉架が家族からの寵愛、溺愛を受ける物語です。 前半、BL要素少なめです。 この作品は作者の前作と違い毎日更新(予定)です。 できないな、と悟ったらこの文は消します。 ※琉架はある一定の時期から体の成長(精神も若干)がなくなる設定です。詳しくはその時に補足します。 皆様にとって最高の作品になりますように。 ※作者の近況状況欄は要チェックです! 西条ネア

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました

SEKISUI
BL
 ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた  見た目は勝ち組  中身は社畜  斜めな思考の持ち主  なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う  そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される    

俺の義兄弟が凄いんだが

kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・ 初投稿です。感想などお待ちしています。

普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。

かーにゅ
BL
「君は死にました」 「…はい?」 「死にました。テンプレのトラックばーんで死にました」 「…てんぷれ」 「てことで転生させます」 「どこも『てことで』じゃないと思います。…誰ですか」 BLは軽い…と思います。というかあんまりわかんないので年齢制限のどこまで攻めるか…。

普通の男の子がヤンデレや変態に愛されるだけの短編集、はじめました。

山田ハメ太郎
BL
タイトル通りです。 お話ごとに章分けしており、ひとつの章が大体1万文字以下のショート詰め合わせです。 サクッと読めますので、お好きなお話からどうぞ。

処理中です...