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一年:二学期期末考査~二学期最終日

第十六話

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 日曜日。待ち合わせの駅前に出た瞬間に凪を見つけた。
 あいつ顔とスタイル良すぎてめちゃくちゃ目立つな……。
 私服だと大人っぽく見える。あとやっぱりクソおしゃれな服装していやがるぜ。
 あーよかった。俺もちゃんとした服用意しといて。

「凪」

 顔を上げた凪が、俺を見てぽかんと口を開けた。

「……」
「……」

 え。なに。もしかしてこの服似合ってない? いやそりゃそうだろう。こんな陰キャが服だけおしゃれにしたらちぐはぐすぎて滑稽だよな……。あー、穴あきスウェットにしときゃよかった……。

「……」
「……」
「あー、もう。ごめんって!」

 あんまり凪が俺を凝視するから、耐えられなくなって謝った。

「えっ。なんで謝るんだ?」
「似合ってないって言いたいんだろ! 自分でも分かってるから!」
「いや……違う。似合ってる……」
「無理に言わなくていいって」
「いやほんとに……。めちゃくちゃ良いよ……。びっくりして、俺……」
「……」

 なぜか凪の顔が赤い。

「理玖、こんな服持ってたっけ……?」
「いや、私服持ってなかったから買った」
「え……? いつ……?」
「昨日」
「なんで……?」
「お前と博物館行くから」

 こんなおしゃれなヤツと穴あきスウェットが並んで歩いていたら、地球に迷惑がかかるからな。

「お、俺のために、わざわざ服買ってくれたの……?」
「お前のためっていうか、地球のため?」
「高かったんじゃないの、それ?」
「服の相場が分からん。店員さんに高いのやめてってお願いはしたけど」
「そのブランド高いとこだよ」
「えっ。マジ?」
「うん。何も知らずに入ったんだ?」
「おう……」
「センスいいよ、理玖。俺そこのブランド好きなんだ。今着てる服も同じブランドのやつ」

 よかった。凪のお気に召したようだ。

「理玖、髪型はいつものままなんだ?」
「顔出したくないし。そもそもセットのしかたが分からん」
「逆に雰囲気出てていいよ」
「そうかあ?」

 こいつはなんでも良い方向に考えるな。感心する。

「あれ? そういえば……なんか理玖、いつもより目線高くない?」
「はっ。いつもこんくらいだよ」
「そうだっけ……?」
「ほら、行くぞ」

 休日の博物館は、思っていたより人が多かった。なんだ。博物館行くヤツなんてそうそういないと思っていたのに、案外いっぱいいるんじゃん。
 いつもは人ごみが嫌いだが、同志がこんなにいることを知れてちょっと嬉しかった。

 夢中になって鑑賞していたせいで、途中から凪の存在をすっかり忘れていた。ときたま我に返ってあたりを見回すと、凪はちゃんと俺の隣にいた。
 じっと展示物を眺めている瞳がきらきらしている。よかった。こいつもこういうのに興味あるんだ。

「楽しかったー!」

 博物館を出た凪が、満足そうな声をあげた。
 俺も満足だ。とても有意義な時間だった。しあわせだ……。

 それからファミレスでメシを食べて(凪と外食したの、はじめてだ)、待ち合わせ場所だった駅に戻って来た。

「今日はありがとな。楽しかった」
「うん! 俺も楽しかったー! またどっか行こうな!」
「……うん。でも疲れるから月に一回くらいにして」
「はは! りょうかーい!」
「じゃあな。気を付けて帰れよ」
「え?」
「ん?」

 凪が首を傾げ、「なに言ってんの?」って表情をした。

「理玖んち泊まるつもりなんだけど」
「え? そうなの?」

 解散する気満々だったわ。

「うん。だから一緒に帰るんだよ」
「そ、そうなのか」


 ◇◇◇


 玄関のドアを閉めた瞬間、凪に肩を掴まれた。

「んっ……!」

 背中を壁に押し付けられ、がっつくようなキスをされる。

「ちょっ……、急になんだよっ……」
「ずっと我慢してたから」
「んんっ……ん……っ」

 凪の手が服の中に入ってくる。腰を撫でまわされて変な気分になってきた。

「ん!?」

 こいつ……! また首に吸い付きやがった!! 前に付けられたキスマーク、やっと薄くなってきていたのに!!

「おいっ……、落ち着けって……!」

 俺の声で少し正気に戻ったのか、あちこちに吸い付きまくっていた凪が静止した。

「はっ……はっ……理玖……っ」
「……っ」

 凪は俺を潰れそうなほど強く抱きしめた。腹に凪のバキバキちんこの感触がする。なんでもうそんな勃ってんだよお前……。

「わっ……」

 凪は俺の腕を掴み、ずかずかと家の中に入った。そして俺をベッドに放り投げ、馬乗りになった。

「んっ……も、なんなんだよっ……」

 凪は無言で俺のプルオーバーを捲り上げ、乳首に吸い付いた。

「お、おいっ……、そういうの、シャワー浴びてからにしろっ……!」
「無理。今がいい」
「汗かいてるから……っ、汚いって……!」
「全然」
「んんん……っ」

 凪の舌が乳首から離れ、腹を這い、へそを通り――

「……理玖、俺が好きなこと、してあげようか」

 ベルトを外され、パンツを下ろされる。情けないことに俺は、キスと乳首だけでフル勃起してしまっていた。

「好きなこと……?」
「うん」

 凪は「へへ」と笑ってから、俺の裏筋に舌を這わせた。

「ふぁっ!?」

 こ、こいつ、まさか、フェ、フェ、フェラ……!?

「おー、良い反応」
「お、おまっ、おまっ」

 ちょっと待て待て待て待て。何してんだこいつ。何してんだこいつ!!

「んんんっ!?」

 ちろちろ舌先で舐めていたかと思えば、今度はぐっぽりと咥え込んだ。

「おまっ、おま、おまっ、ほんとっ、なにっ、なにしてっ」
「俺好きなんだよね、フェラされんの」

 好きなんだったら普通俺にさせねえ!? なんで俺にしてんの!?

「んっ……あ……っ」

 ……やべえ。フェラやべえ。気持ち良すぎる。ちんこも気持ちいいけど、なんか、それ以上に……。
 凪が俺のちんこしゃぶってる。あの凪が。何もかもが俺に勝っている凪が。
 四つん這いになって、俺のきたねえとこ咥えている。
 なんだこの、征服感。

「はは。理玖の顔、やば」
「んん……」
「いいだろ、フェラされんの」
「……うん」
「よかった」
「……シャワー浴びたい」
「これ終わってからな」
「それじゃ意味ない……」

 フェラされていることに興奮しすぎて、俺はすぐに射精した。
 俺って変態なのかな。精子の不味さにえずいて、慌てて吐き出した凪にちょっとゾクゾクした。
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