【完結】【R18BL】学年二位は、学年一位の命令を聞く

ちゃっぷす

文字の大きさ
上 下
13 / 72
一年:二学期期末考査~二学期最終日

第九話

しおりを挟む
 凪がシャワーを浴びている間に、いつもの毛布をソファにかけておいた。

「え? 今日は俺もベッドで寝るよ」

 しかし、凪はそう言い放った。

「はい? あ、じゃあ俺はソファで……」
「二人で寝るんだよ」
「……」

 なんで野郎と二人でベッドに潜らなきゃいけないんだよ。
 俺のケツ、本当に大丈夫か?

 俺はケツを押さえながら、のろのろとベッドに入った。できるだけ凪と距離を取るために、壁に額を押し付けるほど端に寄る。
 かさかさと布団が動く。凪がベッドに入ってきた。

 せっかく端に寄ったのに、凪はわざわざ俺にくっついてきた。

「ひぅっ……」
「そんなビビらないでいいじゃん」
「ビビるに決まってんだろ……」
「……理玖、こっち向いて」
「……」
「俺に尻向けてていいの?」
「ひっ……」

 本当だ。なぜ俺はケツを狙っているヤツに、わざわざケツを向けているんだバカか。
 慌てて寝返りを打った俺を、凪は抱きしめた。

「……」

 誤解せずに聞いてほしい。決して、俺は決して、男に興味はない。
 だが、それなのに……
 凪の腕に包まれることが、そんなに嫌だと思わなかった。

「理玖……顔上げて」
「……」

 たぶん、キスされる。
 これも誤解せずに聞いてほしいんだが、キスは嫌いじゃない。
 だから素直に顔を上げてしまった。

 凪は俺の前髪をかき上げ、俺の顔を見つめた。

「……俺の顔、そんな好き?」
「うん、好き」
「……だから抱きたいと思ったのか?」
「……」
「俺の顔が、女みたいだから」

 凪は首を傾げた。

「俺が理玖の顔が好きなのと、理玖の顔が女の子みたいなのって、なんか関係ある?」
「そりゃあるんじゃね……?」
「確かに理玖の顔は女の子みたいだけど、だから好きってわけじゃない」
「そうかあ?」
「それに顔が好きだから抱きたいっていうのも、なんかちょっと……違う」
「へー?」

 凪自身、なぜ俺を抱きたいと思ったのかはっきり分かっていないようだった。

「ふと、抱きたいと思ったんだ」
「……お前は思い付きでしか行動しないのか」
「うん。したいことしかしないし、したいことは全部する」
「天上天下唯我独尊野郎……」
「はは。俺ってブッダだったの? すげーじゃん」
「ちげーわ。そんな良い意味で言ったんじゃねえよ」

 凪の顔が近づいてくる。もうこいつにキスされんのにも慣れてきた。自分から口を開くくらいには、こいつのキスを受け入れてしまっている。

「ん……んん……」
「はは。相変わらず息すんの下手」
「うるせえ……。昨日初キッスしたばっかのヤツにケチつけんじゃねえよ……」
「あ、そっか……。俺、理玖のはじめての人なんだ」
「え、なにその言い方。キモ」
「理玖のはじめて、いろいろもらお」
「え、キモ」

 キスしながら、凪が俺の腰に腕を回した。やらしい手つきで腰を撫で、そのままさりげなく服の中に手を差し込む。

「っ……」

 背骨をなぞられ、ぞわぞわした。凪の手は肩甲骨くらいまでなぞったあと、すっと腋の下を通り過ぎる。

「んっ……!」

 乳首をつつかれ、俺の体がビクついた。

「はは。ちっちぇー乳首」

 と、凪はとろんとした声で呟いた。

「女の乳首と比べんな……。ってか触んなそんなとこ……」
「乳首触られんのはじめて?」
「......当たり前だろ」

 本当のことを言えばはじめてではないが、誤解が生まれそうだったので嘘をついた。

「そっかー」
「っ……」

 スウェットを胸元まで捲り上げられた。
 凪は俺の胸に顔を近づけ、いじりまわしている乳首を凝視する。

「不思議だな。なんでだろう。男の胸なのに……」
「……?」

 なにやらボソボソ呟いてから、凪が乳首に吸い付いた。

「!?」

 ちぅ、ちぅ、と、クラスメイトが甘えた顔で男の乳首に吸い付いている。なんだこの光景は……。世界がひっくり返るぞ……。

「お、おい。何して……」
「……」
「おい……、しつこいって……、もうやめ……」
「……」

 ダメだ。集中モードに入っているのか俺の声が届いていない。なんで乳首吸うことに全集中力使ってんだこいつは。才能の無駄遣いやめろ。

「っ……、……っ、っ、……」

 くそ。マジでしつこい。
 しかも乳首に吸い付くだけじゃなくて、もう片方の乳首を執拗に指で弄られている。
 そのせいで、なんか俺、なんか……

「……んっ……」

 クソッ。変な声出ちまっただろうが!!

「……ん?」

 しばらくすると、凪の乳首をいじっていた手がだらんと体から離れた。

「……凪?」
「……すー……すー……」
「は……?」

 こいつまさか、俺の乳首吸ったまま寝落ちした……?

「なにこいつ……」

 こんなでかい赤ちゃん見たことねえ。
 ……でもなんか、乳吸いながら寝ている凪が、ちょっと可愛く思えてしまった。
 乳をいじられすぎて母性でも芽生えてしまったのだろうか、俺は。
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜のたまにシリアス ・話の流れが遅い

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました

ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載

処理中です...