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一年:二学期期末考査~二学期最終日
第九話
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凪がシャワーを浴びている間に、いつもの毛布をソファにかけておいた。
「え? 今日は俺もベッドで寝るよ」
しかし、凪はそう言い放った。
「はい? あ、じゃあ俺はソファで……」
「二人で寝るんだよ」
「……」
なんで野郎と二人でベッドに潜らなきゃいけないんだよ。
俺のケツ、本当に大丈夫か?
俺はケツを押さえながら、のろのろとベッドに入った。できるだけ凪と距離を取るために、壁に額を押し付けるほど端に寄る。
かさかさと布団が動く。凪がベッドに入ってきた。
せっかく端に寄ったのに、凪はわざわざ俺にくっついてきた。
「ひぅっ……」
「そんなビビらないでいいじゃん」
「ビビるに決まってんだろ……」
「……理玖、こっち向いて」
「……」
「俺に尻向けてていいの?」
「ひっ……」
本当だ。なぜ俺はケツを狙っているヤツに、わざわざケツを向けているんだバカか。
慌てて寝返りを打った俺を、凪は抱きしめた。
「……」
誤解せずに聞いてほしい。決して、俺は決して、男に興味はない。
だが、それなのに……
凪の腕に包まれることが、そんなに嫌だと思わなかった。
「理玖……顔上げて」
「……」
たぶん、キスされる。
これも誤解せずに聞いてほしいんだが、キスは嫌いじゃない。
だから素直に顔を上げてしまった。
凪は俺の前髪をかき上げ、俺の顔を見つめた。
「……俺の顔、そんな好き?」
「うん、好き」
「……だから抱きたいと思ったのか?」
「……」
「俺の顔が、女みたいだから」
凪は首を傾げた。
「俺が理玖の顔が好きなのと、理玖の顔が女の子みたいなのって、なんか関係ある?」
「そりゃあるんじゃね……?」
「確かに理玖の顔は女の子みたいだけど、だから好きってわけじゃない」
「そうかあ?」
「それに顔が好きだから抱きたいっていうのも、なんかちょっと……違う」
「へー?」
凪自身、なぜ俺を抱きたいと思ったのかはっきり分かっていないようだった。
「ふと、抱きたいと思ったんだ」
「……お前は思い付きでしか行動しないのか」
「うん。したいことしかしないし、したいことは全部する」
「天上天下唯我独尊野郎……」
「はは。俺ってブッダだったの? すげーじゃん」
「ちげーわ。そんな良い意味で言ったんじゃねえよ」
凪の顔が近づいてくる。もうこいつにキスされんのにも慣れてきた。自分から口を開くくらいには、こいつのキスを受け入れてしまっている。
「ん……んん……」
「はは。相変わらず息すんの下手」
「うるせえ……。昨日初キッスしたばっかのヤツにケチつけんじゃねえよ……」
「あ、そっか……。俺、理玖のはじめての人なんだ」
「え、なにその言い方。キモ」
「理玖のはじめて、いろいろもらお」
「え、キモ」
キスしながら、凪が俺の腰に腕を回した。やらしい手つきで腰を撫で、そのままさりげなく服の中に手を差し込む。
「っ……」
背骨をなぞられ、ぞわぞわした。凪の手は肩甲骨くらいまでなぞったあと、すっと腋の下を通り過ぎる。
「んっ……!」
乳首をつつかれ、俺の体がビクついた。
「はは。ちっちぇー乳首」
と、凪はとろんとした声で呟いた。
「女の乳首と比べんな……。ってか触んなそんなとこ……」
「乳首触られんのはじめて?」
「......当たり前だろ」
本当のことを言えばはじめてではないが、誤解が生まれそうだったので嘘をついた。
「そっかー」
「っ……」
スウェットを胸元まで捲り上げられた。
凪は俺の胸に顔を近づけ、いじりまわしている乳首を凝視する。
「不思議だな。なんでだろう。男の胸なのに……」
「……?」
なにやらボソボソ呟いてから、凪が乳首に吸い付いた。
「!?」
ちぅ、ちぅ、と、クラスメイトが甘えた顔で男の乳首に吸い付いている。なんだこの光景は……。世界がひっくり返るぞ……。
「お、おい。何して……」
「……」
「おい……、しつこいって……、もうやめ……」
「……」
ダメだ。集中モードに入っているのか俺の声が届いていない。なんで乳首吸うことに全集中力使ってんだこいつは。才能の無駄遣いやめろ。
「っ……、……っ、っ、……」
くそ。マジでしつこい。
しかも乳首に吸い付くだけじゃなくて、もう片方の乳首を執拗に指で弄られている。
そのせいで、なんか俺、なんか……
「……んっ……」
クソッ。変な声出ちまっただろうが!!
「……ん?」
しばらくすると、凪の乳首をいじっていた手がだらんと体から離れた。
「……凪?」
「……すー……すー……」
「は……?」
こいつまさか、俺の乳首吸ったまま寝落ちした……?
「なにこいつ……」
こんなでかい赤ちゃん見たことねえ。
……でもなんか、乳吸いながら寝ている凪が、ちょっと可愛く思えてしまった。
乳をいじられすぎて母性でも芽生えてしまったのだろうか、俺は。
「え? 今日は俺もベッドで寝るよ」
しかし、凪はそう言い放った。
「はい? あ、じゃあ俺はソファで……」
「二人で寝るんだよ」
「……」
なんで野郎と二人でベッドに潜らなきゃいけないんだよ。
俺のケツ、本当に大丈夫か?
俺はケツを押さえながら、のろのろとベッドに入った。できるだけ凪と距離を取るために、壁に額を押し付けるほど端に寄る。
かさかさと布団が動く。凪がベッドに入ってきた。
せっかく端に寄ったのに、凪はわざわざ俺にくっついてきた。
「ひぅっ……」
「そんなビビらないでいいじゃん」
「ビビるに決まってんだろ……」
「……理玖、こっち向いて」
「……」
「俺に尻向けてていいの?」
「ひっ……」
本当だ。なぜ俺はケツを狙っているヤツに、わざわざケツを向けているんだバカか。
慌てて寝返りを打った俺を、凪は抱きしめた。
「……」
誤解せずに聞いてほしい。決して、俺は決して、男に興味はない。
だが、それなのに……
凪の腕に包まれることが、そんなに嫌だと思わなかった。
「理玖……顔上げて」
「……」
たぶん、キスされる。
これも誤解せずに聞いてほしいんだが、キスは嫌いじゃない。
だから素直に顔を上げてしまった。
凪は俺の前髪をかき上げ、俺の顔を見つめた。
「……俺の顔、そんな好き?」
「うん、好き」
「……だから抱きたいと思ったのか?」
「……」
「俺の顔が、女みたいだから」
凪は首を傾げた。
「俺が理玖の顔が好きなのと、理玖の顔が女の子みたいなのって、なんか関係ある?」
「そりゃあるんじゃね……?」
「確かに理玖の顔は女の子みたいだけど、だから好きってわけじゃない」
「そうかあ?」
「それに顔が好きだから抱きたいっていうのも、なんかちょっと……違う」
「へー?」
凪自身、なぜ俺を抱きたいと思ったのかはっきり分かっていないようだった。
「ふと、抱きたいと思ったんだ」
「……お前は思い付きでしか行動しないのか」
「うん。したいことしかしないし、したいことは全部する」
「天上天下唯我独尊野郎……」
「はは。俺ってブッダだったの? すげーじゃん」
「ちげーわ。そんな良い意味で言ったんじゃねえよ」
凪の顔が近づいてくる。もうこいつにキスされんのにも慣れてきた。自分から口を開くくらいには、こいつのキスを受け入れてしまっている。
「ん……んん……」
「はは。相変わらず息すんの下手」
「うるせえ……。昨日初キッスしたばっかのヤツにケチつけんじゃねえよ……」
「あ、そっか……。俺、理玖のはじめての人なんだ」
「え、なにその言い方。キモ」
「理玖のはじめて、いろいろもらお」
「え、キモ」
キスしながら、凪が俺の腰に腕を回した。やらしい手つきで腰を撫で、そのままさりげなく服の中に手を差し込む。
「っ……」
背骨をなぞられ、ぞわぞわした。凪の手は肩甲骨くらいまでなぞったあと、すっと腋の下を通り過ぎる。
「んっ……!」
乳首をつつかれ、俺の体がビクついた。
「はは。ちっちぇー乳首」
と、凪はとろんとした声で呟いた。
「女の乳首と比べんな……。ってか触んなそんなとこ……」
「乳首触られんのはじめて?」
「......当たり前だろ」
本当のことを言えばはじめてではないが、誤解が生まれそうだったので嘘をついた。
「そっかー」
「っ……」
スウェットを胸元まで捲り上げられた。
凪は俺の胸に顔を近づけ、いじりまわしている乳首を凝視する。
「不思議だな。なんでだろう。男の胸なのに……」
「……?」
なにやらボソボソ呟いてから、凪が乳首に吸い付いた。
「!?」
ちぅ、ちぅ、と、クラスメイトが甘えた顔で男の乳首に吸い付いている。なんだこの光景は……。世界がひっくり返るぞ……。
「お、おい。何して……」
「……」
「おい……、しつこいって……、もうやめ……」
「……」
ダメだ。集中モードに入っているのか俺の声が届いていない。なんで乳首吸うことに全集中力使ってんだこいつは。才能の無駄遣いやめろ。
「っ……、……っ、っ、……」
くそ。マジでしつこい。
しかも乳首に吸い付くだけじゃなくて、もう片方の乳首を執拗に指で弄られている。
そのせいで、なんか俺、なんか……
「……んっ……」
クソッ。変な声出ちまっただろうが!!
「……ん?」
しばらくすると、凪の乳首をいじっていた手がだらんと体から離れた。
「……凪?」
「……すー……すー……」
「は……?」
こいつまさか、俺の乳首吸ったまま寝落ちした……?
「なにこいつ……」
こんなでかい赤ちゃん見たことねえ。
……でもなんか、乳吸いながら寝ている凪が、ちょっと可愛く思えてしまった。
乳をいじられすぎて母性でも芽生えてしまったのだろうか、俺は。
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