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第四章
最終話
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◇◇◇
あれから三年の月日が経った。
俺と大地は社会人になったタイミングで前よりも広いところに引っ越しをした。今暮らしているところには、キッチン、ダイニング、リビング、俺の部屋と大地の部屋に加え、クソデカダブルベッドがある寝室――通称ヤリ部屋がある。
三年経っても、当然のことながら大地の俺への愛情が薄れることはない。そして俺は、年々大地への愛情が増しているから困ったもんだ。
この三年間、ケツがガバガバになるんじゃねえってくらい大地に盛られてきたせいか、今の俺は、女性だけでなく男性にまでモテるようになってしまった。そんなに俺からメス臭が漂っているのだろうか。辛い。
今までで何度か男に襲われそうになったことがあるが、挿入される前に大地が助けに来てくれて事なきを得た。
なぜ大地が助けに来られたかというと――
俺にGPSと盗聴器をしかけているからだ。
あいつはもう、俺へのヤベエ愛情を隠そうとしない。
ちなみに、あいつのヤベエところはGPSと盗聴器だけじゃない。あいつの個室には、俺の写真とか髪とか精液とかが所狭しと飾られている。一度だけ部屋に入ってしまったことがあるが、それからは一切入らないようにしている。心臓に悪いからな。
当の大地は幸せそうだ。今まで必死に隠していた俺への愛情を、こうしてやりたい放題曝け出せるようになったんだから。
……まあ、大地がそれで幸せなら、俺は何も言うまい。
大学を卒業した俺たちは、違う会社で勤めている。大地は俺と同じ会社で働きたかったようだが、俺がそれを許さなかった。あいつは天才だ。俺に合わせて普通の会社で普通のサラリーマンをさせるにはもったいない。
「ただいまー」
「おかえり、爽」
俺が会社から帰ると、大地は晩ごはんを用意して待ってくれている。こいつのメシは何年食べてもウマイ。
そして晩ごはんを食べ、皿を洗い終えると、ソファでテレビを観ている俺に大地がすり寄ってくる。
「爽」
「ん……」
セックスの始まりは、いつも優しいキスからだ。愛おしくて仕方がないとでも言いたげに、大地の手が俺の頬をなぞり、背中に回る。
抱きしめられると、大地の体温と汗ばんだ体に俺のちんこがちょっと勃つ。いや、キスされた時点で勃っているけど。
俺は冗談まじりに言った。
「なんだ? 特訓すんのか?」
すると大地はクスッと笑う。
「お前に特訓なんかもう必要ねえだろ。俺としかしねえんだから」
これはいつものお決まりのやりとりだ。
「特訓じゃなくて、俺とセックスしようぜ、爽」
「お前、毎日毎日飽きねえのな」
「飽きるわけないだろ。お前のことが好きで好きで仕方ねえんだから。本当は死ぬまでずっとお前のケツにちんこ突っ込んどきたいくらいだ」
お前が言うと冗談に聞こえねえよ。
俺にとってはこれからずっと一緒に大地といられる時間がたっぷりあるように思えるが、大地にとっては、俺といられる数十年しかない人生が短いらしい。
「爽、ベッド行こう」
「ん」
ベッドの上で、俺は毎晩こいつに体中を舐められる。快感を覚えさせるためでも、俺にマーキングするためでもない、ただただ好きだから触れていたいという純粋な気持ちを載せた舌で。
ケツを舐めていた大地が、何かを思い出したのか舌打ちする。
「ん……っ、どうした、大地……?」
「いや、お前のケツを掘ろうとしたアイツ、今ものうのうと生きてんのかなと思って」
「ああ……課長な……。生きてるよ、かろうじて」
俺は先日、取引先の課長に目をつけられてケツを掘られそうになった。睡眠薬を盛られて眠らされ、その間で手首を縛られてだな。目が覚めた時には、課長が俺のケツに吸い付いていた。びっくりしたよ、マジで。
悲しいことに大地に開発されまくった体は、きったねえおっさんの指でも悦んじまってよう……。それで課長はきもいくらい興奮して、きったねえちんこをケツに突っ込みかけた。
間一髪、盗聴器で危険を察した大地が駆けつけてくれたおかげで、課長のちんこは先っぽまでしか入っていなかった。
そっから大地は課長のちんこを蹴り上げて、殴りかかろうとしたけど、俺が止めた。
その代わり、会社と警察に報告してちゃんと対処はしてもらったけど。
まあ、そんな感じのことがこの三年で何回か起きているから、大地は気が気じゃないようだ。
「お前は顔が綺麗だし、性格も良いし、スタイルもスラッとしているし、ちんこも小さくて可愛いし、ケツなんか最高に気持ちいいし、何より全身が性感帯だからな……全人類がお前に盛ってもおかしくねえんだよ……気が気じゃねえんだよ、俺ぇ……早く仕事辞めろよ……」
「そうだなあ。お前が養ってくれるなら、辞めてもいいぞ」
「本当か! じゃあ俺頑張って一人前になるからな。お前に裕福な暮らしさせてやるくらい頑張るから、そうなったらお前は一歩も外に出るなよ」
「え……それは無理」
「なんでだよ!」
「軟禁じゃねえか、そんなの!!」
大地はハァァァ……とため息を吐き、俺にゆっくりちんこを差し込む。
「あぁぁぁっ……」
「こんな、挿れただけで毎回射精するようなドスケベな体で外で歩かれるこっちの気持ち、ちょっとは考えろよ?」
「あ……ぁ……っ、あぁ……」
「ほら、挿れられただけでもう頭真っ白になる。ほんでちょっとここ擦るだけで――」
そう言って、大地はちんこで前立腺を押し上げた。
「ぅぁぁっ……、あっ、はっ……あぁぁ……っ」
「ナカイキするし。イッてるときのお前可愛すぎるし。やば。好き」
大地はキスをしたり、耳を舐めたり、とにかく俺の好きなことを絶え間なくしながら腰を動かす。
大地と繋がっている時、俺はちょっと死にたくなる。幸せすぎて、このまま死ねればいいのにって思ってしまう。
いつの間にかなくなっていた、0.02ミリの壁。俺と大地は今、ちゃんと、一番大切なところで繋がっている。
【早漏な俺を遅漏のルームメイトが特訓してくれることになりました。 end】
あれから三年の月日が経った。
俺と大地は社会人になったタイミングで前よりも広いところに引っ越しをした。今暮らしているところには、キッチン、ダイニング、リビング、俺の部屋と大地の部屋に加え、クソデカダブルベッドがある寝室――通称ヤリ部屋がある。
三年経っても、当然のことながら大地の俺への愛情が薄れることはない。そして俺は、年々大地への愛情が増しているから困ったもんだ。
この三年間、ケツがガバガバになるんじゃねえってくらい大地に盛られてきたせいか、今の俺は、女性だけでなく男性にまでモテるようになってしまった。そんなに俺からメス臭が漂っているのだろうか。辛い。
今までで何度か男に襲われそうになったことがあるが、挿入される前に大地が助けに来てくれて事なきを得た。
なぜ大地が助けに来られたかというと――
俺にGPSと盗聴器をしかけているからだ。
あいつはもう、俺へのヤベエ愛情を隠そうとしない。
ちなみに、あいつのヤベエところはGPSと盗聴器だけじゃない。あいつの個室には、俺の写真とか髪とか精液とかが所狭しと飾られている。一度だけ部屋に入ってしまったことがあるが、それからは一切入らないようにしている。心臓に悪いからな。
当の大地は幸せそうだ。今まで必死に隠していた俺への愛情を、こうしてやりたい放題曝け出せるようになったんだから。
……まあ、大地がそれで幸せなら、俺は何も言うまい。
大学を卒業した俺たちは、違う会社で勤めている。大地は俺と同じ会社で働きたかったようだが、俺がそれを許さなかった。あいつは天才だ。俺に合わせて普通の会社で普通のサラリーマンをさせるにはもったいない。
「ただいまー」
「おかえり、爽」
俺が会社から帰ると、大地は晩ごはんを用意して待ってくれている。こいつのメシは何年食べてもウマイ。
そして晩ごはんを食べ、皿を洗い終えると、ソファでテレビを観ている俺に大地がすり寄ってくる。
「爽」
「ん……」
セックスの始まりは、いつも優しいキスからだ。愛おしくて仕方がないとでも言いたげに、大地の手が俺の頬をなぞり、背中に回る。
抱きしめられると、大地の体温と汗ばんだ体に俺のちんこがちょっと勃つ。いや、キスされた時点で勃っているけど。
俺は冗談まじりに言った。
「なんだ? 特訓すんのか?」
すると大地はクスッと笑う。
「お前に特訓なんかもう必要ねえだろ。俺としかしねえんだから」
これはいつものお決まりのやりとりだ。
「特訓じゃなくて、俺とセックスしようぜ、爽」
「お前、毎日毎日飽きねえのな」
「飽きるわけないだろ。お前のことが好きで好きで仕方ねえんだから。本当は死ぬまでずっとお前のケツにちんこ突っ込んどきたいくらいだ」
お前が言うと冗談に聞こえねえよ。
俺にとってはこれからずっと一緒に大地といられる時間がたっぷりあるように思えるが、大地にとっては、俺といられる数十年しかない人生が短いらしい。
「爽、ベッド行こう」
「ん」
ベッドの上で、俺は毎晩こいつに体中を舐められる。快感を覚えさせるためでも、俺にマーキングするためでもない、ただただ好きだから触れていたいという純粋な気持ちを載せた舌で。
ケツを舐めていた大地が、何かを思い出したのか舌打ちする。
「ん……っ、どうした、大地……?」
「いや、お前のケツを掘ろうとしたアイツ、今ものうのうと生きてんのかなと思って」
「ああ……課長な……。生きてるよ、かろうじて」
俺は先日、取引先の課長に目をつけられてケツを掘られそうになった。睡眠薬を盛られて眠らされ、その間で手首を縛られてだな。目が覚めた時には、課長が俺のケツに吸い付いていた。びっくりしたよ、マジで。
悲しいことに大地に開発されまくった体は、きったねえおっさんの指でも悦んじまってよう……。それで課長はきもいくらい興奮して、きったねえちんこをケツに突っ込みかけた。
間一髪、盗聴器で危険を察した大地が駆けつけてくれたおかげで、課長のちんこは先っぽまでしか入っていなかった。
そっから大地は課長のちんこを蹴り上げて、殴りかかろうとしたけど、俺が止めた。
その代わり、会社と警察に報告してちゃんと対処はしてもらったけど。
まあ、そんな感じのことがこの三年で何回か起きているから、大地は気が気じゃないようだ。
「お前は顔が綺麗だし、性格も良いし、スタイルもスラッとしているし、ちんこも小さくて可愛いし、ケツなんか最高に気持ちいいし、何より全身が性感帯だからな……全人類がお前に盛ってもおかしくねえんだよ……気が気じゃねえんだよ、俺ぇ……早く仕事辞めろよ……」
「そうだなあ。お前が養ってくれるなら、辞めてもいいぞ」
「本当か! じゃあ俺頑張って一人前になるからな。お前に裕福な暮らしさせてやるくらい頑張るから、そうなったらお前は一歩も外に出るなよ」
「え……それは無理」
「なんでだよ!」
「軟禁じゃねえか、そんなの!!」
大地はハァァァ……とため息を吐き、俺にゆっくりちんこを差し込む。
「あぁぁぁっ……」
「こんな、挿れただけで毎回射精するようなドスケベな体で外で歩かれるこっちの気持ち、ちょっとは考えろよ?」
「あ……ぁ……っ、あぁ……」
「ほら、挿れられただけでもう頭真っ白になる。ほんでちょっとここ擦るだけで――」
そう言って、大地はちんこで前立腺を押し上げた。
「ぅぁぁっ……、あっ、はっ……あぁぁ……っ」
「ナカイキするし。イッてるときのお前可愛すぎるし。やば。好き」
大地はキスをしたり、耳を舐めたり、とにかく俺の好きなことを絶え間なくしながら腰を動かす。
大地と繋がっている時、俺はちょっと死にたくなる。幸せすぎて、このまま死ねればいいのにって思ってしまう。
いつの間にかなくなっていた、0.02ミリの壁。俺と大地は今、ちゃんと、一番大切なところで繋がっている。
【早漏な俺を遅漏のルームメイトが特訓してくれることになりました。 end】
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