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第二章
最後のセックス
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◇◇◇
「彼女できた」
「……は?」
朝帰りした俺を出迎えた大地に、開口一番そう言った。
大地は虚無の表情で俺を眺め、小さく口を開く。
「……誰?」
「マリカちゃん。お前も知ってるだろ?」
「あー……。お前に気があった子ね」
「そうそう、その子」
「告られたの?」
「うん」
「で、オッケーしたんだ」
「うん」
「その帰りにヤッたのか」
「うん」
「そうか……」
大地は低い声で唸ったかと思えば、顔を上げてニカッと笑った。
「で? どうだった? 早漏の方は!」
そうだよな。気になるのはそこだよな。お前、頑張って特訓してくれてたもんな。
俺も歯を見せて笑い、親指を立てる。
「お前のおかげで五分以上もったぜ!」
「おお~! すげえな爽!! 特訓の成果だな!」
「おう! まじで感謝してるぜ!」
「だはは! ……五分もったらもう早漏とは言えねえなあ。これで特訓も卒業だな」
胸がずくんと痛んだ。そうか。これで特訓も終わりか。
笑え、笑え俺。
「……おう! 今までありがとな、大地!」
やりとりを終えて自分の部屋で大学に行く準備をしていると、ノックの音が聞こえた。返事も待たずに、大地がドアを開ける。
「どうした大地」
「……なあ、爽」
「んー?」
「今まで特訓したお礼、してくれる?」
「あー、お前色々頑張ってくれてたもんな。いいぞ。何がいい? 何でも買ってやるよ。あ、そういやお前良い腕時計欲しいって言ってたよな。それでどう――」
言葉を遮り、大地が俺を抱きしめる。
「爽の今日一日、ちょうだい」
「……」
抱きしめられただけで全身がざわついた。
「最後に、お前のこと抱かせて」
それを俺が拒めるとでも?
答えなんか待たずに大地は俺にキスをする。そのままベッドに押し倒され、二人して互いを求め合った。
「も……っ、舐め回すのやめろよぉ……っ」
執拗に全身に舌を這わせる大地は、いつも以上に必死だった。
頼むから、忘れようとしている快感を刻みつけないでくれ。
昨晩は五分もったちんこも、大地にかかれば以前と変わらず早漏だ。
体中、自分と大地の体液でドロドロになった頃、大地がケツの穴にちんこを当てた。
いつもと違う感覚に、俺は大地を見上げる。
「あれ……? 大地、ゴムは……?」
「……今日だけ、生でさせて」
「……」
「お願い、爽」
なんでお前がそんな顔すんの?
縋りたいのは俺の方なんだぞ。
沈黙を了承と解釈したのか、大地が腰を押し込んだ。
「あっ!? あっ、なっ……あぁぁっ……!?」
0.02ミリの壁は、俺が思っていた以上に分厚かったみたいだ。そのものの大地の感触と熱が俺の中に直接触れる。いつもほんの少し感じるつっぱった感じの異物感はなく、手を繋いでいるように、キスをしているときと同じように、裸で抱き合っているのと同じくらい自然に、俺たちは繋がった。
その感覚があまりに気持ち良すぎて、俺は中にちんこを挿れられただけで射精してしまった。
「あ……、あ、……」
精液を溢れさせる俺のちんこを、大地は呆然と見た。
「……挿れただけでイッた?」
「んん……」
「なんで? そんなに生が気持ち良かった?」
「聞くなぁ……あんま見んなぁ……」
「お前なあ……。可愛すぎるだろ……」
大地は大きくため息を吐き、俺にしがみつきながら激しく腰を動かした。
「あっ……!? ちょっ、だ、だっ……あっ、あぁぁっ!」
「お前、俺とできなくなって大丈夫なのか? なあ、爽」
「だっいじょ……ぶっ、だよぉっ……! んんっ、あっ、も、きもちっ……!」
「はは。全然大丈夫に見えねえ。……あ、イキそ……」
「ふっ!?」
中に熱いものが流し込まれる。大地の精液、俺の中に入ってくる。なんだこの感覚。
「んっ……んん~……っ」
「……? もしかしてお前、中イキしてね?」
「分かんなっ……これ何……っ」
射精していないのに、射精した時以上の快感が俺を襲う。体がビクビクして止まんねえ。これ、なんだよぉ……。
大地はたっぷりキスをしてから、俺の頭を撫でた。
「お前、最後の日に初めてのお前見せるのやめろよ」
「知らねえよ……まじでさっきのなんだったの……やばかったぞ……」
「それがなにか、今日中には分かるだろ」
「は……?」
その日俺たちは大学をサボッた。朝から日付が変わるまで、ちょっと寝て、起きてメシ食って、それ以外の時間はずっと、俺の部屋にこもってヤッていた。
最後だからと、大地は今まで一度もしなかったおねだりをたくさんしてきた。ちんこ舐めろとか、上に乗って腰振れとか、それはもう色々。でも、なんでかそれが嫌じゃなかったから、大地のおねだりを全部聞いてやった。
今日で、こいつとヤルのも最後だしな。お前がしてほしいこと、なんでもやってやるよ。
◆◆◆
爽がうたた寝をしている時、大地は爽を抱きしめながらひっそり涙を流した。
「……俺から離れないでよ、爽……」
そして頭にキスをして、目を瞑る。
「はあ、俺はまた、好きでもない女を抱かなきゃいけないのか……」
「彼女できた」
「……は?」
朝帰りした俺を出迎えた大地に、開口一番そう言った。
大地は虚無の表情で俺を眺め、小さく口を開く。
「……誰?」
「マリカちゃん。お前も知ってるだろ?」
「あー……。お前に気があった子ね」
「そうそう、その子」
「告られたの?」
「うん」
「で、オッケーしたんだ」
「うん」
「その帰りにヤッたのか」
「うん」
「そうか……」
大地は低い声で唸ったかと思えば、顔を上げてニカッと笑った。
「で? どうだった? 早漏の方は!」
そうだよな。気になるのはそこだよな。お前、頑張って特訓してくれてたもんな。
俺も歯を見せて笑い、親指を立てる。
「お前のおかげで五分以上もったぜ!」
「おお~! すげえな爽!! 特訓の成果だな!」
「おう! まじで感謝してるぜ!」
「だはは! ……五分もったらもう早漏とは言えねえなあ。これで特訓も卒業だな」
胸がずくんと痛んだ。そうか。これで特訓も終わりか。
笑え、笑え俺。
「……おう! 今までありがとな、大地!」
やりとりを終えて自分の部屋で大学に行く準備をしていると、ノックの音が聞こえた。返事も待たずに、大地がドアを開ける。
「どうした大地」
「……なあ、爽」
「んー?」
「今まで特訓したお礼、してくれる?」
「あー、お前色々頑張ってくれてたもんな。いいぞ。何がいい? 何でも買ってやるよ。あ、そういやお前良い腕時計欲しいって言ってたよな。それでどう――」
言葉を遮り、大地が俺を抱きしめる。
「爽の今日一日、ちょうだい」
「……」
抱きしめられただけで全身がざわついた。
「最後に、お前のこと抱かせて」
それを俺が拒めるとでも?
答えなんか待たずに大地は俺にキスをする。そのままベッドに押し倒され、二人して互いを求め合った。
「も……っ、舐め回すのやめろよぉ……っ」
執拗に全身に舌を這わせる大地は、いつも以上に必死だった。
頼むから、忘れようとしている快感を刻みつけないでくれ。
昨晩は五分もったちんこも、大地にかかれば以前と変わらず早漏だ。
体中、自分と大地の体液でドロドロになった頃、大地がケツの穴にちんこを当てた。
いつもと違う感覚に、俺は大地を見上げる。
「あれ……? 大地、ゴムは……?」
「……今日だけ、生でさせて」
「……」
「お願い、爽」
なんでお前がそんな顔すんの?
縋りたいのは俺の方なんだぞ。
沈黙を了承と解釈したのか、大地が腰を押し込んだ。
「あっ!? あっ、なっ……あぁぁっ……!?」
0.02ミリの壁は、俺が思っていた以上に分厚かったみたいだ。そのものの大地の感触と熱が俺の中に直接触れる。いつもほんの少し感じるつっぱった感じの異物感はなく、手を繋いでいるように、キスをしているときと同じように、裸で抱き合っているのと同じくらい自然に、俺たちは繋がった。
その感覚があまりに気持ち良すぎて、俺は中にちんこを挿れられただけで射精してしまった。
「あ……、あ、……」
精液を溢れさせる俺のちんこを、大地は呆然と見た。
「……挿れただけでイッた?」
「んん……」
「なんで? そんなに生が気持ち良かった?」
「聞くなぁ……あんま見んなぁ……」
「お前なあ……。可愛すぎるだろ……」
大地は大きくため息を吐き、俺にしがみつきながら激しく腰を動かした。
「あっ……!? ちょっ、だ、だっ……あっ、あぁぁっ!」
「お前、俺とできなくなって大丈夫なのか? なあ、爽」
「だっいじょ……ぶっ、だよぉっ……! んんっ、あっ、も、きもちっ……!」
「はは。全然大丈夫に見えねえ。……あ、イキそ……」
「ふっ!?」
中に熱いものが流し込まれる。大地の精液、俺の中に入ってくる。なんだこの感覚。
「んっ……んん~……っ」
「……? もしかしてお前、中イキしてね?」
「分かんなっ……これ何……っ」
射精していないのに、射精した時以上の快感が俺を襲う。体がビクビクして止まんねえ。これ、なんだよぉ……。
大地はたっぷりキスをしてから、俺の頭を撫でた。
「お前、最後の日に初めてのお前見せるのやめろよ」
「知らねえよ……まじでさっきのなんだったの……やばかったぞ……」
「それがなにか、今日中には分かるだろ」
「は……?」
その日俺たちは大学をサボッた。朝から日付が変わるまで、ちょっと寝て、起きてメシ食って、それ以外の時間はずっと、俺の部屋にこもってヤッていた。
最後だからと、大地は今まで一度もしなかったおねだりをたくさんしてきた。ちんこ舐めろとか、上に乗って腰振れとか、それはもう色々。でも、なんでかそれが嫌じゃなかったから、大地のおねだりを全部聞いてやった。
今日で、こいつとヤルのも最後だしな。お前がしてほしいこと、なんでもやってやるよ。
◆◆◆
爽がうたた寝をしている時、大地は爽を抱きしめながらひっそり涙を流した。
「……俺から離れないでよ、爽……」
そして頭にキスをして、目を瞑る。
「はあ、俺はまた、好きでもない女を抱かなきゃいけないのか……」
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