48 / 87
4月
プラトニックなラブがしたい!
しおりを挟む
「…なるほど。それでケーゴが部屋に閉じこもってしまったというわけだね」
「ああ…。あー…どうすれば…」
エドガーとピーターが買い出しから帰って来たら、しょぼんとしたスルトが半泣きで玄関の前で体育座りをしていた。ただごとではないと察した二人はスルトをエドガーの部屋へ連れて行き事情を聞いた。話を聞いたエドガーとピーターは「あー…」と苦い顔をしている。
「確かにここ数日はかなりケーゴに無理をさせていたね…。それに関してはスルトだけのせいじゃないよ。半分は僕のせいでもある」
「でも、ケイゴが本当に怒っているのはそこじゃない気がします。ケイゴはけっこう…セックス以外の時間が好きだったりするんで。スルト様ともそういう時間が欲しかったんだと思います」
「ああ…。そうだよな…。だが俺はもともと出不精でな…。出かけるよりもケーゴと家でゆっくりしている方が好きなんだ…」
「ゆっくり、たっぷりセックスする時間がね」
「うう…。俺だってケーゴと話をするのは好きだ。だが…ケーゴを見ているとどうも…セックスをしたくなってしまうんだ…」
「分かるよ。それにスルトはαだからね。僕たちよりも激しくケーゴに欲情してしまうのは仕方ないと思う。でも、ケーゴの気持ちをもっと尊重してあげるべきだったねえ」
「その通りだ…。反省している…」
「でも今更口先で謝っても、きっとケーゴは許してくれない。行動で示さなきゃね」
「どういうことだエドガー?俺は何をしたらいい?」
スルトがすがるような目でエドガーを見る。エドガーはニコっと笑ってかつての弟の肩をぽんと叩いた。
「特別に、君にケーゴを独り占めさせてあげる。来週の週末、どこかへ旅行してきたらいいよ」
「!」
「それはいいですね!スルト様の誘いだったら、きっとケイゴも喜びます!!」
「エドガー…ピーター…!」
「でもそれだけじゃダメだよ。君のことだ。旅行へ行ったってホテルへ戻ったらきっと朝までケーゴを抱き潰しちゃうだろう。だから…」
「だから…?」
「旅行の間は、ケーゴの発令に従いセックスを一切しないと約束をすること」
「なっ…」
「そうしないとケーゴはきっと機嫌を直さないよ。そう思うよねピーター?」
「はい…。むしろ余計に機嫌を損ねる可能性すらあります…」
「…分かった。それでやってみる」
「宿やチケットを手配してあげようか?」
エドガーの申し出にスルトは首をブンブンと振った。
「いや、そこは俺が自分で準備する。考えてみると初めて二人で旅行をするんだ。ちゃんと自分でやりたい」
「うん。それがいいよ」
やる気を出したスルトは、それから自分の部屋にこもって張り切って旅行プランを練った。圭吾が喜びそうな旅行先、圭吾が好きそうな宿、圭吾が好きそうな食事処…圭吾のことを考えて旅行プランを練ることはとても胸が躍った。今から圭吾が喜ぶ顔が目に浮かぶ。
夜中になるまでリサーチをしていたスルトは、時計を見て慌ててベッドに潜り込んだ。ベッドの中でも旅行について考えてしまう。スルトは一人でニコニコ笑い、独り言を呟いた。
「旅行を計画することがこれほど楽しいとは思わなかったな…。エドガーがこういうことが好きなのが、今なら分かる気がする」
「ああ…。あー…どうすれば…」
エドガーとピーターが買い出しから帰って来たら、しょぼんとしたスルトが半泣きで玄関の前で体育座りをしていた。ただごとではないと察した二人はスルトをエドガーの部屋へ連れて行き事情を聞いた。話を聞いたエドガーとピーターは「あー…」と苦い顔をしている。
「確かにここ数日はかなりケーゴに無理をさせていたね…。それに関してはスルトだけのせいじゃないよ。半分は僕のせいでもある」
「でも、ケイゴが本当に怒っているのはそこじゃない気がします。ケイゴはけっこう…セックス以外の時間が好きだったりするんで。スルト様ともそういう時間が欲しかったんだと思います」
「ああ…。そうだよな…。だが俺はもともと出不精でな…。出かけるよりもケーゴと家でゆっくりしている方が好きなんだ…」
「ゆっくり、たっぷりセックスする時間がね」
「うう…。俺だってケーゴと話をするのは好きだ。だが…ケーゴを見ているとどうも…セックスをしたくなってしまうんだ…」
「分かるよ。それにスルトはαだからね。僕たちよりも激しくケーゴに欲情してしまうのは仕方ないと思う。でも、ケーゴの気持ちをもっと尊重してあげるべきだったねえ」
「その通りだ…。反省している…」
「でも今更口先で謝っても、きっとケーゴは許してくれない。行動で示さなきゃね」
「どういうことだエドガー?俺は何をしたらいい?」
スルトがすがるような目でエドガーを見る。エドガーはニコっと笑ってかつての弟の肩をぽんと叩いた。
「特別に、君にケーゴを独り占めさせてあげる。来週の週末、どこかへ旅行してきたらいいよ」
「!」
「それはいいですね!スルト様の誘いだったら、きっとケイゴも喜びます!!」
「エドガー…ピーター…!」
「でもそれだけじゃダメだよ。君のことだ。旅行へ行ったってホテルへ戻ったらきっと朝までケーゴを抱き潰しちゃうだろう。だから…」
「だから…?」
「旅行の間は、ケーゴの発令に従いセックスを一切しないと約束をすること」
「なっ…」
「そうしないとケーゴはきっと機嫌を直さないよ。そう思うよねピーター?」
「はい…。むしろ余計に機嫌を損ねる可能性すらあります…」
「…分かった。それでやってみる」
「宿やチケットを手配してあげようか?」
エドガーの申し出にスルトは首をブンブンと振った。
「いや、そこは俺が自分で準備する。考えてみると初めて二人で旅行をするんだ。ちゃんと自分でやりたい」
「うん。それがいいよ」
やる気を出したスルトは、それから自分の部屋にこもって張り切って旅行プランを練った。圭吾が喜びそうな旅行先、圭吾が好きそうな宿、圭吾が好きそうな食事処…圭吾のことを考えて旅行プランを練ることはとても胸が躍った。今から圭吾が喜ぶ顔が目に浮かぶ。
夜中になるまでリサーチをしていたスルトは、時計を見て慌ててベッドに潜り込んだ。ベッドの中でも旅行について考えてしまう。スルトは一人でニコニコ笑い、独り言を呟いた。
「旅行を計画することがこれほど楽しいとは思わなかったな…。エドガーがこういうことが好きなのが、今なら分かる気がする」
20
お気に入りに追加
197
あなたにおすすめの小説
少年ペット契約
眠りん
BL
※少年売買契約のスピンオフ作品です。
↑上記作品を知らなくても読めます。
小山内文和は貧乏な家庭に育ち、教育上よろしくない環境にいながらも、幸せな生活を送っていた。
趣味は布団でゴロゴロする事。
ある日学校から帰ってくると、部屋はもぬけの殻、両親はいなくなっており、借金取りにやってきたヤクザの組員に人身売買で売られる事になってしまった。
文和を購入したのは堂島雪夜。四十二歳の優しい雰囲気のおじさんだ。
文和は雪夜の養子となり、学校に通ったり、本当の子供のように愛された。
文和同様人身売買で買われて、堂島の元で育ったアラサー家政婦の金井栞も、サバサバした性格だが、文和に親切だ。
三年程を堂島の家で、呑気に雪夜や栞とゴロゴロした生活を送っていたのだが、ある日雪夜が人身売買の罪で逮捕されてしまった。
文和はゴロゴロ生活を守る為、雪夜が出所するまでの間、ペットにしてくれる人を探す事にした。
※前作と違い、エロは最初の頃少しだけで、あとはほぼないです。
※前作がシリアスで暗かったので、今回は明るめでやってます。
変態村♂〜俺、やられます!〜
ゆきみまんじゅう
BL
地図から消えた村。
そこに肝試しに行った翔馬たち男3人。
暗闇から聞こえる不気味な足音、遠くから聞こえる笑い声。
必死に逃げる翔馬たちを救った村人に案内され、ある村へたどり着く。
その村は男しかおらず、翔馬たちが異変に気づく頃には、すでに囚われの身になってしまう。
果たして翔馬たちは、抱かれてしまう前に、村から脱出できるのだろうか?
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
クラスのボッチくんな僕が風邪をひいたら急激なモテ期が到来した件について。
とうふ
BL
題名そのままです。
クラスでボッチ陰キャな僕が風邪をひいた。友達もいないから、誰も心配してくれない。静かな部屋で落ち込んでいたが...モテ期の到来!?いつも無視してたクラスの人が、先生が、先輩が、部屋に押しかけてきた!あの、僕風邪なんですけど。
ある少年の体調不良について
雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。
BLもしくはブロマンス小説。
体調不良描写があります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる