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1月
年始:スルト
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お風呂から上がったスルトとエドガーは、ピーターが作ってくれたごはんを食べてから再び部屋へ戻って仕事に専念した。僕はリビングに残ってテレビを眺めてる。今朝のゴタゴタをたぶん自分の部屋で聞いていたんだろう、ピーターがお皿を洗いながら僕に声をかけた。
「今朝は大変だったみたいだな、ケイゴ」
「うん…ほんと大変だった…」
「あれだろ?昨晩ケイゴとエドガー様が…すっごく楽しんでたからスルト様が嫉妬した…みたいな」
「まさにその通り。ねえ、そんなに僕たちの声聞こえてた?」
「聞こえてたどころじゃない…。特に俺の部屋はエドガー様の隣だから…」
「うう…ごめん…。久しぶりでつい…」
「俺は別にかまわないけど。スルト様が嫉妬するのは分かるなあ。あんなに大声でエドガー様の名前呼びながら喘がれたら…なあ?」
「ううう…。夫が二人いるってむずかしい…」
「ははは」
皿洗いを終えたピーターが僕の隣に座った。少し顔を赤らめてもじもじしながら、お茶を飲む僕にボソボソとこう言った。
「な、なあケイゴ」
「ん?なに?」
「その…。エドガー様とスルト様の仕事が落ち着いて、いつもの生活に戻ったら…」
「うん」
「俺も、ケイゴと…またしたい…んだけど…」
「ゴホッ!!ガハッ!!ブエッ!!」
「ケ!ケイゴ!大丈夫か?!」
「だ、大丈夫…。びっくりしてお茶が器官に入っただけだから…ゴホォッ」
「ケイゴォ!すまない、俺が変なこと言ったから…!忘れてくれ!あああ俺はなんてことを…」
「いや、違うからっ!いやとかじゃないから!びっくりしただけだから!」
咳き込んだ僕の背中をさするピーターは、顔を真っ赤にしてさっき言ったことを後悔してるようだった。落ち着いた僕はそんなピーターの手を握った。
「うん、二人が落ち着いたら、またしよう」
「うう…気をつかわないでくれケイゴ…」
「ちがうって、僕もピーターと…し、したいよ」
「よく考えたら敬愛する方の配偶者を抱きたいなんて気が狂ってるよな…」
「いや、うん、僕だって夫が二人もいるのに同居の友人と寝たいと思ってるなんて頭おかしいよ」
「ふふ。確かに」
「でも、スルトもエドガーも、なんか…よくわかんないけどさ、僕たちがそういうことするの、むしろ推奨してるし…」
「本当に、あの方たちは意味が分からん…」
「ねー…。まあ、だから、いいと思うんだよねー…。僕たちは結婚してないけど、家族と恋人の間みたいなものじゃんか。もう一回最後までしてるし」
「うん…」
「さすがに二人があんなに忙しいときに僕たちがしてたら気分悪いと思うから、落ち着いてからね。しよ」
「うん」
ピーターの顔が近づいてくる。僕が目を瞑ると、そっと唇が触れ合った。しばらく長いキスをして、ゆっくりと顔を離す。僕もピーターも体が熱くなって少し反応していた。ピーターの目がとろんとしてる。きっと僕もそんな顔をしてるんだろうな。僕たちはクスっと笑い抱きしめ合った。
「ケイゴ、お二人の部屋に行って来てやれ。きっとお喜びになるし仕事も頑張れると思うぞ」
「そうだね。今日もエドガーの部屋に行ったらスルト確実に拗ねるよね?」
「間違いなくな。拗ねるどころか泣いてしまうんじゃないか?」
「ありえる。じゃあ今日はスルトの部屋に行こうかな」
「ああ。俺はお二人が仕事を頑張れるように、片手間に食べやすい食事を作るよ」
「いつもありがとうねピーター」
僕は立ち上がり、まずエドガーの部屋をノックした。返事が聞こえてきたからドアを少し開け声をかける。
「エドガー、ちょっとだけいい?」
「ああ、いいよ」
「ねえ、今日はスルトの部屋でいていい?」
「…いいよ」
「で、明日はエドガーの部屋でいさせてくれる?」
「!ああ、もちろんいいよ」
「あはは。声のテンションが変わった」
「そりゃそうだよ。よし、明日を楽しみに今日は死ぬ気で仕事するよ」
「死なないでね?まじで」
「はは、死なないよ」
「じゃ、行くね」
「ああ。また明日、ケーゴ」
「また明日」
それから僕はスルトの部屋をノックした。イライラしているのか「誰だぁ!くそぉっ!うまくいかん!!」と喚いている。ドアを開けると紙をグッシャグシャにしてゴミ箱に投げ捨てているスルトがいた。ちなみにそれはゴミ箱に入らず床に落ちた。僕はそれを拾いゴミ箱に入れたあと、スルトの背中に抱きついた。
「?!」
「なーにをイライラしてんの?」
「ケケケ、ケーゴ!!??」
「今日はスルトの部屋でいようと思って。いい?」
「いいに決まっているだろう!!あああ…!ケーゴ…!ケーゴケーゴケーゴォォォ!!」
「うぎゃ!うるさっ!!」
スルトは僕の名前を大声で呼びながらぎゅぅぅぅと抱きついた。こんなに…なんというか、テンパってるスルトは初めて見た。なんだかんだすっごく優秀だから、いつも「フンッ。こんなことくらいできて当然だろう」とか言いながら仕事こなしてるから。
「ちょ、どうしたのスルト?なにかトラブル?」
「トラブルだがどうでもいい!!お前のにおいを嗅がせろ!!」
「えぇ…?なんだこいつ…」
僕の体に顔を押し付けてスーハースーハーしているスルトは狂気じみていた。でも頭おかしいのはいつものことだし、まあいっかと思ってとりあえず頭を撫でてあげる。
「あああ…どこだここは…楽園か…?」
「お花畑じゃない?今のスルトだいぶ頭イッてるし」
「ああ…毒のある言葉ですら沁みる…。ケーゴが俺に話しかけている…」
「いやさっきもめっちゃ喋ったじゃん」
「今日一日俺の部屋にいてくれるのか…?」
「うん。仕事の手伝いはできないだろうし、僕はだらだらしてるだけだけど」
「俺の部屋でケーゴがだらだらするのか…。最高だな…」
「そ、そう。お気に召してよかったです」
「ではケーゴ。とりあえず服を脱げ」
「は?!えっちは仕事終わってからって言ってるでしょ?!」
「分かってる」
「じゃあなんで服を脱がなきゃいけないんだよバカ!!」
「ちがう。服を着替えろ。俺の服にだ。彼シャツだ。彼シャツを着るんだ。ズボンははくなよ。シャツとパンツだけだ。分かったな」
「なぜ?」
「そりゃお前、恋人が部屋で二人っきりだぞ。彼シャツが制服みたいなものだろう」
「あなた何歳ですか?それ大学生がすることでしょ。そして僕たちは恋人ではなく夫婦です」
「なんだっていい。とにかくそうしろ。そうしてくれたら仕事がんばれるんだ。頼む」
「うう…」
そんな言い方されたら断れないじゃん…。僕はのろのろと服を脱ぎ、スルトに渡されたダッボダボのシャツを着た。大きすぎて肩がずりさがってなんちゃってオフショルみたいになってる。袖もながすぎて萌え袖通り越してるし。
「ぐぅ…!俺の服を…ケーゴが…!!着ている!!」
「さむいってスルト…。ズボン履かせてよ…」
「だめだ。暖房をガンッガンにかけてやるからそのままでいろ」
「分かったよ…」
ということで僕はこの恰好で一日を過ごすことになった。必死でパソコンとにらめっこしたり、頭を掻きながら書類に目を通したり、上司や取引先と電話をしているスルトの横で、僕はイヤホンをして音楽を聴きながらスイッチでゲームをしてた。
「今朝は大変だったみたいだな、ケイゴ」
「うん…ほんと大変だった…」
「あれだろ?昨晩ケイゴとエドガー様が…すっごく楽しんでたからスルト様が嫉妬した…みたいな」
「まさにその通り。ねえ、そんなに僕たちの声聞こえてた?」
「聞こえてたどころじゃない…。特に俺の部屋はエドガー様の隣だから…」
「うう…ごめん…。久しぶりでつい…」
「俺は別にかまわないけど。スルト様が嫉妬するのは分かるなあ。あんなに大声でエドガー様の名前呼びながら喘がれたら…なあ?」
「ううう…。夫が二人いるってむずかしい…」
「ははは」
皿洗いを終えたピーターが僕の隣に座った。少し顔を赤らめてもじもじしながら、お茶を飲む僕にボソボソとこう言った。
「な、なあケイゴ」
「ん?なに?」
「その…。エドガー様とスルト様の仕事が落ち着いて、いつもの生活に戻ったら…」
「うん」
「俺も、ケイゴと…またしたい…んだけど…」
「ゴホッ!!ガハッ!!ブエッ!!」
「ケ!ケイゴ!大丈夫か?!」
「だ、大丈夫…。びっくりしてお茶が器官に入っただけだから…ゴホォッ」
「ケイゴォ!すまない、俺が変なこと言ったから…!忘れてくれ!あああ俺はなんてことを…」
「いや、違うからっ!いやとかじゃないから!びっくりしただけだから!」
咳き込んだ僕の背中をさするピーターは、顔を真っ赤にしてさっき言ったことを後悔してるようだった。落ち着いた僕はそんなピーターの手を握った。
「うん、二人が落ち着いたら、またしよう」
「うう…気をつかわないでくれケイゴ…」
「ちがうって、僕もピーターと…し、したいよ」
「よく考えたら敬愛する方の配偶者を抱きたいなんて気が狂ってるよな…」
「いや、うん、僕だって夫が二人もいるのに同居の友人と寝たいと思ってるなんて頭おかしいよ」
「ふふ。確かに」
「でも、スルトもエドガーも、なんか…よくわかんないけどさ、僕たちがそういうことするの、むしろ推奨してるし…」
「本当に、あの方たちは意味が分からん…」
「ねー…。まあ、だから、いいと思うんだよねー…。僕たちは結婚してないけど、家族と恋人の間みたいなものじゃんか。もう一回最後までしてるし」
「うん…」
「さすがに二人があんなに忙しいときに僕たちがしてたら気分悪いと思うから、落ち着いてからね。しよ」
「うん」
ピーターの顔が近づいてくる。僕が目を瞑ると、そっと唇が触れ合った。しばらく長いキスをして、ゆっくりと顔を離す。僕もピーターも体が熱くなって少し反応していた。ピーターの目がとろんとしてる。きっと僕もそんな顔をしてるんだろうな。僕たちはクスっと笑い抱きしめ合った。
「ケイゴ、お二人の部屋に行って来てやれ。きっとお喜びになるし仕事も頑張れると思うぞ」
「そうだね。今日もエドガーの部屋に行ったらスルト確実に拗ねるよね?」
「間違いなくな。拗ねるどころか泣いてしまうんじゃないか?」
「ありえる。じゃあ今日はスルトの部屋に行こうかな」
「ああ。俺はお二人が仕事を頑張れるように、片手間に食べやすい食事を作るよ」
「いつもありがとうねピーター」
僕は立ち上がり、まずエドガーの部屋をノックした。返事が聞こえてきたからドアを少し開け声をかける。
「エドガー、ちょっとだけいい?」
「ああ、いいよ」
「ねえ、今日はスルトの部屋でいていい?」
「…いいよ」
「で、明日はエドガーの部屋でいさせてくれる?」
「!ああ、もちろんいいよ」
「あはは。声のテンションが変わった」
「そりゃそうだよ。よし、明日を楽しみに今日は死ぬ気で仕事するよ」
「死なないでね?まじで」
「はは、死なないよ」
「じゃ、行くね」
「ああ。また明日、ケーゴ」
「また明日」
それから僕はスルトの部屋をノックした。イライラしているのか「誰だぁ!くそぉっ!うまくいかん!!」と喚いている。ドアを開けると紙をグッシャグシャにしてゴミ箱に投げ捨てているスルトがいた。ちなみにそれはゴミ箱に入らず床に落ちた。僕はそれを拾いゴミ箱に入れたあと、スルトの背中に抱きついた。
「?!」
「なーにをイライラしてんの?」
「ケケケ、ケーゴ!!??」
「今日はスルトの部屋でいようと思って。いい?」
「いいに決まっているだろう!!あああ…!ケーゴ…!ケーゴケーゴケーゴォォォ!!」
「うぎゃ!うるさっ!!」
スルトは僕の名前を大声で呼びながらぎゅぅぅぅと抱きついた。こんなに…なんというか、テンパってるスルトは初めて見た。なんだかんだすっごく優秀だから、いつも「フンッ。こんなことくらいできて当然だろう」とか言いながら仕事こなしてるから。
「ちょ、どうしたのスルト?なにかトラブル?」
「トラブルだがどうでもいい!!お前のにおいを嗅がせろ!!」
「えぇ…?なんだこいつ…」
僕の体に顔を押し付けてスーハースーハーしているスルトは狂気じみていた。でも頭おかしいのはいつものことだし、まあいっかと思ってとりあえず頭を撫でてあげる。
「あああ…どこだここは…楽園か…?」
「お花畑じゃない?今のスルトだいぶ頭イッてるし」
「ああ…毒のある言葉ですら沁みる…。ケーゴが俺に話しかけている…」
「いやさっきもめっちゃ喋ったじゃん」
「今日一日俺の部屋にいてくれるのか…?」
「うん。仕事の手伝いはできないだろうし、僕はだらだらしてるだけだけど」
「俺の部屋でケーゴがだらだらするのか…。最高だな…」
「そ、そう。お気に召してよかったです」
「ではケーゴ。とりあえず服を脱げ」
「は?!えっちは仕事終わってからって言ってるでしょ?!」
「分かってる」
「じゃあなんで服を脱がなきゃいけないんだよバカ!!」
「ちがう。服を着替えろ。俺の服にだ。彼シャツだ。彼シャツを着るんだ。ズボンははくなよ。シャツとパンツだけだ。分かったな」
「なぜ?」
「そりゃお前、恋人が部屋で二人っきりだぞ。彼シャツが制服みたいなものだろう」
「あなた何歳ですか?それ大学生がすることでしょ。そして僕たちは恋人ではなく夫婦です」
「なんだっていい。とにかくそうしろ。そうしてくれたら仕事がんばれるんだ。頼む」
「うう…」
そんな言い方されたら断れないじゃん…。僕はのろのろと服を脱ぎ、スルトに渡されたダッボダボのシャツを着た。大きすぎて肩がずりさがってなんちゃってオフショルみたいになってる。袖もながすぎて萌え袖通り越してるし。
「ぐぅ…!俺の服を…ケーゴが…!!着ている!!」
「さむいってスルト…。ズボン履かせてよ…」
「だめだ。暖房をガンッガンにかけてやるからそのままでいろ」
「分かったよ…」
ということで僕はこの恰好で一日を過ごすことになった。必死でパソコンとにらめっこしたり、頭を掻きながら書類に目を通したり、上司や取引先と電話をしているスルトの横で、僕はイヤホンをして音楽を聴きながらスイッチでゲームをしてた。
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