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最終章 25歳の春
最終話 結婚式
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「では、新郎新婦の入場です」
パイプオルガンが鳴る中、父と腕を組んでヴァージンロードを歩く。ヴェールの向こうに見える、タキシードを着た微笑んでいるスルトとエドガー。父に見送られ、僕は二人の手を取った。讃美歌を歌い、聖書の朗読、そして牧師さんがアレを言う。
「良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、病める時も健やかなる時も、共に歩み、他の者に依らず、死が二人を分かつまで、愛を誓い、妻を想い、妻のみに添うことを、神聖なる婚姻の契約のもとに、誓いますか?」
「誓います」
スルトとエドガーが同時に答える。続いて僕もそれの言葉に答えた。
「誓います」
「では、誓いのキスを」
スルトとエドガーが僕のヴェールをあげ、僕は二人とキスをした。その瞬間景色が変わった。
「え…?」
「ここは…」
「見たことあるぞ、ここ…」
僕も見たことがある。2回ほど。
『やっとここまできたね。圭吾』
「やっぱり…神様…」
いつも死んだときに来てたところ、天上人の住む場所へまたもや来てしまったようだ。神様もいつもの天上人も、いつものゆったりしたドレスではなくひらひらのドレスやタキシードを身に付けている。え?ここに服屋ってあったの?
『圭吾ー、結婚おめでとうー。やっとだねえ…やっとだねえ』
『ながかったよぉ…この日を待ちわびたよぉ…』
「あの…どうして結婚式の最中にここに呼ばれたんですかね…?」
『結婚のお祝いがしたくてね』
「は、はあ…」
『圭吾、スルト、エドガー。私は今までずっと君たちを見ていたよ。今世でもいろいろあったね。圭吾にもスルトやエドガーにも辛い思いをたくさんさせてしまった』
「ま、まあ。そうですね」
『あれはねえ、半分私のせいなんだよ…』
「はい…?」
『私がこうなったらいいな、と思ってしまったら、世界はそのように動いてしまう。だから、ちょっと圭吾のモブレ見たいなあ、とか思っちゃったらね、そうなっちゃうんだよ』
「な…っ」
「おい神ぃぃ…。それはどういうことだ…。俺たちのケーゴになんてことをしている…」
「神ってどうやったら死ぬの?教えてくれる?そこのお姉さん」
『おいそこの絶倫クソ野郎と変態クソ野郎!!神様に向かってなんてこと言ってんの!!逆にあんたたちをガッチガチのファンタジー世界に異世界転移させてやろうか?!』
『まあまあ。仕方ないよ。だって彼らにとって圭吾が全てなのだから。彼らの人生を狂わせ、圭吾にひどいことをしてきた私に対してそう思っても仕方ないよね。だからお詫びに3人とピーターに、これを贈りたい』
神は僕の手に4つの指輪を置いた。僕たちの結婚指輪と、ピーターに渡したピンキーリングだ。
『これに私の加護を付けておいた。君たちが同じ日、同じ時間に死ねるようにまじないをかけておいた』
「同じ時に、死ねる…」
エドガーが震える声で呟いた。神は優しくエドガーの肩を撫でる。
『そうだよエドガー。もう君は一人きりになんかならない。死ぬまでずっと、圭吾とスルトが傍にいるよ』
「っ…」
エドガーは指輪をぎゅっと握りしめた。目には涙を溜めている。
『最後に、君たちの魂を繋げておいたから、来世でも来来世でも、君たちは同じ場所、同じ時間に生まれてくるよ。君たちは生まれ変わるたび、必ず出会える』
「神様…」
『受け取ってくれるかい?』
「はい…ありがとうございます」
『よかった。どうか、これからも健やかに』
『スルト!エドガー!圭吾をあんまりいじめるんじゃないよ!』
天上人のその言葉を最後に、僕たちは結婚式場に戻ってきた。
「あ、あの…大丈夫ですか…?」
式場がざわざわとしている。僕たちははっとして「大丈夫です!」と返事をした。
その後、両親が見守る中僕たちは結婚指輪を指にはめた。神様にもらった、なんかすごい指輪。
◇◇◇
結婚式以降、僕のΩとしての匂いが格段に薄くなった。発情期も抑制剤を打てばおさまるくらいになり、匂いで寄ってくるαが少なくなった(それでもやっぱり僕の美貌に惹かれる人たちは山ほどいたけど)。たぶん神さまが調整?してくれたんだろう。前に比べると、とても生きやすい環境になった。
はじめは匂いが薄くなってスルトの僕への興味がなくなってしまうんじゃないかって心配したけど、全くそんなことはなかった。本当に僕自身のことを好きでいてくれたんだなって気づけただけでも、匂いが薄くなったことに感謝したいくらいだ。
「ケーゴ!いくぞ!」
「あ、はーい!」
「ケーゴ、今日もかわいいね」
「かわいいって言われても嬉しくないですってば!」
「ケイゴ、忘れ物ない?充電器持った?下着は?貞操帯の鍵は?」
「ピーターは僕のお母さんですか?」
僕たちは今日から旅行でイギリスに行く。毎年行ってるんだ。結婚記念日に4人で海外旅行。
神様は僕たちの人生を狂わせたって言ってたけど、僕はそうは思わない。エドガーに、スルトに、ピーター。かけがえのない存在に出会わせてくれたんだから。こんな幸せで楽しい毎日を送れるのは、彼らのおかげなんだから。
「ありがとう、神様」
そう呟くと、指輪がきらりと光った気がした。
「おーいケーゴ!なにをしているんだ?早くしないと飛行機に乗り遅れるぞ!!」
「ごめん!!今行くー!!」
「ねえケーゴ、さっき指輪を見つめてなにしてたの?」
「え?あ、うん。神様にお礼を言ってた」
「お礼ぃ?」
「エドガーと、スルトと、ピーターに出会わせてくれてありがとうって」
「ケ…ケーゴぉぉぉ・・・!!!」
「あ、ちょっと。抱きつかないでくださいね。髪が乱れるので」
「ケーゴはやっぱり俺に冷たい!!」
「あははは!!」
5年後も、10年後も、おじいちゃんになっても、スルトとエドガーは僕を愛してくれるだろうか。ピーターは僕たちの傍にいてくれるだろうか。それはまだ分からないけど、でも今はそういうの考えるのやめとこう。だって今、彼らは僕に一生分の愛を注ぎ込んでくれているんだから。
【極上オメガ、前世の恋人2人に今世も溺愛されています end】
パイプオルガンが鳴る中、父と腕を組んでヴァージンロードを歩く。ヴェールの向こうに見える、タキシードを着た微笑んでいるスルトとエドガー。父に見送られ、僕は二人の手を取った。讃美歌を歌い、聖書の朗読、そして牧師さんがアレを言う。
「良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、病める時も健やかなる時も、共に歩み、他の者に依らず、死が二人を分かつまで、愛を誓い、妻を想い、妻のみに添うことを、神聖なる婚姻の契約のもとに、誓いますか?」
「誓います」
スルトとエドガーが同時に答える。続いて僕もそれの言葉に答えた。
「誓います」
「では、誓いのキスを」
スルトとエドガーが僕のヴェールをあげ、僕は二人とキスをした。その瞬間景色が変わった。
「え…?」
「ここは…」
「見たことあるぞ、ここ…」
僕も見たことがある。2回ほど。
『やっとここまできたね。圭吾』
「やっぱり…神様…」
いつも死んだときに来てたところ、天上人の住む場所へまたもや来てしまったようだ。神様もいつもの天上人も、いつものゆったりしたドレスではなくひらひらのドレスやタキシードを身に付けている。え?ここに服屋ってあったの?
『圭吾ー、結婚おめでとうー。やっとだねえ…やっとだねえ』
『ながかったよぉ…この日を待ちわびたよぉ…』
「あの…どうして結婚式の最中にここに呼ばれたんですかね…?」
『結婚のお祝いがしたくてね』
「は、はあ…」
『圭吾、スルト、エドガー。私は今までずっと君たちを見ていたよ。今世でもいろいろあったね。圭吾にもスルトやエドガーにも辛い思いをたくさんさせてしまった』
「ま、まあ。そうですね」
『あれはねえ、半分私のせいなんだよ…』
「はい…?」
『私がこうなったらいいな、と思ってしまったら、世界はそのように動いてしまう。だから、ちょっと圭吾のモブレ見たいなあ、とか思っちゃったらね、そうなっちゃうんだよ』
「な…っ」
「おい神ぃぃ…。それはどういうことだ…。俺たちのケーゴになんてことをしている…」
「神ってどうやったら死ぬの?教えてくれる?そこのお姉さん」
『おいそこの絶倫クソ野郎と変態クソ野郎!!神様に向かってなんてこと言ってんの!!逆にあんたたちをガッチガチのファンタジー世界に異世界転移させてやろうか?!』
『まあまあ。仕方ないよ。だって彼らにとって圭吾が全てなのだから。彼らの人生を狂わせ、圭吾にひどいことをしてきた私に対してそう思っても仕方ないよね。だからお詫びに3人とピーターに、これを贈りたい』
神は僕の手に4つの指輪を置いた。僕たちの結婚指輪と、ピーターに渡したピンキーリングだ。
『これに私の加護を付けておいた。君たちが同じ日、同じ時間に死ねるようにまじないをかけておいた』
「同じ時に、死ねる…」
エドガーが震える声で呟いた。神は優しくエドガーの肩を撫でる。
『そうだよエドガー。もう君は一人きりになんかならない。死ぬまでずっと、圭吾とスルトが傍にいるよ』
「っ…」
エドガーは指輪をぎゅっと握りしめた。目には涙を溜めている。
『最後に、君たちの魂を繋げておいたから、来世でも来来世でも、君たちは同じ場所、同じ時間に生まれてくるよ。君たちは生まれ変わるたび、必ず出会える』
「神様…」
『受け取ってくれるかい?』
「はい…ありがとうございます」
『よかった。どうか、これからも健やかに』
『スルト!エドガー!圭吾をあんまりいじめるんじゃないよ!』
天上人のその言葉を最後に、僕たちは結婚式場に戻ってきた。
「あ、あの…大丈夫ですか…?」
式場がざわざわとしている。僕たちははっとして「大丈夫です!」と返事をした。
その後、両親が見守る中僕たちは結婚指輪を指にはめた。神様にもらった、なんかすごい指輪。
◇◇◇
結婚式以降、僕のΩとしての匂いが格段に薄くなった。発情期も抑制剤を打てばおさまるくらいになり、匂いで寄ってくるαが少なくなった(それでもやっぱり僕の美貌に惹かれる人たちは山ほどいたけど)。たぶん神さまが調整?してくれたんだろう。前に比べると、とても生きやすい環境になった。
はじめは匂いが薄くなってスルトの僕への興味がなくなってしまうんじゃないかって心配したけど、全くそんなことはなかった。本当に僕自身のことを好きでいてくれたんだなって気づけただけでも、匂いが薄くなったことに感謝したいくらいだ。
「ケーゴ!いくぞ!」
「あ、はーい!」
「ケーゴ、今日もかわいいね」
「かわいいって言われても嬉しくないですってば!」
「ケイゴ、忘れ物ない?充電器持った?下着は?貞操帯の鍵は?」
「ピーターは僕のお母さんですか?」
僕たちは今日から旅行でイギリスに行く。毎年行ってるんだ。結婚記念日に4人で海外旅行。
神様は僕たちの人生を狂わせたって言ってたけど、僕はそうは思わない。エドガーに、スルトに、ピーター。かけがえのない存在に出会わせてくれたんだから。こんな幸せで楽しい毎日を送れるのは、彼らのおかげなんだから。
「ありがとう、神様」
そう呟くと、指輪がきらりと光った気がした。
「おーいケーゴ!なにをしているんだ?早くしないと飛行機に乗り遅れるぞ!!」
「ごめん!!今行くー!!」
「ねえケーゴ、さっき指輪を見つめてなにしてたの?」
「え?あ、うん。神様にお礼を言ってた」
「お礼ぃ?」
「エドガーと、スルトと、ピーターに出会わせてくれてありがとうって」
「ケ…ケーゴぉぉぉ・・・!!!」
「あ、ちょっと。抱きつかないでくださいね。髪が乱れるので」
「ケーゴはやっぱり俺に冷たい!!」
「あははは!!」
5年後も、10年後も、おじいちゃんになっても、スルトとエドガーは僕を愛してくれるだろうか。ピーターは僕たちの傍にいてくれるだろうか。それはまだ分からないけど、でも今はそういうの考えるのやめとこう。だって今、彼らは僕に一生分の愛を注ぎ込んでくれているんだから。
【極上オメガ、前世の恋人2人に今世も溺愛されています end】
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