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10歳の冬

小学校生活

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僕がスルトとの再会を果たしてから4年が経った。小学5年生にして、スルトのイケメン度合いが日に日に増してきてる。背が伸び、顔立ちも大人びてきてきた。クルクルだった髪も落ち着き、今では程よいカールがかったたイケメンヘアへと変貌していた。

僕はそれが気に入らない。だって僕はまだ背が低くて幼いままなんだから。αは成長が早く、Ωは遅い。分かっていたことだけど悔しい。

女子たちもスルトにメロメロだ。小学5年生っていったら女子も男子も好きな子の話しかしなくなる年頃。ほとんど全員の女子がスルトのことを好きで、毎日スルトを眺めながらキャーキャー騒いでる。

「ふん、今日も鬱陶しいな」

休み時間の時、教室で自分の席に座っている僕の傍へ寄ってきてスルトが不機嫌そうに呟いた。

「そんなこと言っちゃだめだよ。女の子たちはスルトに気があるんだから。まあこんな小学生いたら誰だって好きになるよねー。はんっ」

「ちがう。そっちじゃない。俺が言っているのは男子の方だ。ケーゴの方をじろじろ見ている。視線が鬱陶しくてかなわん。おい、お前たち。俺のケーゴをそんな目で見るな」

スルトがそう言うと、男の子たちが「ひっ」と情けない声を出して慌てて顔を背けた。スルトはまだ不機嫌そうに頬を膨らませてる。僕の顔をじろじろ見てから、顎に指をかけてくいと持ち上げられた。

「お前が甘い匂いを纏わせていなかったとしても、男子はお前に夢中になるだろうな。お前の容姿は女子より美しい」

「恥ずかしいこと言わないでください」

「本当のことだ」

スルトの手を払うと、スルトはムッとした顔をして頬にちゅっとキスをした。それを見てた生徒たちが顔を真っ赤にしてヒソヒソ話を始めてる。ウブな男の子たちはおろおろしながら腰をかがめていた。

「ちょっと!!みんなの前でそういうことするのやめてって言ってるでしょ?!」

「なぜだ」

「ここ!小学校!!教室にいる子たちはまだなぁーんにも知らない子たちばっかなの!!こんなの見せたら教育に悪いの!!分かる?!」

「分からん。前世の俺は10歳のころから裸の女たちと寝ていたからな」

「貴族こわい!!!」

そんな話をしていると、チャイムが鳴り授業が始まった。脳みそ24歳の僕にとって、小学校の授業は言うまでもなく簡単だ。テストではいつも100点なので、神童Ωとして先生からも評判だった。それについては正直悪い気はしないよね。

「圭吾くん。この問題解いてみようか」

「あ、はい」

先生に呼ばれ、僕は黒板に書かれた問題をスラスラ解いていった。あー簡単。こんな問題解いただけでもてはやされる小学生最高。ずっと小学生でいたい。

「さすが圭吾くんだね。全問正解だよ」

「っ」

黒板に向かっている僕のおしりを、先生がみんなに見えないようにさすった。この先生20歳くらいの男αなんだけど、僕のクラスを持つようになってからずっといやらしい目で見てくるなとは思ってたんだよ…。まさか手を出してくるとは思わなかったけど。

先生の手が服越しに、おしりの割れ目に指を差し込んできた。僕は先生の手を払い、何事もなかったかのように席に戻った。そして手を挙げる。

「ん?どうしたんだい圭吾くん」

「先生。刑法第176条って何か知ってますか?」

「え?突然どうしたんだい?」

「刑法第176条。強制わいせつ罪。13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする」

「な…」

「あと、東京都の迷惑防止条例の条文では、公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れることを禁止しています。それを犯せば6か月以下の懲役または50万円以下の罰金。…先生、50万円支払えますか?」

「…圭吾くん。おくちにチャックしようか」

先生はプルプル震えながら静かにそう言った。僕は手を下ろしてぺこりと頭を下げた。それを見ていた生徒たちは、僕が言ったことを全く理解できてなかったけど、難しいことをスラスラ話した僕を見て「かっけぇ…!」と囁いていた。僕の言いたいことが分かったのはスルトだけだった。

授業が終わった後、スルトが僕に駆け寄ってきた。

「おいケーゴ、先生になにされたんだ」

「たいしたことじゃないよ。お尻触られただけ」

「なにぃ?教育者である大人が子どもに手をだすなど…許せん」

「はあ、そろそろこういうことされる年齢になってきたかぁ…」

前世でも僕が人につきまとわれたり襲われたりし始めたのは10歳の頃からだった。体つきもそれなりになってくるし、何より匂いがきつくなる時期なんだろう。でも、10歳に合う貞操帯がないから、あと2,3年は無防備のまま生活するしかない。先が思いやられる。
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