【完結】【R18BL】Ω嫌いのα侯爵令息にお仕えすることになりました~僕がΩだと絶対にバレてはいけません~

ちゃっぷす

文字の大きさ
上 下
29 / 66
執事なんてきらいです

第二十九話

しおりを挟む
 ここのところロジェの帰りが遅い。この前「ローラン様に毎晩呼び出されて困っているんだ~」と、とっても嬉しそうな顔で愚痴っていた。

 今晩も、ローラン様がいつもおやすみになる時間になってもまだ帰ってこない。

(ロジェ、今もお口でローラン様のお世話をしてるのかな……)

 二人がそういうことをしているところを頭に思い浮かべてしまい、顔が真っ赤になった。
 いけないと分かっていても、どんどん想像が膨らんでいく。

 そういうことをされているとき、ローラン様はどんな顔をしているのだろう。
 ぼ、僕みたいに変な声が出たりするのかな。

 ローラン様が射精をするとき、どんな感じなんだろう。どんなふうに精液が出るんだろう。
 そういうとき、ロジェは雄々しいけれど、ローラン様はそんな感じじゃなさそう。

「~~……」

 僕はこそこそとベッドに潜り込み、ペニスをいじった。
 こんなことはしちゃいけないって思っているのに、どうしてやめられないんだろう。

 僕がいけないことをしているとき、突然メイドが部屋に入ってきた。

「ロジェさん、いらっしゃいますか?」
「わぁぁぁっ!?」
「あら。エディしかいないのね」

 メイドは僕に全く興味がないらしく、目もくれずに「おかしいわねえ」と呟いた。

「あ、あの、どうしたんですか……?」
「シェフがね、明日の朝食の食材が人数分足りなくて困ってるって言ってて。ロジェさんに相談しようと思ったんだけど……」

 メイドはもう一度「おかしいわねぇ」と呟き、ボソッと言った。

「かわいらしいメイドを連れて出て行ったから、自室で楽しんでるんだろうと思ったんだけど……」
「え?」
「どこで戯れているのかしら、全く」

 それだけ言い残し、メイドが部屋を出て行った。

 血の気が引いた。
 ロジェがかわいいメイドを連れて出て行った?
 でもここに帰ってきていない……

「……まさか」

 僕は部屋を飛び出し、ローラン様の部屋をめがけて走った。

 ロジェは、ローラン様がショックを起こさないように、女の人と無理やり性交させている。
 ローラン様がショックを起こすのは、僕の発情期が来る一週間前くらい。

 ちょうど、今の時期だ。

 ロジェは懲りずに、ローラン様の部屋にメイドを連れて行ったに違いない。
 ローラン様が死ぬほど辛がることをさせるために。

 僕以外にそれを止める人はいない。僕が止めてあげなきゃ。助けてあげるんだ、ローラン様を……!


 ◆◆◆
(ローランside)

 その夜、ロジェは約束を破り、女を連れてきた。

「どうして……!! お前一人で来いと言ったのに……!!」
「私もメイドも、口内も膣内も、どれも同じようなものでしょう。その滾りきった性欲をこの子で発散なさい」
「いやに決まっているだろう!! おいメイド! さっさと出ていけ!!」
「全く……。しようのない方ですねえ。あなたが暴れるから、寝込みを襲ったり、私が押さえつけたりしないといけなくなるんですよ」

 ロジェが暴れる僕をベッドに押さえつける。その隙にメイドが僕のズボンを脱がせ、甘い声で僕の名前を呼ぶ。

「ローラン様……」
「やめろっ!! 出ていけっ! 出て行けぇぇっ!!」
「失礼、いたします……」
「やめっ……」

 メイドが僕のペニスを咥えた。ひなびたペニスは、メイドに刺激されるごとにだんだん反り返っていく。

「どうして……っ!」

 嫌なのに。こんなにも気持ち悪いのに。どうして体が反応するんだ……っ!!

 メイドがペニスから顔を離す。
 ロジェは僕のペニスを見て、クスッと笑った。

「ご覧なさい、ローラン様。私以外の口内でも、しっかり勃起しました」
「やめろっ……離れろ……止めさせろ、ロジェ……」

 ロジェは僕を無視して、メイドに合図を送る。
 するとメイドが僕にまたがった。

「やめ……やめろ……。あっちいけ……」
「ローラン様……失礼、いたします……」
「いやだ……いやだっ……ロジェ……助けて……っ」
「んっ……」

 メイドが腰を下ろした瞬間、僕のペニスが肉壁に呑み込まれた。
 こんな行為に快感を得る忌まわしい体に吐き気を催す。自分が許せない。
 耐えがたいほどの自己嫌悪と屈辱感に襲われ、僕の目から涙が溢れた。

「いやだぁあぁあっ!! 離れろっ……! 離れろぉぉぉぉっ!!」
「んっ……あぁ……、あぁ……っ。ローラン様……っ」
「ロジェ……っ!! ロジェッ……!! 助けてっ、助けて……っ!!」

 どうして僕は、僕の手を押さえ付けている相手に助けを求めているんだろう。バカみたいだ。
 こいつは僕を助けてくれない。
 僕を助けてくれるのは、ただ一人――

「……助けて……エディ……ッ」

 ――そのとき、ドアが勢いよく開いた。

「ロジェェェェェッ!! いい加減にしろぉぉぉっ!!」

 あのときと同じことが、本当にまた起こるなんて。

「エディ……ッ」

 エディはメイドをベッドから引きずり下ろしてから、ロジェに殴りかかった。

「いてっ」
「懲りない人ですねあなたは!! ローラン様にこんなことはしちゃダメだって、僕ちゃんと言いましたよね!?」
「あのねえ……私の方が役職が上なのですよ。あなたの指図なんて受けるわけないじゃありませんか」

 エディは頬を膨らませ、僕を抱きしめる。

「ロジェがバカなことを何度やろうと、毎回僕が止めますから!!」

 この腕に、僕は何度救われてきたのだろう。彼からどれほどの真心をもらったのだろう。
 小さいながらも頼もしくあたたかい胸に、僕は顔をうずめた。

 ロジェが黙り込んでいる。さぞ不機嫌な顔をしているのだろうと思い、こっそり盗み見たのだが――

 ロジェは、満足げに笑みを浮かべていた。

「エディ……。あなたは困った人ですねえ」
「困った人なのはあなたですよロジェ!! 何度ローラン様を泣かせれば気が済むんです!!」
「きっと、今日が最後です」
「……?」

 ロジェはコツコツと靴を鳴らし、エディの正面に移動した。そしてエディの顔を覗き込み、艶めかしい手つきで頬を撫でる。

「エディ。あなたはローラン様のお体が大事ではないのですか?」
「もちろん大事ですよ!!」
「そうでしょう。大事なのに、どうして邪魔をするんです?」
「ローラン様が嫌がってるからですよ!! 当たり前のことを訊かないでください!!」
「ええ。ええ。そうでしたね。でしたら――」

 優しい手つきが一変して、乱暴に両頬を掴む。

「うっ……!」
「――あなたがお相手をして差し上げなさい」
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

嫁さんのいる俺はハイスペ男とヤレるジムに通うけど恋愛対象は女です

ルシーアンナ
BL
会員制ハッテンバ スポーツジムでハイスペ攻め漁りする既婚受けの話。 DD×リーマン リーマン×リーマン

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話

gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、 立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。 タイトルそのままですみません。

異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話

深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?

エルフの宰相は狼獣人の国王に求愛されて、気づけば子供ができていた

ミクリ21 (新)
BL
エルフ宰相が狼獣人国王に求愛されてデキちゃう話。

処理中です...