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執事なんてきらいです
第二十九話
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ここのところロジェの帰りが遅い。この前「ローラン様に毎晩呼び出されて困っているんだ~」と、とっても嬉しそうな顔で愚痴っていた。
今晩も、ローラン様がいつもおやすみになる時間になってもまだ帰ってこない。
(ロジェ、今もお口でローラン様のお世話をしてるのかな……)
二人がそういうことをしているところを頭に思い浮かべてしまい、顔が真っ赤になった。
いけないと分かっていても、どんどん想像が膨らんでいく。
そういうことをされているとき、ローラン様はどんな顔をしているのだろう。
ぼ、僕みたいに変な声が出たりするのかな。
ローラン様が射精をするとき、どんな感じなんだろう。どんなふうに精液が出るんだろう。
そういうとき、ロジェは雄々しいけれど、ローラン様はそんな感じじゃなさそう。
「~~……」
僕はこそこそとベッドに潜り込み、ペニスをいじった。
こんなことはしちゃいけないって思っているのに、どうしてやめられないんだろう。
僕がいけないことをしているとき、突然メイドが部屋に入ってきた。
「ロジェさん、いらっしゃいますか?」
「わぁぁぁっ!?」
「あら。エディしかいないのね」
メイドは僕に全く興味がないらしく、目もくれずに「おかしいわねえ」と呟いた。
「あ、あの、どうしたんですか……?」
「シェフがね、明日の朝食の食材が人数分足りなくて困ってるって言ってて。ロジェさんに相談しようと思ったんだけど……」
メイドはもう一度「おかしいわねぇ」と呟き、ボソッと言った。
「かわいらしいメイドを連れて出て行ったから、自室で楽しんでるんだろうと思ったんだけど……」
「え?」
「どこで戯れているのかしら、全く」
それだけ言い残し、メイドが部屋を出て行った。
血の気が引いた。
ロジェがかわいいメイドを連れて出て行った?
でもここに帰ってきていない……
「……まさか」
僕は部屋を飛び出し、ローラン様の部屋をめがけて走った。
ロジェは、ローラン様がショックを起こさないように、女の人と無理やり性交させている。
ローラン様がショックを起こすのは、僕の発情期が来る一週間前くらい。
ちょうど、今の時期だ。
ロジェは懲りずに、ローラン様の部屋にメイドを連れて行ったに違いない。
ローラン様が死ぬほど辛がることをさせるために。
僕以外にそれを止める人はいない。僕が止めてあげなきゃ。助けてあげるんだ、ローラン様を……!
◆◆◆
(ローランside)
その夜、ロジェは約束を破り、女を連れてきた。
「どうして……!! お前一人で来いと言ったのに……!!」
「私もメイドも、口内も膣内も、どれも同じようなものでしょう。その滾りきった性欲をこの子で発散なさい」
「いやに決まっているだろう!! おいメイド! さっさと出ていけ!!」
「全く……。しようのない方ですねえ。あなたが暴れるから、寝込みを襲ったり、私が押さえつけたりしないといけなくなるんですよ」
ロジェが暴れる僕をベッドに押さえつける。その隙にメイドが僕のズボンを脱がせ、甘い声で僕の名前を呼ぶ。
「ローラン様……」
「やめろっ!! 出ていけっ! 出て行けぇぇっ!!」
「失礼、いたします……」
「やめっ……」
メイドが僕のペニスを咥えた。ひなびたペニスは、メイドに刺激されるごとにだんだん反り返っていく。
「どうして……っ!」
嫌なのに。こんなにも気持ち悪いのに。どうして体が反応するんだ……っ!!
メイドがペニスから顔を離す。
ロジェは僕のペニスを見て、クスッと笑った。
「ご覧なさい、ローラン様。私以外の口内でも、しっかり勃起しました」
「やめろっ……離れろ……止めさせろ、ロジェ……」
ロジェは僕を無視して、メイドに合図を送る。
するとメイドが僕にまたがった。
「やめ……やめろ……。あっちいけ……」
「ローラン様……失礼、いたします……」
「いやだ……いやだっ……ロジェ……助けて……っ」
「んっ……」
メイドが腰を下ろした瞬間、僕のペニスが肉壁に呑み込まれた。
こんな行為に快感を得る忌まわしい体に吐き気を催す。自分が許せない。
耐えがたいほどの自己嫌悪と屈辱感に襲われ、僕の目から涙が溢れた。
「いやだぁあぁあっ!! 離れろっ……! 離れろぉぉぉぉっ!!」
「んっ……あぁ……、あぁ……っ。ローラン様……っ」
「ロジェ……っ!! ロジェッ……!! 助けてっ、助けて……っ!!」
どうして僕は、僕の手を押さえ付けている相手に助けを求めているんだろう。バカみたいだ。
こいつは僕を助けてくれない。
僕を助けてくれるのは、ただ一人――
「……助けて……エディ……ッ」
――そのとき、ドアが勢いよく開いた。
「ロジェェェェェッ!! いい加減にしろぉぉぉっ!!」
あのときと同じことが、本当にまた起こるなんて。
「エディ……ッ」
エディはメイドをベッドから引きずり下ろしてから、ロジェに殴りかかった。
「いてっ」
「懲りない人ですねあなたは!! ローラン様にこんなことはしちゃダメだって、僕ちゃんと言いましたよね!?」
「あのねえ……私の方が役職が上なのですよ。あなたの指図なんて受けるわけないじゃありませんか」
エディは頬を膨らませ、僕を抱きしめる。
「ロジェがバカなことを何度やろうと、毎回僕が止めますから!!」
この腕に、僕は何度救われてきたのだろう。彼からどれほどの真心をもらったのだろう。
小さいながらも頼もしくあたたかい胸に、僕は顔をうずめた。
ロジェが黙り込んでいる。さぞ不機嫌な顔をしているのだろうと思い、こっそり盗み見たのだが――
ロジェは、満足げに笑みを浮かべていた。
「エディ……。あなたは困った人ですねえ」
「困った人なのはあなたですよロジェ!! 何度ローラン様を泣かせれば気が済むんです!!」
「きっと、今日が最後です」
「……?」
ロジェはコツコツと靴を鳴らし、エディの正面に移動した。そしてエディの顔を覗き込み、艶めかしい手つきで頬を撫でる。
「エディ。あなたはローラン様のお体が大事ではないのですか?」
「もちろん大事ですよ!!」
「そうでしょう。大事なのに、どうして邪魔をするんです?」
「ローラン様が嫌がってるからですよ!! 当たり前のことを訊かないでください!!」
「ええ。ええ。そうでしたね。でしたら――」
優しい手つきが一変して、乱暴に両頬を掴む。
「うっ……!」
「――あなたがお相手をして差し上げなさい」
今晩も、ローラン様がいつもおやすみになる時間になってもまだ帰ってこない。
(ロジェ、今もお口でローラン様のお世話をしてるのかな……)
二人がそういうことをしているところを頭に思い浮かべてしまい、顔が真っ赤になった。
いけないと分かっていても、どんどん想像が膨らんでいく。
そういうことをされているとき、ローラン様はどんな顔をしているのだろう。
ぼ、僕みたいに変な声が出たりするのかな。
ローラン様が射精をするとき、どんな感じなんだろう。どんなふうに精液が出るんだろう。
そういうとき、ロジェは雄々しいけれど、ローラン様はそんな感じじゃなさそう。
「~~……」
僕はこそこそとベッドに潜り込み、ペニスをいじった。
こんなことはしちゃいけないって思っているのに、どうしてやめられないんだろう。
僕がいけないことをしているとき、突然メイドが部屋に入ってきた。
「ロジェさん、いらっしゃいますか?」
「わぁぁぁっ!?」
「あら。エディしかいないのね」
メイドは僕に全く興味がないらしく、目もくれずに「おかしいわねえ」と呟いた。
「あ、あの、どうしたんですか……?」
「シェフがね、明日の朝食の食材が人数分足りなくて困ってるって言ってて。ロジェさんに相談しようと思ったんだけど……」
メイドはもう一度「おかしいわねぇ」と呟き、ボソッと言った。
「かわいらしいメイドを連れて出て行ったから、自室で楽しんでるんだろうと思ったんだけど……」
「え?」
「どこで戯れているのかしら、全く」
それだけ言い残し、メイドが部屋を出て行った。
血の気が引いた。
ロジェがかわいいメイドを連れて出て行った?
でもここに帰ってきていない……
「……まさか」
僕は部屋を飛び出し、ローラン様の部屋をめがけて走った。
ロジェは、ローラン様がショックを起こさないように、女の人と無理やり性交させている。
ローラン様がショックを起こすのは、僕の発情期が来る一週間前くらい。
ちょうど、今の時期だ。
ロジェは懲りずに、ローラン様の部屋にメイドを連れて行ったに違いない。
ローラン様が死ぬほど辛がることをさせるために。
僕以外にそれを止める人はいない。僕が止めてあげなきゃ。助けてあげるんだ、ローラン様を……!
◆◆◆
(ローランside)
その夜、ロジェは約束を破り、女を連れてきた。
「どうして……!! お前一人で来いと言ったのに……!!」
「私もメイドも、口内も膣内も、どれも同じようなものでしょう。その滾りきった性欲をこの子で発散なさい」
「いやに決まっているだろう!! おいメイド! さっさと出ていけ!!」
「全く……。しようのない方ですねえ。あなたが暴れるから、寝込みを襲ったり、私が押さえつけたりしないといけなくなるんですよ」
ロジェが暴れる僕をベッドに押さえつける。その隙にメイドが僕のズボンを脱がせ、甘い声で僕の名前を呼ぶ。
「ローラン様……」
「やめろっ!! 出ていけっ! 出て行けぇぇっ!!」
「失礼、いたします……」
「やめっ……」
メイドが僕のペニスを咥えた。ひなびたペニスは、メイドに刺激されるごとにだんだん反り返っていく。
「どうして……っ!」
嫌なのに。こんなにも気持ち悪いのに。どうして体が反応するんだ……っ!!
メイドがペニスから顔を離す。
ロジェは僕のペニスを見て、クスッと笑った。
「ご覧なさい、ローラン様。私以外の口内でも、しっかり勃起しました」
「やめろっ……離れろ……止めさせろ、ロジェ……」
ロジェは僕を無視して、メイドに合図を送る。
するとメイドが僕にまたがった。
「やめ……やめろ……。あっちいけ……」
「ローラン様……失礼、いたします……」
「いやだ……いやだっ……ロジェ……助けて……っ」
「んっ……」
メイドが腰を下ろした瞬間、僕のペニスが肉壁に呑み込まれた。
こんな行為に快感を得る忌まわしい体に吐き気を催す。自分が許せない。
耐えがたいほどの自己嫌悪と屈辱感に襲われ、僕の目から涙が溢れた。
「いやだぁあぁあっ!! 離れろっ……! 離れろぉぉぉぉっ!!」
「んっ……あぁ……、あぁ……っ。ローラン様……っ」
「ロジェ……っ!! ロジェッ……!! 助けてっ、助けて……っ!!」
どうして僕は、僕の手を押さえ付けている相手に助けを求めているんだろう。バカみたいだ。
こいつは僕を助けてくれない。
僕を助けてくれるのは、ただ一人――
「……助けて……エディ……ッ」
――そのとき、ドアが勢いよく開いた。
「ロジェェェェェッ!! いい加減にしろぉぉぉっ!!」
あのときと同じことが、本当にまた起こるなんて。
「エディ……ッ」
エディはメイドをベッドから引きずり下ろしてから、ロジェに殴りかかった。
「いてっ」
「懲りない人ですねあなたは!! ローラン様にこんなことはしちゃダメだって、僕ちゃんと言いましたよね!?」
「あのねえ……私の方が役職が上なのですよ。あなたの指図なんて受けるわけないじゃありませんか」
エディは頬を膨らませ、僕を抱きしめる。
「ロジェがバカなことを何度やろうと、毎回僕が止めますから!!」
この腕に、僕は何度救われてきたのだろう。彼からどれほどの真心をもらったのだろう。
小さいながらも頼もしくあたたかい胸に、僕は顔をうずめた。
ロジェが黙り込んでいる。さぞ不機嫌な顔をしているのだろうと思い、こっそり盗み見たのだが――
ロジェは、満足げに笑みを浮かべていた。
「エディ……。あなたは困った人ですねえ」
「困った人なのはあなたですよロジェ!! 何度ローラン様を泣かせれば気が済むんです!!」
「きっと、今日が最後です」
「……?」
ロジェはコツコツと靴を鳴らし、エディの正面に移動した。そしてエディの顔を覗き込み、艶めかしい手つきで頬を撫でる。
「エディ。あなたはローラン様のお体が大事ではないのですか?」
「もちろん大事ですよ!!」
「そうでしょう。大事なのに、どうして邪魔をするんです?」
「ローラン様が嫌がってるからですよ!! 当たり前のことを訊かないでください!!」
「ええ。ええ。そうでしたね。でしたら――」
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