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セドラン侯爵家のボーイになりました
第六話
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今日から僕はセドラン侯爵家のボーイだ。
制服として、白いシャツにハーフパンツ型のスーツ、そして黒い蝶ネクタイを支給された。どれも上等な生地で作られた新品だ。
制服に着替えた僕を、執事がじろじろ見つめる。
「ふむ。服を替えただけでずいぶん見栄えが良くなりましたね」
「あ、ありがとうございます……」
「今まで気付きませんでしたが、あなたもなかなか美しい」
「い、いえ……そんな、めっそうもない……」
「まあ、ローラン様の足元にも及びませんが」
「と、当然です……! ぼ、僕は見たことないですけど……」
「ええ。ええ。ローラン様は世界で一番美しい方です。十五歳とはとても思えないほど美しいですよ。きっとエディも驚くにちがいありません」
「……」
「それに根はとてもお優しい方なのです。それに時たま見せる微笑みがまるで天使のようで――」
「……」
面談のときから薄々気付いていたけれど、この執事、ローラン様のこと相当溺愛しているんだろうな……
ローラン様を満足するまでベタ褒めしたあと、執事は僕が元々着ていた服を手に取りにっこり笑った。
「この小汚い服は捨ててしまいましょう。雑巾にもなりませんし」
それでも一番良い服を着てきたつもりだったのに……! 僕の一張羅は雑巾以下か……!
「さて。早速ですがあなたの主人にご挨拶にいきましょう」
「は、はいっ……!」
「ローラン様は警戒心がお強い方です。はじめはきつく当たられるかもしれませんが、根気強く丁寧に接して差し上げてください」
「分かりました……!」
僕は執事のあとについて行った。なんて大きなお屋敷なんだろう。廊下が長い。窓も扉もたくさんある。
執事があるドアの前で立ち止まる。軽くノックをして少しドアを開けたとき――
部屋の中から、少年の叫び声が聞こえた。
「僕に近寄るな!! 汚らわしいオメガが!!」
ひゅん、と心臓が縮こまる。
どうして。もうバレた? 薬はきっちり飲んだはずなのに、どうして――
「エディ」
執事に声をかけられ、我に返った。
執事は口元に人差し指を当て、「静かに待ちなさい」と合図をしている。
「……?」
耳をすませると、部屋の中にもう一人いるようだった。
声からして、女性のようだ。
「ローラン様の肩に虫が留まったので、それを払おうとしただけで……」
「うるさい! どんな理由があっても僕に触れるな!!」
「も、申し訳ございません……!」
「お前……発情期が近いだろう……」
「……は、はい……」
「フェロモンが漏れているぞ」
「っ……、も、申し訳――」
「その匂いを嗅ぐと気分が悪くなる……!! 発情期が終わるまで、僕の部屋に絶対に入ってくるな。分かったな!!」
「は、はいっ……」
「さっさと出ていけ!!」
「はい……! し、失礼いたします……!!」
そのすぐあと、泣いているメイドが部屋から出てきた。執事に気付いた彼女は、小さく頭を下げてから、廊下を走り去っていった。
「……」
僕はメイドの後ろ姿を目で追った。
確かに彼女からオメガのフェロモンの匂いがした。でも、ほんの少しだ。
ローラン様はオメガの匂いにとても敏感なのだろう。
「エディ。なにをボーッとしているのです」
「あっ……。すみませんっ」
「入りますよ」
執事が部屋に入ると、ローラン様が頬を膨らませた。
「ロジェ……。オメガは全員解雇しろ」
「それは難しいですね」
「だったら僕の部屋にだけは絶対に入れるな、と何度言えば分かる」
「申し訳ございません」
「どうせお父様の差し金なのだろうが……不快でしかないからやめろと伝えてくれ」
「……かしこまりました」
ガクガク震えている僕を、執事が小突く。
僕は慌てて顔を上げ、ハッと息を呑んだ。
はじめてローラン様の姿をこの目に映した僕は……
この世にこんなにきれいな人がいるのかと、びっくりした。
さらさらのプラチナブロンドの髪に、透き通った翡翠色の大きな瞳。しかめっ面をしていても、彼の美しさはひとつも損なわれていない。
腑抜けた顔で突っ立っていると、また執事に小突かれた。
それから執事が僕を紹介する。
「今日から働くことになった、エディです。エディ、こちらはエドラン侯爵のご令息、ローラン様です」
「は、はじめまして……!」
「ローラン様、今日から彼があなたの身の回りのお世話をいたしますので」
それを聞いたローラン様が、さらに顔をしわくちゃにした。
「身の回りの世話? 必要ない。今まで通りロジェがすればいい」
「ローラン様……。私だってあなたのお世話を一から百までして差し上げたいのですがね。私、こう見えても忙しいのです。もう少し睡眠時間が欲しいのです」
「……」
どうやら、ローラン様も鬼ではないようだ。「執事の睡眠時間なんて知ったことか」とは思っていないらしい。
ローラン様は、僕に警戒心たっぷりの目を向けた。そして手招きをする。
「……ボーイ。こっちに来い」
「は、はい……」
ローラン様と二メートルほど離れたところに立つと、「もっとこっちに」と言われた。一歩、また一歩、と近づく度に、「もっと」と言われ、最終的には膝と膝がくっつきそうなほど近くに立つことになった。
「僕の耳に顔を近づけろ」
「え……」
「早く」
「は、はい……」
え。なに。何をさせられているんだろう。
おそるおそるローラン様に顔を寄せる。そんな僕の首元に、ローラン様が鼻を近づけた。
(匂いを確かめられてる……)
そう気付き、全身から冷や汗が噴き出した。
フェロモンを抑える薬は飲んでいる。だけど、先ほどの様子から見て、ローラン様はかなりオメガのフェロモンに 敏感なのだろう。
もし、僕がオメガだとバレてしまったら――
「……確かに、ベータだな。匂いが全くしない」
ホッとして膝から崩れ落ちそうになった。
ローラン様が執事に問いかけている。
「エディはロジェが選んだのか?」
「はい」
「僕の身の回りの世話を任せるなんて。よほどエディを信頼しているのだな」
「ええ。禁断の質問をしたときの、彼の表情をあなたにも見せて差し上げたかったですよ」
「ほう」
ローラン様が僕に目を向けた。
「エディ、僕に抱かれるのがそんなに嫌か?」
「ひっ……!? い、いえ!? そ、そそそ、そんなこと、ありませんよ!? こ、光栄でございます……ヒィィ……」
「ふふ。咄嗟に僕から距離を取ったな? それに、なんて怯えた顔をしているんだ」
「い、いえっ……お、怯えてなんて……いませんよぉ……!?」
「心配するな。僕はそういったことを好まない。だから――」
ローラン様の目が、冷たく光る。
「間違っても僕に触れるなよ」
制服として、白いシャツにハーフパンツ型のスーツ、そして黒い蝶ネクタイを支給された。どれも上等な生地で作られた新品だ。
制服に着替えた僕を、執事がじろじろ見つめる。
「ふむ。服を替えただけでずいぶん見栄えが良くなりましたね」
「あ、ありがとうございます……」
「今まで気付きませんでしたが、あなたもなかなか美しい」
「い、いえ……そんな、めっそうもない……」
「まあ、ローラン様の足元にも及びませんが」
「と、当然です……! ぼ、僕は見たことないですけど……」
「ええ。ええ。ローラン様は世界で一番美しい方です。十五歳とはとても思えないほど美しいですよ。きっとエディも驚くにちがいありません」
「……」
「それに根はとてもお優しい方なのです。それに時たま見せる微笑みがまるで天使のようで――」
「……」
面談のときから薄々気付いていたけれど、この執事、ローラン様のこと相当溺愛しているんだろうな……
ローラン様を満足するまでベタ褒めしたあと、執事は僕が元々着ていた服を手に取りにっこり笑った。
「この小汚い服は捨ててしまいましょう。雑巾にもなりませんし」
それでも一番良い服を着てきたつもりだったのに……! 僕の一張羅は雑巾以下か……!
「さて。早速ですがあなたの主人にご挨拶にいきましょう」
「は、はいっ……!」
「ローラン様は警戒心がお強い方です。はじめはきつく当たられるかもしれませんが、根気強く丁寧に接して差し上げてください」
「分かりました……!」
僕は執事のあとについて行った。なんて大きなお屋敷なんだろう。廊下が長い。窓も扉もたくさんある。
執事があるドアの前で立ち止まる。軽くノックをして少しドアを開けたとき――
部屋の中から、少年の叫び声が聞こえた。
「僕に近寄るな!! 汚らわしいオメガが!!」
ひゅん、と心臓が縮こまる。
どうして。もうバレた? 薬はきっちり飲んだはずなのに、どうして――
「エディ」
執事に声をかけられ、我に返った。
執事は口元に人差し指を当て、「静かに待ちなさい」と合図をしている。
「……?」
耳をすませると、部屋の中にもう一人いるようだった。
声からして、女性のようだ。
「ローラン様の肩に虫が留まったので、それを払おうとしただけで……」
「うるさい! どんな理由があっても僕に触れるな!!」
「も、申し訳ございません……!」
「お前……発情期が近いだろう……」
「……は、はい……」
「フェロモンが漏れているぞ」
「っ……、も、申し訳――」
「その匂いを嗅ぐと気分が悪くなる……!! 発情期が終わるまで、僕の部屋に絶対に入ってくるな。分かったな!!」
「は、はいっ……」
「さっさと出ていけ!!」
「はい……! し、失礼いたします……!!」
そのすぐあと、泣いているメイドが部屋から出てきた。執事に気付いた彼女は、小さく頭を下げてから、廊下を走り去っていった。
「……」
僕はメイドの後ろ姿を目で追った。
確かに彼女からオメガのフェロモンの匂いがした。でも、ほんの少しだ。
ローラン様はオメガの匂いにとても敏感なのだろう。
「エディ。なにをボーッとしているのです」
「あっ……。すみませんっ」
「入りますよ」
執事が部屋に入ると、ローラン様が頬を膨らませた。
「ロジェ……。オメガは全員解雇しろ」
「それは難しいですね」
「だったら僕の部屋にだけは絶対に入れるな、と何度言えば分かる」
「申し訳ございません」
「どうせお父様の差し金なのだろうが……不快でしかないからやめろと伝えてくれ」
「……かしこまりました」
ガクガク震えている僕を、執事が小突く。
僕は慌てて顔を上げ、ハッと息を呑んだ。
はじめてローラン様の姿をこの目に映した僕は……
この世にこんなにきれいな人がいるのかと、びっくりした。
さらさらのプラチナブロンドの髪に、透き通った翡翠色の大きな瞳。しかめっ面をしていても、彼の美しさはひとつも損なわれていない。
腑抜けた顔で突っ立っていると、また執事に小突かれた。
それから執事が僕を紹介する。
「今日から働くことになった、エディです。エディ、こちらはエドラン侯爵のご令息、ローラン様です」
「は、はじめまして……!」
「ローラン様、今日から彼があなたの身の回りのお世話をいたしますので」
それを聞いたローラン様が、さらに顔をしわくちゃにした。
「身の回りの世話? 必要ない。今まで通りロジェがすればいい」
「ローラン様……。私だってあなたのお世話を一から百までして差し上げたいのですがね。私、こう見えても忙しいのです。もう少し睡眠時間が欲しいのです」
「……」
どうやら、ローラン様も鬼ではないようだ。「執事の睡眠時間なんて知ったことか」とは思っていないらしい。
ローラン様は、僕に警戒心たっぷりの目を向けた。そして手招きをする。
「……ボーイ。こっちに来い」
「は、はい……」
ローラン様と二メートルほど離れたところに立つと、「もっとこっちに」と言われた。一歩、また一歩、と近づく度に、「もっと」と言われ、最終的には膝と膝がくっつきそうなほど近くに立つことになった。
「僕の耳に顔を近づけろ」
「え……」
「早く」
「は、はい……」
え。なに。何をさせられているんだろう。
おそるおそるローラン様に顔を寄せる。そんな僕の首元に、ローラン様が鼻を近づけた。
(匂いを確かめられてる……)
そう気付き、全身から冷や汗が噴き出した。
フェロモンを抑える薬は飲んでいる。だけど、先ほどの様子から見て、ローラン様はかなりオメガのフェロモンに 敏感なのだろう。
もし、僕がオメガだとバレてしまったら――
「……確かに、ベータだな。匂いが全くしない」
ホッとして膝から崩れ落ちそうになった。
ローラン様が執事に問いかけている。
「エディはロジェが選んだのか?」
「はい」
「僕の身の回りの世話を任せるなんて。よほどエディを信頼しているのだな」
「ええ。禁断の質問をしたときの、彼の表情をあなたにも見せて差し上げたかったですよ」
「ほう」
ローラン様が僕に目を向けた。
「エディ、僕に抱かれるのがそんなに嫌か?」
「ひっ……!? い、いえ!? そ、そそそ、そんなこと、ありませんよ!? こ、光栄でございます……ヒィィ……」
「ふふ。咄嗟に僕から距離を取ったな? それに、なんて怯えた顔をしているんだ」
「い、いえっ……お、怯えてなんて……いませんよぉ……!?」
「心配するな。僕はそういったことを好まない。だから――」
ローラン様の目が、冷たく光る。
「間違っても僕に触れるなよ」
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