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ありがとうの色
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先ほどから体がひどく寒い。冷たい床に体温をどんどん奪われていく感覚に襲われる。
目を開けば、薄暗い路地のような光景が広がっていた。頭がぼんやりとしていて、ここがどこで自分が誰なのか思い出せない。
少し先に見える微かな光を頼りに這いつくばるようにして進もうとするが、力の入らない体では動くことが難しかった。
ーまた、死にたくない。
………また?死ぬのが初めてではないとでもいうのか。無意識に出た考えに頭を悩ます。
突然誰もいないはずの狭い通りで、硬い靴音が響く。
「あなたはだれ?」
またも無意識に出た言葉に知らない記憶が蘇る。
足が目の前で止まった。見上げれば知らない男が立っている。その哀しそうな目にどこか懐かしさを感じる。
「わたしをたすけてくれるの?」
男のぎこちなく、しかし穏やかに微笑んだ表情に、私は安心感に包まれ、静かな眠りへと落ちていった。
~~~~~~~
暖かな温もりとお日様の匂いに包まれたベッドが私の目覚めを促した。
目を開けてすぐに飛び込んできたのはそばで眠る男の姿。
自分の手を握りしめ、そばで寄り添ってくれる存在に思わず涙が溢れる。
泣き声に驚き起きた男は泣き出した私を宥めるように抱きしめ背中をさする。背中に感じる安心感が堰き止めていた感情全てを引き出した。大粒の涙と嗚咽は止まるところを知らない。
それでも、私が泣き止むまで男はずっと離れなかった。
落ち着いた頃には喉が渇き切っていたが、心には何の詰まりもなく、窓から見える鮮やかな青色がはっきりと見えた。
ー生きている。
その言葉で表すには十分過ぎるほどの気持ちだった。
「ありがとう」
彼に伝えるのは、この言葉しかないと思った。
目を開けば、薄暗い路地のような光景が広がっていた。頭がぼんやりとしていて、ここがどこで自分が誰なのか思い出せない。
少し先に見える微かな光を頼りに這いつくばるようにして進もうとするが、力の入らない体では動くことが難しかった。
ーまた、死にたくない。
………また?死ぬのが初めてではないとでもいうのか。無意識に出た考えに頭を悩ます。
突然誰もいないはずの狭い通りで、硬い靴音が響く。
「あなたはだれ?」
またも無意識に出た言葉に知らない記憶が蘇る。
足が目の前で止まった。見上げれば知らない男が立っている。その哀しそうな目にどこか懐かしさを感じる。
「わたしをたすけてくれるの?」
男のぎこちなく、しかし穏やかに微笑んだ表情に、私は安心感に包まれ、静かな眠りへと落ちていった。
~~~~~~~
暖かな温もりとお日様の匂いに包まれたベッドが私の目覚めを促した。
目を開けてすぐに飛び込んできたのはそばで眠る男の姿。
自分の手を握りしめ、そばで寄り添ってくれる存在に思わず涙が溢れる。
泣き声に驚き起きた男は泣き出した私を宥めるように抱きしめ背中をさする。背中に感じる安心感が堰き止めていた感情全てを引き出した。大粒の涙と嗚咽は止まるところを知らない。
それでも、私が泣き止むまで男はずっと離れなかった。
落ち着いた頃には喉が渇き切っていたが、心には何の詰まりもなく、窓から見える鮮やかな青色がはっきりと見えた。
ー生きている。
その言葉で表すには十分過ぎるほどの気持ちだった。
「ありがとう」
彼に伝えるのは、この言葉しかないと思った。
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