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校長との再会
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「セオドア校長!!た、助けて下さい!先生が…先生が…。う、ううっ…」
僕達はフィーナ妃の作ったゲートで一気に学園まで戻ってきた。ゲートの先で、セオドア校長が僕達を迎え入れてくれた。
「うむ。ピート、ご苦労じゃった…。フィーナ殿から大方聞いておったが…。そうか、間に合わんかったのか…。」
アレンが先生をベッドに横たえれば、教え子の変わり果てた姿に、校長は静かに目を閉じた。
城の祝賀会に呼ばれ学園を発ってから、随分と長く帰れなかった。本当は2日程の滞在の予定だったのだが、早数ヶ月経ってしまった。
その間、校長に連絡をする暇は殆どなく、旅の途中に町に寄れた時にだけ、先生が嫉妬するアレンに隠れて、校長に手紙をしたためたくらいだった。
「…すまねぇ…俺が付いて居ながら、守り切れなかった。」
アレンが首を垂れる。
「いいや、お主が一番辛いのであろう…。ワシがオーディウスの変化に気付いていれば、ファガスを城にやらなんだのに…」
重苦しい空気が場を静寂させる。皆一様に先生を守れなかった事に責任を感じていたのだ。
結局、王は魔王の精神に操られていたのだ。過去、四英雄が魔王を封印したが、20年の時を経て精神が復活してしまい、先生に邪な思いを抱いた王に取り憑いたのだ。
王と性交する度に、先生の淫紋が広がっていったのも魔王の淫の気によるものだろう。
先生は皆が見守るベッドの上で、うなされていた。
はぁはぁと苦しそうに呼吸して、脂汗を浮かべて。
「…ああ…、お許しを…、、、オーディウスさま、、ファガスは、も、もう、、お腹がはち切れてしまいますっ…それ以上はっ…あっ、ああぁぁーー!!」
未だ譫言ですら、王に許しを乞うているのだ。
「…セオドア校長…、先生が目覚める前に、処置をしないと…」
「…うむ、まずは状況を確認せねば…、可愛い教え子の辛い状況は見とうないが、したあるまい。ふぅ…」
校長が術を唱え、先生のお腹の中に杖を当てると中が透けてみえた。
予想した通り何十という受精した卵子が、子宮に着床し、早くも分裂を繰り返していた。
「うぅむ、オーディウスのやつ、こんなにファガスの中に自分の子を植え付けおって…、やはり正気とは思えん…。中を掻き出すのは簡単じゃが…、さすればファガスには何も残らんじゃろう…。」
「…何も残らないとは、どういう事だ?」
「…ファガスは既に全ての卵子を排出させられてしまっておる。つまり、アレン、お主の子を身籠る事もできなくなると言う事じゃ。」
「ファガスの命が助かるなら、…俺は構わねぇ…。」
「うむ。じゃが、ファガスがどう思うか…。」
校長は、先生の頬を優しく撫でた。
「私の可愛いファガスが、生きる希望を失くすのは見たくない。…少々の難を伴うが、、エルフの秘術を使うかの。」
校長の説明によれば、極部的に時間を退行させる方法らしい。しかし、かなりのパワーを要するので何度も使える術ではない。試せるのは1度きり。
「時間もない。早速治療にかかるが…、お前たちは疲れたろうから、もう部屋で休むがよい。」
「いや、俺は、ファガスの側に居させてくれ。もう、離れたくはないんだ。」
「だめじゃ…。この治療には集中力が必要なのじゃ。すまぬが、ファガスと2人きりにしておくれ。」
そう言われて、僕達は部屋から半ば強引に追い出されてしまった。
「…先生大丈夫かな?セオドア校長は、どんな術をかけるのだろう…?」
「…今は校長に任せるしか方法はない。だが、1人で部屋で呑気に寝てられるかよ!くそっ…」
僕達は部屋に戻ることも出来ず、校長の部屋の前の廊下で、2人悶々と過ごしたのである。
僕達はフィーナ妃の作ったゲートで一気に学園まで戻ってきた。ゲートの先で、セオドア校長が僕達を迎え入れてくれた。
「うむ。ピート、ご苦労じゃった…。フィーナ殿から大方聞いておったが…。そうか、間に合わんかったのか…。」
アレンが先生をベッドに横たえれば、教え子の変わり果てた姿に、校長は静かに目を閉じた。
城の祝賀会に呼ばれ学園を発ってから、随分と長く帰れなかった。本当は2日程の滞在の予定だったのだが、早数ヶ月経ってしまった。
その間、校長に連絡をする暇は殆どなく、旅の途中に町に寄れた時にだけ、先生が嫉妬するアレンに隠れて、校長に手紙をしたためたくらいだった。
「…すまねぇ…俺が付いて居ながら、守り切れなかった。」
アレンが首を垂れる。
「いいや、お主が一番辛いのであろう…。ワシがオーディウスの変化に気付いていれば、ファガスを城にやらなんだのに…」
重苦しい空気が場を静寂させる。皆一様に先生を守れなかった事に責任を感じていたのだ。
結局、王は魔王の精神に操られていたのだ。過去、四英雄が魔王を封印したが、20年の時を経て精神が復活してしまい、先生に邪な思いを抱いた王に取り憑いたのだ。
王と性交する度に、先生の淫紋が広がっていったのも魔王の淫の気によるものだろう。
先生は皆が見守るベッドの上で、うなされていた。
はぁはぁと苦しそうに呼吸して、脂汗を浮かべて。
「…ああ…、お許しを…、、、オーディウスさま、、ファガスは、も、もう、、お腹がはち切れてしまいますっ…それ以上はっ…あっ、ああぁぁーー!!」
未だ譫言ですら、王に許しを乞うているのだ。
「…セオドア校長…、先生が目覚める前に、処置をしないと…」
「…うむ、まずは状況を確認せねば…、可愛い教え子の辛い状況は見とうないが、したあるまい。ふぅ…」
校長が術を唱え、先生のお腹の中に杖を当てると中が透けてみえた。
予想した通り何十という受精した卵子が、子宮に着床し、早くも分裂を繰り返していた。
「うぅむ、オーディウスのやつ、こんなにファガスの中に自分の子を植え付けおって…、やはり正気とは思えん…。中を掻き出すのは簡単じゃが…、さすればファガスには何も残らんじゃろう…。」
「…何も残らないとは、どういう事だ?」
「…ファガスは既に全ての卵子を排出させられてしまっておる。つまり、アレン、お主の子を身籠る事もできなくなると言う事じゃ。」
「ファガスの命が助かるなら、…俺は構わねぇ…。」
「うむ。じゃが、ファガスがどう思うか…。」
校長は、先生の頬を優しく撫でた。
「私の可愛いファガスが、生きる希望を失くすのは見たくない。…少々の難を伴うが、、エルフの秘術を使うかの。」
校長の説明によれば、極部的に時間を退行させる方法らしい。しかし、かなりのパワーを要するので何度も使える術ではない。試せるのは1度きり。
「時間もない。早速治療にかかるが…、お前たちは疲れたろうから、もう部屋で休むがよい。」
「いや、俺は、ファガスの側に居させてくれ。もう、離れたくはないんだ。」
「だめじゃ…。この治療には集中力が必要なのじゃ。すまぬが、ファガスと2人きりにしておくれ。」
そう言われて、僕達は部屋から半ば強引に追い出されてしまった。
「…先生大丈夫かな?セオドア校長は、どんな術をかけるのだろう…?」
「…今は校長に任せるしか方法はない。だが、1人で部屋で呑気に寝てられるかよ!くそっ…」
僕達は部屋に戻ることも出来ず、校長の部屋の前の廊下で、2人悶々と過ごしたのである。
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