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エルフの里に
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翌朝、僕たちは城から旅立った。
表向きは、王子と妃の為の子宝の実を求める旅だ。王の宣言もあり、四英雄の2人が友の為に立ち上がったという話を国民は信じ、僕たちは盛大に送り出された。
しかし、その裏では、王に先生の紋の秘密を握られ、仕方なしの旅立ちであった。
僕たちは馬車を貸し出され、アレンと僕が交代で馬を操った。
エルフの里への道は、古い地図と僕の千里眼が役に立った。
まだ王の陵辱の傷が癒えていない先生は、馬車の荷台で身体を休め、出発時からずっと馬を操ってくれたアレンに代わり、僕が御者席に移り手綱をとっている。
馬を操りながらも2人の様子が気になってしまい、つい荷台の中を千里眼で伺ってしまう。
『コホン…』
『………』
先程からずーっと2人を覗いているのだが、アレンと先生の距離感が微妙である。いつもなら憎まれ口を叩き合う2人なのに、出発してから終始無言なのだ。
アレンが何かを言おうとして押し黙り、先生も無言ながらチラチラとアレンの様子を伺っている。
意識し合っているのは痛い程分かるのに、2人とも行動に移せないのだ。
そもそも、アレンが先生にふわっとした告白をしてから、怒涛の展開で今に至るのである。2人でモジモジしているのも仕方ないといえよう。
先生だって、あんな陵辱の後を見られてしまい、どうアレンと向き合えば良いか微妙なのだと思うし、
アレンはアレンで、一世一代の告白の返事が有耶無耶になり、かといって、あんな事件の後に、返事を急かす事もできないだろう。
2人が狭い荷台の中で、なんとなく目を合わせないのが、僕としては非常にやり難いのだ。
良い大人な上に英雄と崇められている2人が、学生の初恋みたいになっているなんて、民衆達が知ったらさぞ驚くだろう。
(ん?あれ?アレンの手が…)
千里眼をよーく凝らして見れば、アレンの手が横に並んだ先生の手にジワジワと近づいている!!
ゆっくり過ぎて、今まで気が付かなかったが、もう少しで指先が触れそうなくらいまで近づいているではないか!!
わっ!!指先がついに触れ合った!
先生はハッとした顔をして、さっと手を引っ込めようとしたが、アレンはそれより先に反応し、先生の手をギュッと掴んだ。
『あっ…!!』
反射的に2人の目が合った。
『…ファガス…』
『…ア、アレン…』
『『あ、あの…っ』』
同時に2人で喋り出してしまい、また黙ってしまう。
(ああ!もう焦ったいな!ティーンかよ!!)
自分の恋路も忘れて、思わず2人を応援してしまった。
『…ア、アレン。昨夜は…ありがとう。お前が助けに来てくれて、本当に嬉しかった。』
お、ついに先生が喋り出した。顔も赤いし、目も伏せてしまっているけど、アレンに握られた手はそのままだ。
『お、おお…、そんな事当たり前だろ、な、仲間だし!!』
いやいや、アレンもそこは仲間じゃなくて「愛してるから」って言えばいいのに…。でも、変わらず先生の手をギュッと握っている。
『…しかし…、あんな姿を見られてしまって、私は…』
『…フ、ファガス』
ああ!アレンが先生を引き寄せて抱きしめた!
『そんな事は気にするな。私はお前のどんな姿を見ても、気持ちは変わら…(ガタン!)、、うわぁ!!?』
とてもいい所だった!
もう少しだったのに、なんと僕たちの馬車は魔物の残党に襲われてしまったのだ。
馬車は横倒しになり、あっという間に魔物達に囲まれる。
「わーー!アレン、助けてー!」
「…っ、ピート今行く!!」
その残党は数が多く、魔術師の卵の僕には荷が重かった。
アレンと先生が急いで荷台から出てきてくれ、あっという間に殲滅してくれたが、奇襲を受けた際に僕は結構な傷を負ってしまった。
「ピート、大丈夫か?」
先生が優しく傷の手当をしてくれた。
「警戒を怠った、すまん。」
アレンは気まずそうに謝ってくれたのだが、2人のモジモジ恋の行方が気になって覗き見してたから敵に気付けなかった僕の所為だ。
「この傷では馬は操れんな、中で休んでいろ。」
アレンが操縦を変わってくれた。
ああ、不覚だ!
これで2人の恋路の進展は一旦休憩。
焦ったいけど、旅が進むにつれて、2人の恋路は進展するだろうか?
エルフの里に着くころにはラブラブで目のやり場に困るくらいになっているかもしれない…なんて思いながら、僕は荷台の中で看病してくれる先生に甘えまくることになるのだ。
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
BL大賞で投票いただいた方、ありがとうございます!只今ギリギリ99位におります!
旧作の「俺⭐︎彼」のが順位も24hポイントも高くて受けました。あっちは話数がエグくて新作が勝てないw
エロなし回が続きましたが、次回はピート×ファガスのエロにしようかなぁと思います!
表向きは、王子と妃の為の子宝の実を求める旅だ。王の宣言もあり、四英雄の2人が友の為に立ち上がったという話を国民は信じ、僕たちは盛大に送り出された。
しかし、その裏では、王に先生の紋の秘密を握られ、仕方なしの旅立ちであった。
僕たちは馬車を貸し出され、アレンと僕が交代で馬を操った。
エルフの里への道は、古い地図と僕の千里眼が役に立った。
まだ王の陵辱の傷が癒えていない先生は、馬車の荷台で身体を休め、出発時からずっと馬を操ってくれたアレンに代わり、僕が御者席に移り手綱をとっている。
馬を操りながらも2人の様子が気になってしまい、つい荷台の中を千里眼で伺ってしまう。
『コホン…』
『………』
先程からずーっと2人を覗いているのだが、アレンと先生の距離感が微妙である。いつもなら憎まれ口を叩き合う2人なのに、出発してから終始無言なのだ。
アレンが何かを言おうとして押し黙り、先生も無言ながらチラチラとアレンの様子を伺っている。
意識し合っているのは痛い程分かるのに、2人とも行動に移せないのだ。
そもそも、アレンが先生にふわっとした告白をしてから、怒涛の展開で今に至るのである。2人でモジモジしているのも仕方ないといえよう。
先生だって、あんな陵辱の後を見られてしまい、どうアレンと向き合えば良いか微妙なのだと思うし、
アレンはアレンで、一世一代の告白の返事が有耶無耶になり、かといって、あんな事件の後に、返事を急かす事もできないだろう。
2人が狭い荷台の中で、なんとなく目を合わせないのが、僕としては非常にやり難いのだ。
良い大人な上に英雄と崇められている2人が、学生の初恋みたいになっているなんて、民衆達が知ったらさぞ驚くだろう。
(ん?あれ?アレンの手が…)
千里眼をよーく凝らして見れば、アレンの手が横に並んだ先生の手にジワジワと近づいている!!
ゆっくり過ぎて、今まで気が付かなかったが、もう少しで指先が触れそうなくらいまで近づいているではないか!!
わっ!!指先がついに触れ合った!
先生はハッとした顔をして、さっと手を引っ込めようとしたが、アレンはそれより先に反応し、先生の手をギュッと掴んだ。
『あっ…!!』
反射的に2人の目が合った。
『…ファガス…』
『…ア、アレン…』
『『あ、あの…っ』』
同時に2人で喋り出してしまい、また黙ってしまう。
(ああ!もう焦ったいな!ティーンかよ!!)
自分の恋路も忘れて、思わず2人を応援してしまった。
『…ア、アレン。昨夜は…ありがとう。お前が助けに来てくれて、本当に嬉しかった。』
お、ついに先生が喋り出した。顔も赤いし、目も伏せてしまっているけど、アレンに握られた手はそのままだ。
『お、おお…、そんな事当たり前だろ、な、仲間だし!!』
いやいや、アレンもそこは仲間じゃなくて「愛してるから」って言えばいいのに…。でも、変わらず先生の手をギュッと握っている。
『…しかし…、あんな姿を見られてしまって、私は…』
『…フ、ファガス』
ああ!アレンが先生を引き寄せて抱きしめた!
『そんな事は気にするな。私はお前のどんな姿を見ても、気持ちは変わら…(ガタン!)、、うわぁ!!?』
とてもいい所だった!
もう少しだったのに、なんと僕たちの馬車は魔物の残党に襲われてしまったのだ。
馬車は横倒しになり、あっという間に魔物達に囲まれる。
「わーー!アレン、助けてー!」
「…っ、ピート今行く!!」
その残党は数が多く、魔術師の卵の僕には荷が重かった。
アレンと先生が急いで荷台から出てきてくれ、あっという間に殲滅してくれたが、奇襲を受けた際に僕は結構な傷を負ってしまった。
「ピート、大丈夫か?」
先生が優しく傷の手当をしてくれた。
「警戒を怠った、すまん。」
アレンは気まずそうに謝ってくれたのだが、2人のモジモジ恋の行方が気になって覗き見してたから敵に気付けなかった僕の所為だ。
「この傷では馬は操れんな、中で休んでいろ。」
アレンが操縦を変わってくれた。
ああ、不覚だ!
これで2人の恋路の進展は一旦休憩。
焦ったいけど、旅が進むにつれて、2人の恋路は進展するだろうか?
エルフの里に着くころにはラブラブで目のやり場に困るくらいになっているかもしれない…なんて思いながら、僕は荷台の中で看病してくれる先生に甘えまくることになるのだ。
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
BL大賞で投票いただいた方、ありがとうございます!只今ギリギリ99位におります!
旧作の「俺⭐︎彼」のが順位も24hポイントも高くて受けました。あっちは話数がエグくて新作が勝てないw
エロなし回が続きましたが、次回はピート×ファガスのエロにしようかなぁと思います!
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