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30 解毒剤の効果
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「無理するともっと痛めるから、二、三日は安静にね。じゃあ、お大事に。」
「はい、ありがとうございましたー。」
翌日、医者に行きレントゲンを撮ったが、マサトの傷は捻挫ですんだようだった。
5日は足を使わないようにと渡された松葉杖が痛々しい。
実際、コンビニで買い物するのすら大変そうである。
しかし、イケメンはこんな時も放ってはおいて貰えないようで、女性がすぐによってきて世話を焼いてくれる。
弱っているイケメンは母性本能をくすぐられるようだ。
まぁ、本人は非常に迷惑そうであるのだが。
そのくせ、俺にはここぞとばかりに頼ってきて面倒くさい。
「ゆうやー、これ持ってー。」
「ゆうやー、TVのリモコン取ってー。」
医者の安静にという言葉を言い訳に、なんでもかんでも俺に言いつけるのだ。
「おい!マサト、いい加減にしろっ!俺はお前のお母さんじゃねーんだよ!」
「えー、だって歩けねーんだもん。しょうがねーじゃん?ピーちゃんに頼むわけにもいかねーし。」
「ぐぬぬぬ、、、!」
「あ!そろそろ3時だ、ピーちゃんと空の散歩しに行こう!」
ボワン!
「クルッポー!」
「ピィー♡♡」
マサトは鳩に変身し、ピーちゃんと共に窓から飛び出していった。
そう、マサトはまだ解毒剤を飲んでいないのた。おまけにピーちゃんに感謝しているようで、ピーちゃん相手にはかゆかゆが出なくなったらしい。
(成る程、鳩の間は飛べるから、脚使わなくても自由に行動できるんだな。)
ピーちゃんは、マサトが鳩に変身してマーちゃんになると言う事を理解し、仲良くやっているようだ。
数時間して仲良く連れ立って戻ってきた二人は、鳥用ヒーターの前で仲良くピーナッツを食べている。
事情を知らない人が見たら、仲の良い鳥カップルに見えるだろう。
ピィピィ、クルッポクルッポと盛んに会話している。
俺には何を喋っているのか分からないから、もの凄い疎外感を感じてしまう。
相方をピーちゃんに奪われた気分だ。
マサトを直す為に、あんなに頑張ったというのに、、。
はっきり言って、すこぶる気分が悪い。
しかし、そんな俺の気も知らず、マサトは人間態に戻っても、ピーちゃんを水浴びさせたり、餌をあげたり、鶏籠の中を掃除したりと甲斐甲斐しい。
おまけにピーちゃんを手のひらに乗せて、一生懸命話しかけてるのである。
「ピーちゃんの羽はキレイだねー♡可愛いねー♡それに、とっても賢いねー♡」
数日前のマサトに見せたらひっくり返りそうな光景だ。
(うーむ、マサトの奴、ピーちゃんと仲良くなったって、どうせ人間に戻るのにな、、。どういうつもりなんだ。)
そんな日が数日続き、マサトの脚も大分治ったようだ。しかし、ピーちゃんを世話してばかりで、一向に解毒剤を飲まないマサトに俺はイライラしてきた。
マサトの松葉杖の外れた5日目の昼に、俺の堪忍袋の尾が切れた。
「おい!マサト、お前、いつ解毒剤飲むんだよ!その為に二人で頑張ったんじゃないか!!」
するとマサトがピーちゃんの水を変える手を止める。
「うーん。あー。そうだな。そろそろ飲むか。ピーちゃんへのお礼もできたしな。」
「じゃあ、さっさと飲めよ!」
マサトに解毒剤の瓶を押し付ける。
しかし、マサトはまだ躊躇しているようだ。
「でもさー、ゆうや、探偵業はどうするよ。俺はさ、関わっちまった以上、遺伝子薬が悪用される危険を取り除きたいのさ。
その為にさ、鳩でいた方が便利な事があるんじゃないかって、、、。」
マサトの気持ちもわかる。
恐らく、ボスに協力する事にした桃香さんのお父さんも同じ思いだろう。
それに、俺達が探偵業を続けるかどうかの答えもまだ決めていない。
でも、そんな事より、俺はマサトが解毒剤を今すぐ飲まなければならない訳を知っている。
「マサト、俺も遺伝子薬の悪用は阻止したい。でも、お前は、今すぐ解毒剤を飲め。気付いてないかもしれないから教えてやるが、始めの頃より確実に鳩の時間が長くなっているぞ。このままだと、、、。」
マサトは人間に戻れなくなる。
それは俺が1番避けたい事態なのだ。
「そうだよな。やっぱり。
じゃあ、薬飲むわ。ピーちゃんにも伝えてあるし。」
マサトが解毒剤の瓶を開け、ピーちゃんの方に目をやると、ピーちゃんが「ピィ」と優しい声で鳴いた。
「うん。ピーちゃんありがとうな。鳥語でおしゃべりも空の散歩もできなくなるけど、俺たちはずっと友達だぜ。」
「ピィ!!」
マサトがグビビッと薬を飲み干す。
、、、見た目にはなんの変化もない。
普通、アニメだと色が変わったり、傷が消えたりなんらかの派手な演出があると思うが、マサトには何の変化もない。
「マサト、、どうなん?な、なんか変わった??」
「俺も変化が何にも分からねー!!」
「ほ、ほら何か身体の奥が熱いとか、なんかあるでしょーよ!」
「何にもねーよ!!」
「えー!!じゃあ、3時になってみないと分からないって事ー?!」
「うわーっ!!モヤモヤするーっ!!」
「はい、ありがとうございましたー。」
翌日、医者に行きレントゲンを撮ったが、マサトの傷は捻挫ですんだようだった。
5日は足を使わないようにと渡された松葉杖が痛々しい。
実際、コンビニで買い物するのすら大変そうである。
しかし、イケメンはこんな時も放ってはおいて貰えないようで、女性がすぐによってきて世話を焼いてくれる。
弱っているイケメンは母性本能をくすぐられるようだ。
まぁ、本人は非常に迷惑そうであるのだが。
そのくせ、俺にはここぞとばかりに頼ってきて面倒くさい。
「ゆうやー、これ持ってー。」
「ゆうやー、TVのリモコン取ってー。」
医者の安静にという言葉を言い訳に、なんでもかんでも俺に言いつけるのだ。
「おい!マサト、いい加減にしろっ!俺はお前のお母さんじゃねーんだよ!」
「えー、だって歩けねーんだもん。しょうがねーじゃん?ピーちゃんに頼むわけにもいかねーし。」
「ぐぬぬぬ、、、!」
「あ!そろそろ3時だ、ピーちゃんと空の散歩しに行こう!」
ボワン!
「クルッポー!」
「ピィー♡♡」
マサトは鳩に変身し、ピーちゃんと共に窓から飛び出していった。
そう、マサトはまだ解毒剤を飲んでいないのた。おまけにピーちゃんに感謝しているようで、ピーちゃん相手にはかゆかゆが出なくなったらしい。
(成る程、鳩の間は飛べるから、脚使わなくても自由に行動できるんだな。)
ピーちゃんは、マサトが鳩に変身してマーちゃんになると言う事を理解し、仲良くやっているようだ。
数時間して仲良く連れ立って戻ってきた二人は、鳥用ヒーターの前で仲良くピーナッツを食べている。
事情を知らない人が見たら、仲の良い鳥カップルに見えるだろう。
ピィピィ、クルッポクルッポと盛んに会話している。
俺には何を喋っているのか分からないから、もの凄い疎外感を感じてしまう。
相方をピーちゃんに奪われた気分だ。
マサトを直す為に、あんなに頑張ったというのに、、。
はっきり言って、すこぶる気分が悪い。
しかし、そんな俺の気も知らず、マサトは人間態に戻っても、ピーちゃんを水浴びさせたり、餌をあげたり、鶏籠の中を掃除したりと甲斐甲斐しい。
おまけにピーちゃんを手のひらに乗せて、一生懸命話しかけてるのである。
「ピーちゃんの羽はキレイだねー♡可愛いねー♡それに、とっても賢いねー♡」
数日前のマサトに見せたらひっくり返りそうな光景だ。
(うーむ、マサトの奴、ピーちゃんと仲良くなったって、どうせ人間に戻るのにな、、。どういうつもりなんだ。)
そんな日が数日続き、マサトの脚も大分治ったようだ。しかし、ピーちゃんを世話してばかりで、一向に解毒剤を飲まないマサトに俺はイライラしてきた。
マサトの松葉杖の外れた5日目の昼に、俺の堪忍袋の尾が切れた。
「おい!マサト、お前、いつ解毒剤飲むんだよ!その為に二人で頑張ったんじゃないか!!」
するとマサトがピーちゃんの水を変える手を止める。
「うーん。あー。そうだな。そろそろ飲むか。ピーちゃんへのお礼もできたしな。」
「じゃあ、さっさと飲めよ!」
マサトに解毒剤の瓶を押し付ける。
しかし、マサトはまだ躊躇しているようだ。
「でもさー、ゆうや、探偵業はどうするよ。俺はさ、関わっちまった以上、遺伝子薬が悪用される危険を取り除きたいのさ。
その為にさ、鳩でいた方が便利な事があるんじゃないかって、、、。」
マサトの気持ちもわかる。
恐らく、ボスに協力する事にした桃香さんのお父さんも同じ思いだろう。
それに、俺達が探偵業を続けるかどうかの答えもまだ決めていない。
でも、そんな事より、俺はマサトが解毒剤を今すぐ飲まなければならない訳を知っている。
「マサト、俺も遺伝子薬の悪用は阻止したい。でも、お前は、今すぐ解毒剤を飲め。気付いてないかもしれないから教えてやるが、始めの頃より確実に鳩の時間が長くなっているぞ。このままだと、、、。」
マサトは人間に戻れなくなる。
それは俺が1番避けたい事態なのだ。
「そうだよな。やっぱり。
じゃあ、薬飲むわ。ピーちゃんにも伝えてあるし。」
マサトが解毒剤の瓶を開け、ピーちゃんの方に目をやると、ピーちゃんが「ピィ」と優しい声で鳴いた。
「うん。ピーちゃんありがとうな。鳥語でおしゃべりも空の散歩もできなくなるけど、俺たちはずっと友達だぜ。」
「ピィ!!」
マサトがグビビッと薬を飲み干す。
、、、見た目にはなんの変化もない。
普通、アニメだと色が変わったり、傷が消えたりなんらかの派手な演出があると思うが、マサトには何の変化もない。
「マサト、、どうなん?な、なんか変わった??」
「俺も変化が何にも分からねー!!」
「ほ、ほら何か身体の奥が熱いとか、なんかあるでしょーよ!」
「何にもねーよ!!」
「えー!!じゃあ、3時になってみないと分からないって事ー?!」
「うわーっ!!モヤモヤするーっ!!」
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