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28 緊迫の侵入劇2
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「う、あわぁぁーっ」
マサトの手が離れ落ちる直前に、ピーちゃんが俺のロープを咥え、マサトの脚に掛けたのだ!!
俺も瞬間的にロープを掴んだ!
べチンッ!!
ボスんっ!!
、、、、
、、、
、、
「いっっでぇーーーーっ!!」
下の方からマサトの雄叫びが聞こえた。
「、、、、ま、まさと、、、!」
俺はロープを手近な排水パイプに結びつけ、急いで下を覗きこむ。
「い、生きてる、、!マサトが生きてるっ、、!!」
そこには、片足で吊り下げされたマサトが階段の壁にぶち当たって、鼻血を出している姿があった。
「「「よ、よかったぁぁぁー(ピィーー)」」」
二人と一羽の安堵の溜息が重なった。
「ゆ、ゆうや、、。俺は、とりあえず大丈夫だ。お、お父さんを、、頼んだ、、。」
マサトの擦りギズだらけの、鼻血まみれの顔が痛々しい。
本当は一刻も早く手当をしてやりたい。
しかし、マサトの鳩を治すのには、お父さんを助けなければならない。
「、、、分かった。マサト、お前は下で休んでいろ。後で手当してやる。」
マサトをロープを緩め下に降ろしてやる。
気休めにしかならないが、タオルを投げてやると、マサトはそれを拾い顔を拭う。
そして、少しばかりキレイになった顔で、さも心配するかと言わんばかりに親指を立て笑ってみせた。
(マサトの奴、痛いくせに、格好付けやがって、、。
しかし、なんつータイミングで人間態に戻ったんだ。いつもは戻る兆候がでてから一定時間かかるのに、、。)
しかし、今は、考察している時間は無い。
まずは、お父さんの救出だ。
「お父さん、大丈夫ですか?ピーちゃんがカメラを隠しますから、急いで非常階段へ来てください!」
「分かった、、、。しかし、マサト君の状態を直すのには、一度、研究室にいかなければ、、。それに、残される動物達も心配だ、、。」
マサトの変身劇を目の当たりにし、お父さんの表情が、何かしら決意めいたものに変わる。
「分かりました。お父さん、ピーちゃんがエスコートするので、こちらに来て非常口を開けて下さい。合流して俺も一緒に行きます。
、、、ピーちゃん、カメラの場所はわかるね?」
「ピィ!!」
ピーちゃんの元気の良い声が聞こえて、暫くすると、ガチャリと重いドアが開く。
「お父さん、始めまして、探偵社のゆうやです。俺が監視員をなんとかします。お父さんは、研究室で必要な事を済ませて下さい。その後落ち合いましょう。」
「うむ。分かった。」
俺達は二手に別れ、それぞれの場所に向かう。
俺は、警備室の前に行き、万一の為に持ってきた睡眠薬入りのガスを窓から注入する。
すると、数分経つ頃には、監視モニターを見ていた警備員達が寝息を立て始めた。
少々手荒く、形跡が残るこの手段は、できたら避けたかったのだが、仕方ない。どの道研究室の物に手をつけたらバレるのは時間の問題だ。
俺は、警備員が寝静まった部屋を換気し、カメラの前に陣取る。
見れば、お父さんとピーちゃんは守備良く研究室に潜り込んだようだ。
まず、お父さんはいくつかの薬や液体を物色し、流しに捨てたり、カバンに詰め込んだりしている。
「えーと、これは、メインの薬液、、それに融合する遺伝子物質、、これを捨ててしまえば、、研究はストップだ。
あとは、マサト君を戻す為に必要な成分は、これと、、あとは鳩の糞から精製したこの薬剤があればいいだろう、、。」
なにやら呟きながら、盛んに薬を選別している。
「あれ?この薬剤はなんだっけ?ああ、焦るっ!時間がない、、!ちゃんと試験官にラベルを貼れって桃香によく叱られたのに、、、。
あーっ!とりあえず、ここで焦るより、逃げてから考えよう、、。」
最後に残った薬剤がまとめて鞄に詰め込まれた。
「ピィ!ピィー!オトーサン!トモダチ ピーちゃんのトモダチ タスケテネー!」
ピーちゃんがなにやら鍵をお父さんのもとに持ってくる。
「ああ、そうだね。大丈夫。みんな助けるよ。」
よく見れば、成る程、研究室の中は、何種類もの動物が檻に入れられて飼われていた。
お父さんは、手当たり次第、その動物の鍵を開けて、窓から逃してやった。
「皆、寂しいけどバイバイだ。自由にくらせよ。」
「バイバイ バイバイ ゲンキデネーッ!」
ハムスターやら、猫やら、蛙やら、鳩やらがわらわらと藪の中に姿を消してゆく。
「ふぅ、、、。よし、最後にパソコンのデータを消去して終わりだ。
ところで、ピーちゃんは皆と行かなくていいのかい?」
お父さんは、ピーちゃんに少し寂しそうに微笑んだ。
「ピーチャン オトーサン ダイスキ!マサトモダイスキー!イッショニ カエルー!」
「そうか!ありがとうピーちゃん!」
そして、二人が仲睦まじく連れ立って非常口から出たのを確認した俺も、そこに合流する。
そして、最後に、非常口の脇で蹲っていた我が相棒をピックアップするのだ。
「マサト!大丈夫か?ミッションコンプリートだぜ!」
「おう。流石ゆうや。お前なら出来るって思ってたぜ。」
マサトは拳を作って俺に向けたが、その手は弱々しい。
俺は、負担を掛けないように、そっと拳を合わせた。
「あー、それでだ、、。ゆうや、肩貸してくんない?ちょっと歩けないみたいでさ、、。」
かっこ悪いなぁと頭を掻きながら俺を頼ってくれる相棒の腕をとり、起こしてやる。
「大丈夫。お前も、充分かっこよかったぜ、マサト。」
「いや、お前には負けますよ。」
憎まれ口を叩けるなら、まぁ元気な証拠だ。
俺達は、脇に止めていた車に連れ立って乗り込んだ。
この間、1時間半。
なかなかに内容の濃い時間であった。
マサトの手が離れ落ちる直前に、ピーちゃんが俺のロープを咥え、マサトの脚に掛けたのだ!!
俺も瞬間的にロープを掴んだ!
べチンッ!!
ボスんっ!!
、、、、
、、、
、、
「いっっでぇーーーーっ!!」
下の方からマサトの雄叫びが聞こえた。
「、、、、ま、まさと、、、!」
俺はロープを手近な排水パイプに結びつけ、急いで下を覗きこむ。
「い、生きてる、、!マサトが生きてるっ、、!!」
そこには、片足で吊り下げされたマサトが階段の壁にぶち当たって、鼻血を出している姿があった。
「「「よ、よかったぁぁぁー(ピィーー)」」」
二人と一羽の安堵の溜息が重なった。
「ゆ、ゆうや、、。俺は、とりあえず大丈夫だ。お、お父さんを、、頼んだ、、。」
マサトの擦りギズだらけの、鼻血まみれの顔が痛々しい。
本当は一刻も早く手当をしてやりたい。
しかし、マサトの鳩を治すのには、お父さんを助けなければならない。
「、、、分かった。マサト、お前は下で休んでいろ。後で手当してやる。」
マサトをロープを緩め下に降ろしてやる。
気休めにしかならないが、タオルを投げてやると、マサトはそれを拾い顔を拭う。
そして、少しばかりキレイになった顔で、さも心配するかと言わんばかりに親指を立て笑ってみせた。
(マサトの奴、痛いくせに、格好付けやがって、、。
しかし、なんつータイミングで人間態に戻ったんだ。いつもは戻る兆候がでてから一定時間かかるのに、、。)
しかし、今は、考察している時間は無い。
まずは、お父さんの救出だ。
「お父さん、大丈夫ですか?ピーちゃんがカメラを隠しますから、急いで非常階段へ来てください!」
「分かった、、、。しかし、マサト君の状態を直すのには、一度、研究室にいかなければ、、。それに、残される動物達も心配だ、、。」
マサトの変身劇を目の当たりにし、お父さんの表情が、何かしら決意めいたものに変わる。
「分かりました。お父さん、ピーちゃんがエスコートするので、こちらに来て非常口を開けて下さい。合流して俺も一緒に行きます。
、、、ピーちゃん、カメラの場所はわかるね?」
「ピィ!!」
ピーちゃんの元気の良い声が聞こえて、暫くすると、ガチャリと重いドアが開く。
「お父さん、始めまして、探偵社のゆうやです。俺が監視員をなんとかします。お父さんは、研究室で必要な事を済ませて下さい。その後落ち合いましょう。」
「うむ。分かった。」
俺達は二手に別れ、それぞれの場所に向かう。
俺は、警備室の前に行き、万一の為に持ってきた睡眠薬入りのガスを窓から注入する。
すると、数分経つ頃には、監視モニターを見ていた警備員達が寝息を立て始めた。
少々手荒く、形跡が残るこの手段は、できたら避けたかったのだが、仕方ない。どの道研究室の物に手をつけたらバレるのは時間の問題だ。
俺は、警備員が寝静まった部屋を換気し、カメラの前に陣取る。
見れば、お父さんとピーちゃんは守備良く研究室に潜り込んだようだ。
まず、お父さんはいくつかの薬や液体を物色し、流しに捨てたり、カバンに詰め込んだりしている。
「えーと、これは、メインの薬液、、それに融合する遺伝子物質、、これを捨ててしまえば、、研究はストップだ。
あとは、マサト君を戻す為に必要な成分は、これと、、あとは鳩の糞から精製したこの薬剤があればいいだろう、、。」
なにやら呟きながら、盛んに薬を選別している。
「あれ?この薬剤はなんだっけ?ああ、焦るっ!時間がない、、!ちゃんと試験官にラベルを貼れって桃香によく叱られたのに、、、。
あーっ!とりあえず、ここで焦るより、逃げてから考えよう、、。」
最後に残った薬剤がまとめて鞄に詰め込まれた。
「ピィ!ピィー!オトーサン!トモダチ ピーちゃんのトモダチ タスケテネー!」
ピーちゃんがなにやら鍵をお父さんのもとに持ってくる。
「ああ、そうだね。大丈夫。みんな助けるよ。」
よく見れば、成る程、研究室の中は、何種類もの動物が檻に入れられて飼われていた。
お父さんは、手当たり次第、その動物の鍵を開けて、窓から逃してやった。
「皆、寂しいけどバイバイだ。自由にくらせよ。」
「バイバイ バイバイ ゲンキデネーッ!」
ハムスターやら、猫やら、蛙やら、鳩やらがわらわらと藪の中に姿を消してゆく。
「ふぅ、、、。よし、最後にパソコンのデータを消去して終わりだ。
ところで、ピーちゃんは皆と行かなくていいのかい?」
お父さんは、ピーちゃんに少し寂しそうに微笑んだ。
「ピーチャン オトーサン ダイスキ!マサトモダイスキー!イッショニ カエルー!」
「そうか!ありがとうピーちゃん!」
そして、二人が仲睦まじく連れ立って非常口から出たのを確認した俺も、そこに合流する。
そして、最後に、非常口の脇で蹲っていた我が相棒をピックアップするのだ。
「マサト!大丈夫か?ミッションコンプリートだぜ!」
「おう。流石ゆうや。お前なら出来るって思ってたぜ。」
マサトは拳を作って俺に向けたが、その手は弱々しい。
俺は、負担を掛けないように、そっと拳を合わせた。
「あー、それでだ、、。ゆうや、肩貸してくんない?ちょっと歩けないみたいでさ、、。」
かっこ悪いなぁと頭を掻きながら俺を頼ってくれる相棒の腕をとり、起こしてやる。
「大丈夫。お前も、充分かっこよかったぜ、マサト。」
「いや、お前には負けますよ。」
憎まれ口を叩けるなら、まぁ元気な証拠だ。
俺達は、脇に止めていた車に連れ立って乗り込んだ。
この間、1時間半。
なかなかに内容の濃い時間であった。
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