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23 マサトとピーちゃん 1

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バサササー!!

桃香さんの部屋の窓より、大空に飛び立つ。

この解き放たれた瞬間が、鳥冥利に尽きると言うものだ。

鳥、最高ーー(((o(*゚▽゚*)o)))♡


「クルッポーーーー!!」

ー、俺はマサト。今は訳あって鳩だが、普段は人間の成人男性である。

職業は、今をトキメク仕事、WEBライター兼、探偵!!

、、、その俺が、何が悲しくて、インコのメスとデートしなきゃいけないんだ!


「ピィ♡♡♡」

この、隣りを飛んでいる鳥は、依頼人である桃香さんのペットのピーちゃん。

人間態の時は桃香さんに好かれ、鳩になればピーちゃんに好かれる、、、。

モテると言えば聞こえがいいが、女性アレルギーの俺にはありがた迷惑なのだ、、、。


しかし、女性が苦手とはいえ、今は探偵業の任務中。相棒のゆうやから指示されたミッションをクリアしないと、俺の癒しのブラッシングタイムが一週間貰えなくなってしまう、、!

ひー!!そんなの、このストレス社会に耐えられない、、、!


ーと、いうわけで、俺は早速仕事にとりかかるのだ。

『クルッポー!ピーちゃん。今日は宜しくお願いします。』

精一杯のイケボでピーちゃんにご挨拶だ!

『ピッ♡マーちゃんとまた会えるなんて夢のようですわ♡マーちゃんは、ゆうやさんの会社の探偵さんでしたのね。ステキだわぁ♡』

『クルッポー!ええ、まぁ、ゆうやは俺の子分みたいなものですね。
ところで、俺、ピーちゃんの事もっと知りたいんです。今日は、いっぱいお話ししながらいろんな所を飛びましょう♡』

『まぁ、マサトさんにそんな事言っていただけるなんて、感激♡ピィーー♡』

ピーちゃんが無駄に近くを飛んでくるので、身体が早速ムズムズし始めたが、精一杯紳士的に振る舞ってみる。

以前ピーちゃんが拐われたのを助けた以来、久々の対面だ。あとは、その後、電話口でパスコードを聞き出した時に少し話したくらいか。


『そうだ、ピーちゃん、以前話してくれた、お父さんの研究室に連れて行って頂けますか?俺、ピーちゃんの優しいお父さんが見てみたいです。』


『あら♡ピーのパパに会いたいのね♡いいわ、連れてってあげる♡』

結婚の挨拶をしにいくみたいなピーちゃんの反応が些か気になるが、ここはノリを合わせておこう。


雲一つない空を、二羽でドライブするように飛んでいくのは気持ちいい。


『ピッ、、、マーちゃん早く早く!こっちよー♡』

『クルッポ、、、!ピーちゃん、ちょっと待って下さい、、。機材が重くて、、。
おーっと!あぶなっ、、、!』

『ふふふー♡鳥なのに、マーちゃん落ちそうになるなんて、面白いのね♡』

そう、俺は飛ぶのが苦手だ。
だって、20年以上も地面の上を歩いていたんだ、しょうがない。
鳥になったからと言って、いきなり空を飛んでみろと言われてもメンタルが追いつかないのである。


子供たちが遊んでいる公園の上を飛び、俺たちの事務所のあるカフェの上を過ぎた先に、桃香さんのお父さんの務める会社がある。


ちなみに、前回、運び屋の仕事を受けたのもこのビルで、依頼人はこの会社の社長であった。

ビルのベランダの柵に二人で並んでとまる。
窓の中では、サラリーマン達が慌ただしく働いている。

なるほど、ハトの目線で見れば人間とは甚だ滑稽であるな。
翼がないから、こんな風に高いビルを建てて、狭い部屋の中で必死に働いている。組織にも空間にも縛られて、不自由極まりないな。

まぁ、WEBライターの俺はもっとスマートに、鳥のように伸びやかに生活しているが。

『ピィ♡マーちゃん何を考えていらっしゃるの?物思いに耽ってる顔も知的でステキ♡』

『い、いやぁ、なんでもないです。
やっと着きましたね。ピーちゃん。この会社、とっても大きいですけど、お父さんはどの辺りにいるんですか?クルッポ?』


『ピィ♡お父さんの研究室は、ビルの5階の1番奥よ。私達なら飛んでいけるから、セキュリティも問題ないわ♡』


『ピィちゃん、、俺、機材が重くて、5階まで飛べそうもないです。中からいけませんか?すいません、探偵業は、普段デスクワークなんで。』


『ピィ!!デスクワークなんてっ!!マーちゃんたら、、インテリなのね♡ステキ、、♡ピー、もうメロメロ、、♡』

よく分からないポイントがピーちゃんにヒットしてしまったようで、男としての矜持はなんとか保たれたのである。


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