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21 情報交換

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「ゆうやが、突然あのバンに連れ込まれてさ、直ぐに追いかけようと思ったんだが、尾行してた奴らにつかまっちまってなー。」

「えー、大丈夫だった?!
アイツら、カタギっぽくなかったけど、、。」

マサトは、文系デスクワーク男子なので、喧嘩はからきし苦手なのだ。

女性も苦手、喧嘩も苦手、ついでに真面目な雰囲気も苦手。
じゃあ、マサトの取り柄は何か、それは、顔としゃべりと性格だ。

そのノーテンキな性格に、俺は幾度となく助けられてきたのだ。

今回だって、後先考えずに俺を助けに来てくれた。

「そんでさ、もみ合いになったんだけど、ちょうど3時になってハトになったから逃げ出せたんだ。」

「俺を拐ったやつらの仲間かな?」

「そうだな。結構撒いたのに、あの場所が分かったって事は、始めから受け渡し場所がわかっていたのかもな。」


確かに、俺達を尾行してた奴らは数人いた。詳細は分からないが、依頼人が雇った奴ら、俺を拐おうとした受取人の仲間。あと、別の連中もいたのは確かだ。

今思えば、遺伝子組換え薬の情報としたら、確かにそれだけ注目されるわけだ。

始めから荷物が分かっていたら引き受けなかったかもと思う。

今更事の重大さに気付いて武者振るいする。

マサトの機転に感謝だ。

「で、俺が逃げた後はどうしたのさ。」

「ああ、ゆうやを追わないようにもう少し相手しようと思ってさ、窓じゃなくて、顔目掛けてフンを落としていたら、奴らが怒って石とか手当たり次第に投げつけて来たわけ、で、それが羽に当たっちまってさ、、。

物陰で暫く休んだら人間に戻れるかと思ったんだけど、いつもと違って全然戻れる気配がなかったから、諦めて飛んできた。」

そんな俺の心配をよそに、当人は呑気に俺の作った唐揚げをもしゃもしゃ食べながら、ビールをゴクゴク飲んでいる。

とても、先程の手負いの鳩と同一人物とは思えないが、傷の位置も同じで、まぎれもなくあの鳩はマサトなのだ。

「ねえ、アルコール、あんまり飲まない方がいいんじゃない?出血止まらなくなるよ?」

「あ?こんな傷、大した事ねーよw」

マサトが肩口に傷がある方の腕をグルグル回す。ちなみにマサトは、すぐ調子に乗るお調子者タイプだ。

「あ゛ーーっ!!イッテー!ぐわーっ!!バカ、俺のバカっ!!何やってんのーっ!」

「ほら、言ったこっちゃない、、。」

マサトは、傷口を押さえながら涙目でこちらを見る。

「で、ゆうやの方はどうだったんだよ。パスコード分かって、なんか見つけられたのか?」

「うん、桃香さんのお父さんの研究結果。そのパスの解除コードがピーちゃんが覚えてた意味不明の言葉だったってこと。
だから、桃香さんの元彼もピーちゃんを狙ったんだね。」

そして、パスコードに込められた桃香さんへの想いも。

「へー、あの意味不明のコードがねー。
あ、そう言えば、ピーちゃんの本当の名前はピーチなんだぜ?知ってたか?」

「え゛、、知らなかった、、。でも、桃香さんもそんな事いってなかったじゃん?」

「ああ、本人が言ってたぜ。なんでも、桃香さんの名前からとったんだって。
聞いてもいないのに、本人がペラペラ喋ってきた。
まぁ、いいけど、俺はお喋りな女はちょっとなw」

(はぁ、、女ね、、)

ピーちゃんを女と表現するあたり、鳥同士の関係といった感じがする。  

しかし、ピーちゃんが桃香さんの名前から取られたとは驚きであった。

きっとピーちゃんはお父さんにとって桃香さんの代わりだったのだろう。

研究所に軟禁状態のお父さんは、今ごろどうしているのだろうか。

いつか助け出してあげたいと思うけれど、あの研究所はなかなかガードが硬そうだ。

助けるのは、もう少し情報があつまってからにしたほうが良いだろう。

(ああ、、。マサトといい、お父さんといい、なまじ顔や頭が飛び抜けて良いと、何かと大変だな。
俺くらいの平均的がちょうどいいというとだ、、、。)

ふと、イケメンの相方を見ると、鼻歌まじりにビールを飲み干していた。



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