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15 変装して運び屋の仕事2

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「はぁ、、はぁ、、。もう、絶対乗らん、、。」

「ひゃー♡楽しかったぁ♡もう一回乗りたい♡♡」

「いや、マジ勘弁して、、。ぎもぢ悪い。」

二人の反応は正反対だが、俺達は無事?ジェットコースターから帰還した。

恐怖のあまり途中の記憶が曖昧だが、とにかく生きて地上に戻れた事を神さまに感謝したい。

「ゆうや大丈夫?少し休憩する?そういや、このアトラクションの裏口からカフェにいけるみたいだけど、目立たない場所だから穴場スポットになっているみたいなんだ。
出口で待ってるかもしれない尾行を捲くには良いかもしれないぜ?」

青い顔した俺を気遣ってくれたのか、マサトがスマホで調べてくれたページをみれば、確かにそのように紹介されていた。

とにかく休憩したい俺は、すがるようにそのカフェに向かったのだ。



ゴクゴク、、ふぁ、、♡

「ふー、少し落ち着いたぞ、、。」

カフェの席に座りホットココアを飲んだ俺は、少し気分を取り戻していた。

一方、マサトはパーク限定商品付きのメニューを頼み、ニコニコしながら眺めている。

「ねー、ゆうやぁ。このスーベニアカップ付きのホットコーヒー美味いぞ。あと、キャラクターのモッチー君型マフィンもSNS映えすんなぁ♡」

マサトは任務を完全に忘れているんじゃないかと思う浮かれようだ。クッキーが耳のように盛り付けられたマフィンの映えるアングルを探して写真を撮ったりしている。

「よし!良い写真が撮れた!早速アップしよう。」

「おおい!任務中に何SNSアップしてんだよ、、。」

「別にいいだろ。お!早速いいねが付いたぞ。」


SNSの反応に一喜一憂している呑気なマサトは放って置いて、頭の中で、次の行動を組み立てる。

時刻は、14時13分、待ち合わせ場所までは5分くらいの距離だろう。

依頼人からの情報では、相手は男性二人。銀のアタッシュケースを持ち、作業員に扮しているらしい。

暗号を伝え、答えが返って来たらビンゴだ。


それぞれの荷物を交換して、再度依頼人に届けたら任務完了だ。


「マサト、時間だ。行くぞ。」

「おう。分かった。」

口の横にモッチー君のマフィンの食べカスをつけたマサトが深く頷いた。

そうして、俺達は、カフェから目立たぬように抜け出したのだ。





***

時刻は、14時半。

待ち合わせの時刻ジャストに、俺達は指定のメリーゴーランドについた。

メリーゴーランドは、まばらに子供達が乗っていて見守る家族に手を振っている。

柵の外から笑顔で写真をとる家族達。

その風景に、一見馴染んでいるようで、違和感のある二人組がいた。


そう、そいつらが今回の取引相手であろう。

側に作業用バンを止め、作業員の振りをしてタバコを蒸かしている二人組。

ただの作業用にしてはガタイが良すぎる。そして、なによりあの眼光。カタギの人間ではないことは明白だった。

離れたところからさり気なく観察すると、思った通り一人の男の手にはアタッシュケースが握られていたのである。


俺は、マサトに目配せし、その場に残し、一人取引に向かった。



作業員に近づくと、向こうも気付いたようで、吸っていたタバコの火をかき消した。

近くに寄ると、向こうから話しかけてくる。

「よう、あんたが桃香だな。写真とは同じにみえるな。だが念のため合言葉を照合しようじゃねーか。」

男が耳元である言葉を言う。俺もそれに続き、依頼人から教えられた並びを答えた。

「よし、ビンゴだ。じゃあ、サッサと取引しよう。どうやら他の組の奴らもこの取引を嗅ぎつけたらしい。早くズラかるぜ。」

そう言うと持っていたアタッシュケースを差し出した。

俺も、カバンに隠していた例の箱を差し出す。

そして、それを交換した途端、もう一人の男が俺の口元を塞ぎ、手首に手錠をかけ、バンの後ろに放り込んだのだ!

更にバンの中で足首にも手錠を嵌められ身動きを完全に封じられてしまった。

そして、それに気付いたマサトが何事かとこちら側に走り寄ってきた。

しかし、別の茂みから出てきた追手によって捕まり、もみ合いになっていた。

依頼人の尾行の男達は、俺達を見失ってしまったのか、この場所にはいない。

バンの中からそこまで観察したところで、俺を乗せたバンが走り出したのだ。

「ゆ、ゆう、、いや!桃香ぁぁー!」

マサトの微妙に配慮した叫び声が聞こえた気がした。







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