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「にしてもさあ、リリナ、いきなり変わったよな。」

食後のまったりタイムに、イリヤが突然爆弾を投下してきた。
いつもバカなのに、こういうときだけ鋭いっ!

「そ、そうかなー?そんなことないと思うケド。」

最後らへんが棒読みになっちゃったのはご愛嬌ってことで。
でもまあ、そうだよね。
さすがに気になるよね。
お荷物だった人がある日突然覚醒したら怪しさ全開だよね。
なんて言って誤魔化そう…

「それ、僕も気になってたんだ。リリナ、前まで土属性しか使えなかったよね?それが突然雷属性なんてもの使いだすし、今のってユニークスキルだろ?一体何があったんだ?」
「え、あ、んーと…」

やばいやばいやばい。
イリヤだけならなんとかなりそうだったけど、ウィルはムリだ!
なんかさ、ウィルの目って、何もかも見透かしてそうなんだよね。
とてもじゃないけど誤魔化しきれない!
前世の記憶のことは話せないけど、まあ話せる分だけでも話しちゃえ!

「あ、あのね、私もよく分かんないんだけど、この前私、倒れたでしょ?あの時、雷属性の魔力とか、ユニークスキルの“創造”?ってやつ手に入れたみたいで。まだ私も何ができて何ができないのかさっぱりなんだけどね。」

うわあ、言葉にしたらハチャメチャだ。
こんなんで、納得してくれるのかな。
3人の顔色を伺うと、イリヤはへー!そうなんだ!みたいの感じで納得しちゃってるっぽかった。
うん、さすがだね、イリヤ。
カザリもちょっと戸惑ってるけど、納得はしてくれてるみたい。
そんなこともあるのねーって感心している。
で、ウィルは…

「ウィ、ウィル…?」

なんだか難しい顔をしてブツブツと呟いている。
確か、この前雷属性の魔力があるって言った時もこんなだったような。
恐る恐る声をかけると、ハッとしたように目を合わせてくれた。

「いや、なんでもないよ。でも、すごいなそれ。頼もしいけど…僕たちも負けてられないな。」
「そうだな!俺らも頑張ろうぜ!」
「言われなかったって分かってるわよ!」

どこか取り繕ったような表情に違和感を覚えたけど、イリヤの大声ですぐにそれも忘れてしまった。
イリヤとカザリは、昔から何があっても変わらない。
いっつも明るくて、頼れる幼なじみで、仲間だ。

話して、よかったかも…

心の中に、安堵にもにた何かが浮かび上がってきた。
魔獣討伐はまだ怖いけど、今日みたいなやり方ならあんまり血も出ないし、怖くない。
この温かな雰囲気に、あと少しなら、この《稲妻》で頑張ってみてもいいかもな、なんて思ってしまった。

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